Windows Phoneアプリケーション開発入門

第1回Windows phoneを取り巻く環境

Windows MobileとWindows phone

Windows phoneとは、Microsoft社が開発する携帯電話やPDAといったモバイル端末向けに最適化されたプラットフォームです。

私たちユーザーの手元に届く時には、メーカーの端末にWindows phone OSが搭載された形になっています。各社端末ごとに液晶サイズが違っていたり、独自アプリケーションが搭載されていたり、ハードキーボードが付いていたり付いていなかったりします。

最近発売された端末の中には、東芝社製のT-01Aのように大画面のタッチパネルで、指でなでるように操作することのできるものもあります。多種多彩な端末の中で共通のOSが動作しており、新しいWindows phone端末に乗り換えたとしても、大抵の場合は今まで使っていたソフトウェアがそのまま動作します。

Windows Mobileは、バージョン6.5よりWindows phoneと名前が一新されました。本連載ではこのWindows phoneという名前を使い、特に断りがなければWindows Mobileも含むことにします。

さて第1回目は、開発の話をする前にWindows phoneについて知って頂きたいので、Windows phone(Windows Mobile 6.5)で新しく追加された機能について説明させて頂きたいと思います。よろしくお願いします。

Windows phoneで追加された新機能

Windows phone端末の発売と同時に、今後コアになると思われる2つのサービスが開始されました。⁠Microsoft My Phone」「Windows Marketplace for Mobile」です。それぞれのサービスにアクセスする専用のクライアントソフトが標準で搭載されています。

図1 Windows phoneのToday画面
図1 Windows phoneのToday画面

Windows Mobile 6.5 Developer Tool Kitに含まれるデバイスエミュレータで、Today画面を表示すると真ん中あたりにそれらのアイコンが配置されています。

大切なデータを守る「Microsoft My Phone」

まず一つ目のMicrosoft My Phoneです。このMy Phoneは、連絡先・予定・仕事・画像をクラウド上のサービスにバックアップすることが可能です。PCを介さずに自動でバックアップを行い、通信が可能な場所に居れば同期を行えます。

図2 My Phoneを使ってコンテンツの同期を行う
図2 My Phoneを使ってコンテンツの同期を行う

My Phoneはバックアップ機能だけではなく、撮影した写真をソーシャルネットワークサービスへ直接アップロードすることができます。

図3 写真の共有を行うこともできます
図3 写真の共有を行うこともできます

「メニュー⁠⁠→⁠写真の共有」からソーシャルネットワークサービスを選択します。現在追加できるサービスは、facebook、Flickr、MySpaceの3つのようです。今後続々とMy Phoneに対応したサービスが増えると嬉しいですね。もちろんMicrosoft社のWindows Liveにも対応しています。

図4 ソーシャルネットワークサービスの追加
図4 ソーシャルネットワークサービスの追加

プレミアムサービスに登録するとリモート管理機能を利用できます。紛失したWindows phoneをGPSを使って地図上から探したり、遠隔操作でデバイスにロックをかけたり、デバイスのデータを消去することもできます[1]⁠。

営業先の情報をWindows phoneで共有している場合など、大切な情報が流出してしまわないためにビジネスパーソンには必須の機能かもしれません。

アプリケーション配信サービス「Windows Marketplace for Mobile」

二つ目はアプリケーション配信サービスの「Windows Marketplace for Mobile」です。

図5 Windows Marketplace for Mobileの起動後のメニュー画面
図5 Windows Marketplace for Mobileの起動後のメニュー画面

Marketplaceを起動するとメニューが表示されます。登録されているアプリケーションのカタログ、インストール済みのアプリケーションの管理画面などを表示されており、Windows phoneに導入されたアプリの情報を一意に管理することが可能です。

カタログでは、ゲーム・ビジネス・ニュースなどのジャンル別にアプリが並んでいます。

図6 最新の人気のアプリケーションの一覧を表示
図6 最新の人気のアプリケーションの一覧を表示

人気のアプリケーションの一覧からMy Phoneを選択したところです。このように説明を読んで気に入れば、登録されている世界中のアプリケーションをWindows phoneへダイレクトにダウンロードしてきてインストールすることができます。

図7 選択したアプリケーションの詳細
図7 選択したアプリケーションの詳細

Windows phoneでは公式として世界中のアプリを総括的に管理して配信するサービスが存在していませんでした。私も日本国内ではユーザが有志で運用しているアプリ情報まとめサイトやアプリケーション配信サービスを利用して、アプリケーションの新着情報を見てダウンロードを行っていました。

現時点ではWindows phone(Windows Mobile 6.5)のみの対応となっており、Windows Mobile 6.1以前の端末ではMarketplaceが利用できません。日本市場で主流のバージョン6.0及び6.1搭載の端末でも、2009年末には使えるのようになるとのことで今から楽しみですね[2]⁠。

今まではライトユーザーが気軽にカスタマイズしやすいとは言えませんでしたが、今後は使いたいアプリがすぐに導入できるようになります。標準で搭載されている機能ですので、⁠利用者が増える→登録アプリも増える」の好循環が生まれ、Windows phoneアプリの需要がますます高まっていくと思います。

Marketplaceの普及に取り組むMicrosoft

アプリを配信するには、Windows Marketplace for Mobileのパートナーアカウントの登録が必要です。

登録は有償($99)ですが、2010年1月12日までに登録を行いアプリ審査が通過すると、Amazonギフト券10,000円分をもらえるキックバックキャンペーンを実施しており、実質費用をかけずに公開可能になっています[3]⁠。

また、DreamSparkプログラムに参加可能な学生であれば登録料が免除されるので、積極的に利用するとよいでしょう[4]⁠。

パートナーアカウントとアプリケーションの登録については、近いうちに取り上げたいと思います。

まとめ

いかがだったでしょうか? 今回は「Windows phoneを取り巻く環境」として、Windows phoneの登場と共に開始した二つのサービスについてお話をさせて頂きました。

Windows Mobile 6.5へのアップデートが予定されているT-01Aを除けば、最初からWindows phone(Windows Mobile 6.5)が搭載された端末は、現時点では日本のキャリアからは提供されておらず、日本市場でどのように浸透していくのか分かりませんが、ただ言えるのは今まで以上に門を広くして、よりライトユーザーにとって使いやすいケータイであるのは間違いありません。

次回は「Windows phoneアプリ開発の第一歩」として、今回紹介したWindows phoneで動作するアプリの開発環境についてのお話をしたいと思います。以上で今回は終わりです。ありがとうございました。

おすすめ記事

記事・ニュース一覧