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第5回 [UX編]AirレジのUXに秘められた開発者魂を探る

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Webビスやアプリの開発において,UXUser eXperienceを重視する姿勢が広まっています。単に機能すればよい,使えサーればよいというのではなく,心地良く使えるか,やりたいことがストレスなくできるかを考え,インタフェースや機能をデザインしていく考え方です。今回,リクルートライフスタイルのAirレジ図1を中心としたプロジェクトにおいてUXディレクター陣をまとめる若林一寿(わかばやしかずとし)写真1)⁠UXディレクターとして活躍する鹿毛雄一郎(かげゆういちろう)写真2)⁠そしてエンジニアの佐橘一旗(さきついつき)写真3と塚越啓介(つかごしけいすけ)写真4に,AirレジにおけるUXの考え方やUXディレクターに求められる資質などを伺いました。

図1 Airレジの画面

図1 Airレジの画面

リクルートライフスタイルが提供する無料POSレジアプリ「Airレジ」⁠在庫管理や売上集計分析,顧客情報や予約の管理など,さまざまな機能を無料で提供している

ユーザを主語にして議論することが大切

─⁠─今はさまざまな技術が登場する一方で,ユーザ側の経験値の差も大きくなっているように思います。その中でどのようにAirレジを開発されているのか,またUXディレクターとエンジニアのそれぞれの立場でユーザニーズをどのようにとらえ,それをサービスに落とし込むときに何を見ているのかといった観点で,いろいろとお話を伺えればと思います。まずサービスの開発や新機能の追加において,どういったことに注意しているか教えてもらえますか。

鹿毛氏:ユーザの方々が実際に利用するシーンを想定することです。Airレジはリリースされてから1年半以上が経過していて,お客様から要望をいただく機会も少なくありません。ただ,その要望を鵜呑みにしてすぐに開発するのではなく,実際に現場の方々にヒアリングし,どういう環境で使っているのか,要望された機能がどのようなシーンで必要なのかを確認したうえで,具体的な中身や仕立てを検討するようにしています。

─⁠─ユーザからの要望は,エンジニアの人たちとも共有されているのですか。

鹿毛氏:ヒアリングの際,プランナーに加えてエンジニアや品質管理(QA)⁠デザイナが同行することもあります。そうすることで,誰が使う機能なのか,求められているサービスは何かについて,目線をそろえるようにしています。

塚越氏:現場に行って話を聞くのは,エンジニアとしてもすごく意味があることだなと感じました。仮に,機能として複雑になったとしても,実際に現場でお客さんの話を聞いたり,お手伝いをさせていただいたりすると,たしかに面倒だから直すべきだという判断ができるようになります。

写真1 若林一寿氏

写真1 若林一寿氏

若林氏:それと大切にしているのは,⁠ユーザを主語にする」ことです。エンジニアはどうしても「どう作ればいいか」が主語になってしまいがちです。そうではなく,ユーザを主語にして,あの人はこう使っている,だからこれでいい,これじゃダメと考えていく。この視点で議論できるか,設計できるかがUXの品質を大きく左右しますし,その意味でユーザにヒアリングする取り組みは重要だと考えています図2)⁠

図2 ヒアリング結果をまとめたページの画面ショット

図2 ヒアリング結果をまとめたページの画面ショット

ユーザにヒアリングした結果を記録したページ。それぞれのユーザのニーズが見えるように,業種や規模ごとにユーザの声がまとめられている

初心者に配慮しつつ上級者も満足できる奥行きを作る

─⁠─実際にユーザの話を聞く中で,驚いたことはありますか。

鹿毛氏:ユーザのスキルのばらつきですね。iOSのキーボードの日本語と英語の切り替えがちゃんとわかっていない人もいれば,さまざまなツールを使いこなしていて,その1つとしてAirレジを使っている人もいます。

─⁠─UXを考えるとき,そのユーザの幅の広さをどうとらえるかは難しいところですよね。Airレジはどのような方針なのでしょうか。

写真2 鹿毛雄一郎氏

写真2 鹿毛雄一郎氏

鹿毛氏:どちらを優先するかで言えば,それは圧倒的に初心者です。ただ,リテラシーが高くてAirレジを積極的に使いこなしたいと考えている人たちもいます。そのため,ぱっと見はすごく簡単そうに見せつつ,少し深掘りすれば実は複雑なこともできる,そういった形を理想としています。

佐橘氏:Airレジは企画や開発をしている私たち自身が利用するサービスではないため,できるだけ実際に使って気づきを得られるような工夫もしています。実はAirレジのメンバーが座っている席の近くにコーヒーメーカーがあり,その横にAirレジをインストールしたタブレット端末を置いています写真5)⁠コーヒーを飲むときは,そこで実際にAirレジを使って会計する。顧客管理機能もあるので,自分を顧客として登録したり,レジチェックや入出金処理をやってみたりしています。このように実際にAirレジを使う機会を増やす取り組みは,すごく意識している部分です。

写真5 オフィス内に置かれたAirレジ

写真5 オフィス内に置かれたAirレジ

コーヒーメーカー横のタブレット。プロジェクトメンバーがAirレジを実際に使うために置かれている。自分たちで実際に使うことで気付くことは多いと佐橘氏は話す

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