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第3回サーバ仮想化の鍵を握る「アプリケーション視点」③アプリケーション視点での仮想サーバ運用

第2回に続き、日立のCosminexus V8.5の「アプリケーション視点での仮想化」機能を使って、仮想環境における運用操作の問題を解決する方法を見ていきます。

仮想サーバ運用をシンプル化

Cosminexus V8.5では、同じ業務アプリケーションを実行する仮想サーバを「管理ユニット」という1つのグループとして扱います。業務アプリケーションを指定するだけで、仮想サーバの起動/停止/更新などの運用操作を一括して行うことが可能になります。

具体的には、次のような運用上の問題を改善できます。

アプリケーション更新時の作業負荷やミスを低減
サービスを止めずに業務アプリケーションを更新(ローリングアップデート)する際に、該当の仮想サーバに対するデプロイ、アプリケーションの起動/停止、ロードバランサの設定といった一連の操作を、すべて自動で一括して実行できます。作業の負荷や手作業によるミスを低減できます。⁠図1⁠⁠。
図1 ローリングアップデートの一括実行
図1 ローリングアップデートの一括実行
スムーズな障害対応
物理サーバ/仮想サーバ/業務アプリケーションの関連を一元管理できるため、障害が発生した場合も、対策すべき範囲がすぐわかり、スムーズに対応できます。

仮想サーバの更新手順

仮想サーバのローリングアップデートを行う場合、以下のような流れになります。

管理ユニットの更新

管理ユニットの更新とは、管理ユニットで使用する仮想サーバのイメージファイルを再作成することです。この作業は、システム稼働中に行うことが可能です。 まず、管理ユニットがベースとして利用する仮想マシンに対して、OSの更新プログラムを適用します。その後、VMwareなどの仮想化ソフトウェアの機能を利用して新しいマスタイメージを再作成します。

最後に、仮想サーバマネージャの機能を利用して、新しいマスタイメージと既存のアプリケーション情報から、管理ユニットで使用する仮想サーバのイメージファイルを作成します。 なお、古いイメージファイルはバックアップとして保持されます。 これをまとめると、管理ユニットの更新は図2のような流れで実施します。

図2 管理ユニットの更新
図2 管理ユニットの更新

管理ユニットのローリングアップデート

管理ユニットに属する仮想サーバに新しいイメージファイルを配布することで、更新を反映します。仮想サーバマネージャなら、一度の操作で管理ユニット内の仮想サーバに更新を反映することが可能です。仮想サーバマネージャは、仮想サーバの停止や起動、仮想サーバイメージの変更、ロードバランサの設定といった複雑な操作を1つずつ順に自動実行します。

図3 管理ユニットのローリングアップデート
図3 管理ユニットのローリングアップデート

最後に

これまで3回にわたって、仮想化サーバの構築・運用上の課題であるアプリケーションの設定や更新について説明してきました。Cosminexusでは、アプリケーションも含めて一括構築・運用管理する「仮想サーバマネージャ」で、これらの作業負荷を軽減できます。⁠仮想サーバマネージャ」を使用する場合は、個々の仮想サーバの設定は不要です。仮想化の恩恵を享受しつつ、Webシステムを柔軟に拡張できるこの機能は、今後のサーバ仮想化において、必須と言えるでしょう。

出典:Cosminexusホワイトペーパー「Cosminexus8.5の仮想化技術」
URL:http://www.hitachi.co.jp/Prod/comp/soft1/cosminexus/whitepaper/pdf/wp_virtualization.pdf

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