Windows Phoneアプリケーション開発入門

第10回 Windows Phone 7 Seriesが登場

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イマドキ?Windows Phone 7 Seriesのハードウェアスペック

Windows Phone 7 Series以前のWindows Mobile端末は,実装を担当するメーカーによって異なるデバイスが搭載されていました。そのためかアプリケーション開発においても機種依存の部分が目立ちました。

Windows Phone 7 Seriesでは,搭載するデバイスのガイドラインが定められ,ハードウェアを使ったアプリケーション開発が容易になるように共通化されています。それに伴いiPhoneやAndroidといったスマートフォンと同等かそれ以上のハードウェアスペックとなっています。

センサー類は,A-GPSや加速度センサ,電子コンパス(地磁気センサ⁠⁠,光センサ,近接センサが搭載されており,ハードウェアボタン関係では,⁠スタート」⁠検索」⁠戻る」の3つとのボタンと,カメラ専用のシャッターボタン。カメラは5Mピクセル以上のもので,かつフラッシュ付きでなければいけません。

また同時に4点以上検出可能な静電容量式のタッチスクリーンも必須となります。スクリーンの解像度は2種類あり,当初は480x800のWVGAまたは320x480のHVGAのいずれかで,後から増える予定らしいです。

CPUは,クアルコム社が開発したT-01AやX02Tに搭載されているチップセットSnapdragon(Scorpion)と同等のもので,GPUはDirectX 9相当のハードウェアアクセラレーションを持つもの。

メモリは256MB以上,ストレージは8GB以上と大容量になっています。Windows CE 5.0までは32MBに制限されていた各プロセスの仮想アドレス空間が,Windows CE 6.0では2GBに拡張され,よりリッチなアプリケーションの作成が可能です。

Windows Phone 7 Series 開発者向けの無償ツールの公開

開発者にとって嬉しい話題です。Microsoftはアプリケーションの拡充を図るため,Windows Phone 7 Series上でのSilverlightを使った開発支援のため,⁠Visual Studio 2010 Express for Windows Phone」と呼ばれる開発ツールパッケージを公開しました。

このパッケージ単体でXNAやSilverlightを使った開発が可能ですが,⁠Expression Blend for Windows Phone Community Technology Preview」と併用することでデザイン性にすぐれたSilverlightアプリケーションを作成することができます。

Windows Phone 7 Seriesで非対応となったもの

Windows Phone 7 Seriesになって嬉しいことだけではなく,残念な点もいくつかあります。現時点での情報となりますが,非対応となっている項目をピックアップしました。

まず,ネイティブコードを扱うことができません。ネイティブアプリを作成することができないだけではなく,Silverlight等のマネージドコードからP/Invokeを使って,WIN32APIを始めとするネイティブ関数やシステムコードを扱うことができません。

さらにSilverlightとXNAを動作させるランタイムとして,.NET Compact Framework 3.7が搭載されていますが,残念ながらWindowsフォームベースのアプリケーションが動作しません。既存のWindows Mobile向けのアプリケーションは,Windows Phone 7 Seriesでは動作しません。

また,ユーザー間にてインストールファイルを配布・公開するいわゆる「勝手アプリ」が使えなくなります。これからはWindows Phone Marketplace経由でのみ,インストールが可能となります。

さいごに

Windows Phone 7 Seriesの登場によって,Microsoftの提唱するパソコン,携帯電話,テレビの3つのデバイス(のスクリーン)の壁を意識せずにインターネット(上のクラウド)と繋がる「3 Screens+1 Cloud」の世界に一歩近づきました。

SilverlightとXNAの対応によって,まだ完全にとは言えませんが,モバイル開発者,Webアプリケーション開発者,ゲーム開発者といった壁は着々と無くなりつつあるのかもしれません。

日本での実機の発売予定は現時点ではありませんが,Windows Phone 7 Series上で動作するアプリケーション開発が可能な「Visual Studio 2010 Express for Windows Phone」が無償で公開されています。

一足先にWindows Phone 7 Seriesを体験したい方は,是非ダウンロードしてお試しください。

本連載でも次回から数回に渡って,Windows Phone 7 Series エミュレータを使用したアプリケーションの作り方をご紹介したいと思います。

著者プロフィール

和田健司(わだけんじ)

1982年10月12日生まれ。大阪で働くプログラマ。Microsoft MVP for Device Application Development(Jul 2010 - Jun 2011)。Windows Mobileに傾倒し今に至る。Windows Mobile向けのTipsを書いています。iPhoneアプリ開発を始めました。嫌いな食べ物はカレー。

URL: http://ch3cooh.jp/
Blog: http://d.hatena.ne.jp/ch3cooh393/