テストリーダへの足がかり,最初の一歩
第0回 テスト技術を使う前に知っておきたいこと
はじめに──脱「新人」を果たしたテストエンジニアの皆さんへ
読者の皆さんこんにちは,今回の連載を担当させていただく,TISの鈴木と日立情報通信エンジニアリングの池田です。テストエンジニアステーションでは,「新人注目! テストを極める最初の一歩」に続いての連載となります。
前回の連載では,職場に配属されたばかりの新人が「初めての仕事としてのテスト」にどう取り組んでいくべきなのか,作業とその考え方に視点を置いて解説しました。
ソフトウェアテストについて書かれている本の多くは,テストの手法や技法の解説などに主眼が置かれています。しかし,実際の作業で問題になっているのは,技術を使う以前の内容です。実は,技術以前に身に着けておくべき事柄がたくさんあります。また,事柄だけではなく,心がけも重要です。これら身につけておくべき事柄をケーススタディを挙げながら解説しました。
本連載は,こうした身につけておくべき基本的な事柄や心がけを押さえた方,つまり,テストという世界にデビューして5年目程度の方を主な読者として進めていくことになります。
具体的には,テストチームにおいてテスト実施を主な仕事として行ってきた5年目のエンジニアを主人公として,次に目指すキャリアとしてテストリーダを考えたときに,その第一歩となる道しるべの一つを,ケーススタディをあげて解説していきます。
本連載の対象読者
本連載は,テストの経験が5年程度である方を主な対象とします。Web媒体という制約上,すべてを子細には解説できないため,ポイントを絞って解説を行います。おおまかには以下のようなイメージでお読みいただければと思います。
- 初級者(テスト経験2~3年程度)
- 自分が数年後に与えられるであろう仕事のイメージをつかみ,今からどのような勉強をしていけばいいのか,参考にしてください。
- 中級者(テスト経験5年程度)
- 現在自分が行っている業務との差異を意識しながら読み進めて下さい。もし取り入れられる内容があれば,是非業務に生かしてください。
- 上級者(テスト経験10年以上)
- 部下を育成する際の参考として読み進めてください。
テスト経験が0年~1年程度の初級者の方は,まず,前回の連載「新人注目! テストを極める最初の一歩」をお読みいただき,その上で本連載をお読みいただければと思います。
本連載の進め方
基本的な進め方
本連載は全6話を予定しています。
この6話はテストのライフサイクル(※1)の構成要素である「テスト計画」「テスト分析」「テスト設計」「テスト実装」「テスト実施」「テスト報告」の各要素ごとを1話ごとに扱い,また,前編と後半に分けて進めていきます。
連載は基本的に登場人物の会話が中心となります。登場人物は,入社5年目のテストリーダを目指す中山君とベテラン大塚先輩,柏田マネジャーの3人が中心になります。
前編では,柏田マネジャーと大塚先輩から出される作業指示と,それに対する中山君の作業結果,つまり成果物を示します。後編では前編での中山君が示した成果物について,大塚先輩や柏田マネジャーが不十分な点を指摘すると共に,本来どのようにすべきだったのか,アドバイスを与えていきます。
読者の皆さんは後編が掲載されるまでに,中山君の成果物のどこか悪いのか,そして,どうすべきだったのか,一緒に考えていただけたらと思います。
中心となる登場人物
- 柏田マネジャー:
- 5年前に新規事業としてソフトウェアの検証事業を自ら企画し,以来ずっとソフトウェアテスト関連事業を統括している。無類の釣り好き。
- 大塚先輩:
- 入社10年目。5年前に柏田マネジャーと一緒にソフトウェアテスト事業を立ち上げた。カメラが趣味で,暇さえあれば写真を撮りに出かける。
- 中山君:
- 入社5年目。本連載の主人公。入社以来ソフトウェアテスト一筋で経験を積んできた。そろそろ大きい仕事をしたいと考えている。
連載各回のテーマ
テストのライフサイクルに従って,以下のようなテーマで進めて行く予定です。
- 第1話:テスト計画(前編・後編)
- 第2話:テスト分析(前編・後編)
- 第3話:テスト設計(前編・後編)
- 第4話:テスト実装(前編・後編)
- 第5話:テスト実行(前編・後編)
- 第6話:テスト報告(前編・後編)
最後に
テストオペレータから次のキャリアに進む際,多くの場合はテストマネージャが示されますが,その道は長く険しいものです。
実にさまざまな経験を積む必要があります。
しかしながら,このオペレータとマネージャをつなぐさまざまなキャリアについては,あまり情報がなかったように思います。
この連載を通し,ひとつでも道標をご紹介できたらと考えています。
上述の通り,この連載は登場人物の会話を中心にすすめていきます。
どうぞ肩肘を張らずに気軽にお読みいただければと思います。
(イラスト:ひのみえ)

