Redmineを運用するためのイロハを身につけよう

第5回新バージョン0.7の紹介とコード修正による利便性の向上

前回は、Redmineを活用する上でのTIPSやプラグインについて紹介しました。今回は、先日新しくリリースされたバージョン0.7の新機能紹介と、ソースコードを修正してRedmineをより使いやすくする方法を解説していきます。

バージョン0.7の新機能

先日、Redmineの新バージョン0.7.1がリリースされました。

今回の新バージョン0.7から、⁠問題」「チケット」へと変更していますので、今後の連載においては「チケット」と記載させていただきます。

「チケット」の履歴が編集可能に

これまで「チケット」に一度追記された内容については変更することができませんでしたが、後から修正することが可能となりました。

ただし、この機能を有効にするためには、システム管理者の管理画面にある「ロールと権限」の画面にて設定する必要があります。

必要となる権限は以下となります。

Edit issue notesこの権限を割り当てると、そのプロジェクト内全ての追記部分を修正することが可能です。
Edit own issue notesこの権限を割り当てると、そのプロジェクト内で自分が追記した部分のみ修正することが可能です。

サブプロジェクトの状況をメインプロジェクトで確認可能に

サブプロジェクトのチケットを、メインプロジェクトのチケット一覧画面で確認できるようになりました。

つまり、メインプロジェクトのチケット一覧に、メインプロジェクトに属しているサブプロジェクトのチケット一覧が表示されるようになります。

チケット一覧に表示されるだけではなく、メインプロジェクトのカレンダーやガントチャートにもサブプロジェクトの内容が表示されるようになっています。

なお、従来通り、メインプロジェクトのチケット一覧に表示させたくない場合は、システム管理者の管理画面にある「設定」の画面内の「チケットトラッキング」タブをクリックし、⁠デフォルトでサブプロジェクトのチケットをメインプロジェクトに表示する」のチェックを外すことで可能です。

ユーザ名の表示書式が変更可能に

これまで、ユーザの表示名は名前⇒苗字の順で表示されていたため、日本語で正しく表示させるためには、名前と苗字を逆に入力する必要がありましたが、表示書式が変更可能となりました。

苗字・名前の順にすることはもちろん、名前のみや苗字のみ表示することも可能となっています。

設定は、管理画面にある「設定」の画面にある「ユーザ名の表示書式」の部分を変更する必要があります。

ファイルアップロード時にコメントが入力可能に

アップロードされたファイルに対して説明文を表示することが可能となりました。

注記のソートやタイムゾーンがユーザごとに設定可能に

ユーザ単位で、チケットの注記(コメント)のソート(新しい順or古い順)やタイムゾーンの設定がマイアカウント画面にて可能になりました。

これにより、ユーザによってロケーションが違う場合なども、正しく地理にあわせた時刻表示が可能です。

JavaとPHPのコードもハイライト表示可能に

リポジトリのビューアにて、JavaやPHPのソースコードもハイライト表示させることが可能となりました。

URLデザインが変更

前回の連載でも少し取り上げましたが、これまでURLには各プロジェクトのシステム上のIDが含まれていましたが、新バージョンではIDではなく、プロジェクト作成時に入力した識別子が含まれるようになりました。

これにより、URLでプロジェクトの特徴が含まれていることが判別でき、より分かりやすくなりました。

例)
 http://${HOSTNAME}/projects/${Identifier}/issues

バージョン詳細画面にて経過時間等の合計を表示

バージョン毎に予定工数および経過時間の合計が表示されるようになりました。

リポジトリで、Gitが選択可能に

バージョン管理ツールである「Git」に対応し、リポジトリの項で選択可能になりました。

カスタムクエリを他プロジェクトと共有可能に

今までプロジェクト毎に個別に作成する必要のあったカスタムクエリですが、新バージョンから他のプロジェクトでも利用することが可能となりました。

カスタムクエリの作成(編集)画面で、⁠全プロジェクト向け」の項にチェックを入れることで設定可能です。

「チケット」一覧画面での右クリック機能がより使いやすく

「チケット」一覧の画面で、 Redmineの持つAjaxを活用した「右クリック機能」は非常に便利な機能ですが、全てのエリアで有効になっていたため、ブラウザの持つ右クリックの機能(リンク先のコピーや新しいページ・タブで開くなど)が利用できない状態でした。新バージョンでは、その使い勝手の悪い部分が解消されています。

また、Redmineの持つ右クリック機能により、チケットの進捗率も変更可能となっています。

バージョン0.7で変更された利用方法

続いて、新バージョンになり利用方法が変更された機能について紹介します。

チケットの登録・更新

新バージョンからタブメニューに「新しいチケット」タブが追加され、このタブを選択することで新規にチケットを追加できるようになりました。そのため、⁠チケット」タブではチケット一覧画面が表示されるようになり、この画面からのチケット登録はできなくなりました。

