読者の皆さんこんにちは,TISの鈴木と日立情報通信エンジニアリングの池田です。すでに第0回にて本連載の概要について説明しましたが,本連載は「テストエンジニアの道に入って3年くらい経験を積んできたが,そろそろテストリーダに挑戦してみたい」と考えている方を対象とします。
技術的なあれこれよりは,テストリーダとして担当する作業において必要となる基本的な考え方や段取り,取組む意識や姿勢という観点を重要視します。コラムや読み物といった雰囲気で,サラリと読めるものにしたいと思いますので,どうぞ読者の皆様もお気軽にお読みください。
さて,全6エピソードのはじめとなる第1回は「テスト計画」を取り上げます。まだまだ経験が少ないテストエンジニアは計画立案という仕事にはなかなか携わることができません。初めての「テスト計画」を行うにあたって,どうすればよいのかを考えていきます。
【今回の登場人物】
- 柏田マネージャー:
- 5年前に新規事業としてソフトウェアの検証事業を自ら企画し,以来ずっとソフトウェアテスト関連事業を統括している。無類の釣り好き。
- 大塚先輩:
- 入社10年目。5年前に柏田マネジャーと一緒にソフトウェアテスト事業を立ち上げた。カメラが趣味で,暇さえあれば写真を撮りに出かける。
- 中山君:
- 入社5年目。本連載の主人公。入社以来ソフトウェアテスト一筋で経験を積んできた。そろそろ大きい仕事をしたいと考えている。



初めてのテスト計画!?
中山君は入社5年目の若手テストエンジニアです。入社以来ずっとソフトウェアテストを担当し,主にテスト実施者として経験を積んできました。本人もテストについてはだいぶわかってきたと自信を持ち始めており,そろそろ大きな仕事もしてみたいと希望を持っています。
そんな中山君,ここ数ヵ月担当していたテストの作業が終わり,仕事がひと段落。次の仕事に備えて今までの資料の整理を行っていました。
中山君:- 「ふぅ,ようやく片付いたぞ。なんだかんだで大変だったなぁ。でも,以前に比べてずいぶん仕事をこなせるようになってきたなぁ。そろそろ大きな仕事もしてみたいな…」
自分が仕事を始めた頃を思い出して感慨にふけっていたところに,同じ部署の大塚先輩がやってきました。
大塚先輩:- 「中山君。ちょっといいかな? 今,手は空いてる? 空いてたら第三会議室まで一緒に来てほしいんだけど。」
大塚先輩は同じ部署の先輩ですが,今まで中山君は一緒に仕事をしたことはありません。
中山君:- (ひょっとすると新しい仕事なのかな?)
これは新しい仕事の説明かもしれません。心が躍ります。
中山君:- 「はい!すぐに行きます!」
元気よく答えたものの,大塚先輩は厳しい人だとみんなが話をしているのを思い出しました。多少緊張しながらも,でもやはり新しい仕事に取り組めるかもしれないとのワクワク感には勝てません。足取りも軽く,会議室に移動します。ドアを開けると,部屋にはこれまた一緒に仕事らしい仕事をしたことがない,柏田マネジャーが座っていました。
中山君が緊張の面持ちで椅子に座ると,柏田マネジャーは話し始めました。
柏田マネージャー:- 「中山君は入社してから何年目になったのかな?」
中山君:- 「はい,5年目になります。」
柏田マネージャー:- 「仕事の方はどう?」
中山君:- 「最初のうちは,キーボードや端末操作だけだったのでよくわからなかったのですが,最近,テストケースの作成もやらせてもらえるようになって楽しくなってきました!」
柏田マネージャー:- 「なるほど。では,そろそろいいころかもしれないね。ところで,大塚君からみて中山君をどう思う?」
大塚先輩:- 「少し不安なところはありますが,まあ私がサポートすれば大丈夫と思います。」
柏田マネージャー:- 「ふむ。大塚君が,そう言うのだったら安心だね。中山君の面倒は大塚君に任せるとしよう。」
そう言うと,柏田マネジャーはおもむろに中山君に向き直るとこう告げました。
柏田マネージャー:- 「ところで中山君。実はこの新しい案件のリーダを君に任せようと考えている。早速この案件概要を読んでもらえるかな?」
柏田マネジャーは,案件概要が書かれた書類を中山君に渡しました。パラパラめくりながら内容を確認してみると,今まで中山君がやってきた仕事と同じような規模・内容のようです。
中山君:- 「正直,不安なところはありますが,ぜひリーダに挑戦させてください!」
柏田マネージャー:- 「中山君なら,この案件を成功させられると思う。是非がんばってください。何か困ったことがあったら積極的に大塚君に聞くようにしてね。」
中山君:- 「わかりました! 柏田マネジャー,大塚先輩,よろしくお願いします!」

