OSSデータベース取り取り時報

第24回 MySQLのバージョン体系の話題,PostgreSQL 10ベータ2リリース

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MySQLサーバは次期メジャーバージョンのMySQL 8.0を含め全バージョンのマイナーバージョンアップが行われました。PostgreSQLは次期メジャーリリースPostgreSQL 10に向けたベータ2がリリースされました。

[MySQL]2017年7月の主な出来事

7月は多くの製品でマイナーバージョンアップが行われ,コミュニティ版の現行製品はほぼ全ての製品でリリースが行われています。マイナーバージョンアップが行われなかったのはGUIツールのMySQL WorkbenchとPythonで書かれたDevOps向けツールのMySQL Utilitiesとなります。

MySQLサーバは製品版(GA)のMySQL 5.7, 5.6, 5.5および開発途上版(DMR)のMySQL 8.0それぞれのマイナーバージョンアップが行われました。

MySQLの開発チームのブログにて,MySQLサーバならびにMySQL 8.0向けのクライアントプログラムおよびクライアントライブラリMySQL Connectorsのバージョンをよりわかりやすい体系に変更していく旨が発表されました。そして7月には新しいバージョン番号を採用した各クライアントプログラムおよびMySQL Connectorsがリリースされています。

MySQL 8.0以降のバージョン番号の体系について

MySQLサーバについては,最初の桁をメジャーバージョンとして扱います。これまでも一部ドキュメントではこのように書かれていたものもありましたが,実態としてはMySQL 5.6の次のメジャーバージョンがMySQL 5.7となったように,2桁分を実質的なメジャーバージョン番号としていました。ブログの記述によると今後はMySQL 8の次はMySQL 9とする方向になっています(次期メジャーバージョンの表記をMySQL 8とするのかMySQL 8.0とするのかについては現時点では統一されていないようです)⁠

クライアントプログラム(MySQL Shell,MySQL Workbench,MySQL Enterprise Backupなど)やクライアントライブラリであるMySQL Connectors(Connector/C++,Connector/J,Connector/Netなど)は,MySQL 8.0の機能をサポートするバージョンは基本的に最初の桁をサーバーに合わせて8.x.xとします。ただし,クライアントライブラリはプログラミング言語やフレームワークなどの影響もあり,サーバーのリリースとは異なるタイミングで実装が大きく変更されることがありえます。その場合には8.1.x,8.2.xなどのようなバージョンとなることが想定されています。

なお最初の桁が異なるバージョン間でも接続が可能なレベルでの互換性は保つことになりますが,一方でMySQL 8.0の全機能への対応を担保するのは最初の桁が8になっているクライアントのみとなります。

[PostgreSQL]2017年7月の主な出来事

次期メジャーバージョンのリリースに向けては,2017年7月13日にPostgreSQL 10 ベータ2がリリースされました。このリリースにはベータ1版で見つかった多くのバグの修正を含めたPostgreSQL 10の最終リリースで利用できるすべての機能のプレビューが含まれています。

Quorum-based同期レプリケーション

同期スタンバイについては9.1から導入されており少しずつ機能強化されてきました。今回はPostgreSQL 10で実装されたQuorumベースの同期レプリケーションについて,過去からの変遷を振返りながら紹介させていただきます。

PostgreSQL 9.5まで:同期スタンバイとして指定できるのは1台だけ
スタンバイサーバのうち優先度が一番高いサーバだけ,同期スタンバイ先として扱われました。同期スタンバイがダウンすると次に優先度の高いスタンバイが同期スタンバイ先に昇格することで同期スタンバイ先が1台だけという状態が維持される仕組みでした。
PostgreSQL 9.6:複数のサーバを同期スタンバイとして指定できるようになった
“何台のスタンバイを同期スタンバイとするか⁠を指定するパラメータNに従い,スタンバイサーバのうち優先度が高い順にN台が同期スタンバイ先として扱われるようになりました。同期スタンバイがダウンすると次に優先度の高いスタンバイが同期スタンバイ先に昇格するところは同じです。
PostgreSQL 10:同期スタンバイ先を固定しない運用が可能になった(Quorum-based)
Quorumとは分散システムにおいて,分散トランザクションが処理を実行するために必要な最低限の票数のことです。これまでの同期スタンバイでは,応答を待つ同期スタンバイ先は固定でした。同期スタンバイ先は優先順位に基づき決められますが,一時的な性能劣化などがあっても,ダウンしたのでなければ同期スタンバイ先から外されたりはしません。そのため,レスポンスが遅い一部の同期スタンバイにDB全体の性能が引きずられる可能性がありました。
PostgreSQL10で導入されたQuorum-based同期レプリケーションでは固定の同期スタンバイ先を待つのではなく,指定された台数分の応答が返ってきたことをもってCOMMITします。これにより,性能劣化を軽減し,安定した性能の発揮に期待が持てるようになりました。

2017年8月開催予定のセミナーやイベント,ユーザ会の活動

オープンソースカンファレンス 2017 Kyoto

日程2017年8月4日(金)~5日(土)
場所京都リサーチパーク(KRP)東地区(OSC総合受付:アトリウム)
内容オープンソースのコミュニティや協賛企業,後援団体によるオープンソース関連のセミナーや展示などをお楽しみいただけます。日本MySQLユーザ会および日本オラクルのMySQLチームによるMySQLに関する講演とブース展示,JPUGによるPostgreSQLに関する講演とブース展示が予定されています。
主催オープンソースカンファレンス実行委員会

オープンデベロッパーズカンファレンス2017 Tokyo

日程2017年8月19日(土)~20日(日)
場所日本工学院専門学校 蒲田キャンパス 3号館7階(JR蒲田駅 徒歩3分)
内容「昨今のDevOpsの需要の高まりなどを踏まえて,開発者とインフラエンジニアの交流の場として,⁠オープンデベロッパーズカンファレンス』⁠ODC)を開催いたします。これからの開発のあり方を考える場としてご活用ください。日本MySQLユーザ会とJPUGが合同で,それぞれのデータベースの開発を例に,オープンソース開発プロジェクトは実際どのように進められているのかについて講演があります。日本オラクルのMySQLチームによるMySQLドキュメントストアに関する講演とブース展示が予定されています。
主催オープンデベロッパーズカンファレンス実行委員会

第21回 中国地方DB勉強会 in 山口

日程2017年8月26日(土)
場所防府市地域協業支援センター 2階 研修室2
内容中国地方の各地でデータベースに関する勉強会を開催している中国地方DB勉強会が山口会場で開催する勉強会
主催PostgreSQLユーザ会中国支部

著者プロフィール

山本文彦(やまもとふみひこ)

TIS株式会社

アプリ兼インフラエンジニアとしてさまざまなECサイトの開発現場を担当後,現在はOSSサポートサービスにおいて技術コンサルティングや保守サポートに従事。PostgreSQLだけでなく,MySQL, OracleなどのRDB,Amazon DynamoDBといったNoSQLなどさまざまなDB製品の利用経験を活かして,OSS製品の普及活動に力を注いでいる。


梶山隆輔

MySQL Sales Consulting Senior Manager。

日本オラクル(株)において,MySQLのお客様環境への導入支援や製品の技術解説を担当するセールスコンサルタントチームのアジア太平洋地域リーダー。多国籍なMySQL部門にて,オーストラリア,インド,台湾などに在籍するチームメンバーを束ね,アジア太平洋地域の25以上の国や地域でのMySQL普及やビジネスの拡大をミッションとする。

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