新規チケットの追加方法は特に上記に述べた程度の変更ですが[1]⁠、既存チケットの更新方法をもう少し解説しておきます。

チケットの具体的な追加方法は、チケット一覧画面にて、チケットの題名をクリックするか題名以外のエリアで右クリックし、⁠編集」を選択します。すると、チケット詳細画面に遷移しますので、コンテンツエリア右上部の「更新」を選びます。そうすることで、各種の入力値を変更することができますが、⁠題名」「説明」については変更欄が表示されていないため、更新できないのではないかと思われるかもしれません。⁠題名」および「説明」を更新するためには、⁠プロパティの変更(続き⁠⁠」をクリックすることで可能となります[2]⁠。

「題名⁠⁠、⁠説明」の変更
「題名」、「説明」の変更

一括編集機能

以前のバージョン(0.6系)では、問題一覧画面にて更新したい「問題」を選択し、鉛筆のアイコンをクリックすることで、選択した問題を一括編集することができました。

しかし、今回のバージョンから鉛筆アイコンが無くなりました。その代わりに一括チェック機能が追加され、チケット一覧画面の表題左部のチェックアイコンをクリックするとことで、チケットの一括チェック/チェック解除ができるようになりました。

新バージョンで一括編集する場合は、編集したいチケットの左部にチェックをいれ、チェックいれたチケットの上部にマウスカーソルを合わせて右クリックして、⁠編集」を選択します。

一括編集
一括編集

後は以前と同様に変更したい箇所のみ値を設定し、⁠保存」します。

さらにShiftやCtrlキーを利用することで範囲指定も可能となりました。具体的な利用方法としては、上記の一括編集画面にて、チケット番号4にチェックを入れ、チケット番号2までの範囲のチケット全てをチェックする場合は、チケット番号2のチェックを入れる際にshiftキーを押しながらチェックを入れることで範囲指定ができるようになりました。

ソースコードの改修でよりRedmineを使いやすくする

任意のリビジョンの変更されたソースコードの閲覧

Subversionリポジトリにて、任意のリビジョンをアクセスした際、変更箇所の差分を確認することができます。しかし、差分だけでなくコード全体を見ないと変更内容を理解できない場合もあるかと思います。そこで以下のファイルを変更することで、ソースコードへアクセスできるようにします。

  • 編集ファイル : ${RAILS_ROOT}/app/views/repositories/revision.rhtml

改修前のコードの一部は以下のようになっています。

48行目 <tr class="<%= cycle 'odd', 'even' %>">
49行目 <td><div class="square action_<%= change.action %>"></div> <%= change.path %> <%= "(#{change.revision})" unless change.revision.blank? %></td>

赤字で表示された箇所を以下のように編集します。

48行目 <tr class="<%= cycle 'odd', 'even' %>">
49行目 <td><div class="square action_<%= change.action %>"></div> <%= link_to l(change.path), :action => 'entry', :id => @project.id, :path => change.path %> <%= "(#{change.revision})" unless change.revision.blank? %></td>

この改修をすることで、変更されたファイルのパスをクリックすることで、ソース全体を閲覧することができるようになります。

ソースコードへのリンク
ソースコードへのリンク

経過時間の詳細でリビジョンへのリンクを可能にする

コミット時のメッセージにチケット番号を入力することで、そのメッセージからどのようなバグ対処や機能追加を行ったかをRedmineのビューアで辿れるようにすることができます[3]⁠。それと同様に、経過時間管理でも、経過時間登録時のコメント入力時にリビジョン番号を入力しておくことでリンクが自動生成されれば、どのような作業にどの程度の時間を要したかを振り返る際に便利になります。

この機能を追加するために編集するファイルは、以下のファイルです。

  • 編集ファイル :${RAILS_ROOT}/app/views/timelog/_list.rhtml[4]

改修前のコードの一部は以下のようになっています。

26行目 <td class="comments"><%=h entry.comments %></td>
27行目 <td class="hours"><%= html_hours("%.2f" % entry.hours) %></td>

赤字で表示された箇所を編集します。

26行目 <td class="comments"><%= textilizable entry.comments %></td> 
27行目 <td class="hours"><%= html_hours("%.2f" % entry.hours) %></td>

この改修を行うことで、経過時間詳細画面に表示されるコメントにリビジョン番号やチケット番号が入力されている際はリンクが生成されます。

また、生成されたリンク上にマウスカーソルを移動することで、コミットメッセージを閲覧することもできます。

リビジョンへのリンク
リビジョンへのリンク

今回は、新バージョンの新機能および利用方法の変更箇所の紹介とソースコード改修でRedmineをより使いやすくする方法を解説しました。

次回は、Redmineを題材として、パフォーマンスを考慮した軽量Webサーバの導入・運用方法についての紹介を予定しています。

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