テスト技術者の転職

第2回 [ステップ]転職準備編

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はじめに

第1回では「[ホップ]スキルの棚卸編」と題して,テスト技術者として転職する上で自身の商品価値を知るという意味で「スキルの棚卸」の必要性と,そのポイントを説明しました。今回は,「[ステップ]転職準備編」として,自身の商品価値がわかった後,どのように転職機会を調べていけばよいか,ヒントやコツについてお話ししていきます。

テスト技術者の実態

2008年現在,まだまだIT技術者が不足していると言われています。ですから,技術者に対する就業機会は十分あるはずなのですが,その中でもテスト技術者の就業機会がどれくらいあるかを知るために,そもそもテスト技術者が,技術者層の中でどれくらいの割合を占めているのか,経済産業省の調査※1を見てみましょう。

※1)
「2007年版 組込みソフトウェア産業実態調査報告書」/平成19年6月 経済産業省商務情報政策局 情報政策ユニット情報処理振興課

これによると,組込みソフトウェア技術者の総数は約23万5,000人とされています。この中からテストに関わる技術者※2としては,テストエンジニアQAスペシャリストが職種として定義されていますので,この2つの職種のデータをピックアップします。

※2)
組込みスキル標準(ETSS)で定義されている職種となります。

ちなみに,残念なことにエンタープライズ系のスキル標準であるITSSでは,テストや品質に関わる職種が定義されていません。このためエンタープライズ系でテストに関わる技術者がどれくらいいるのかといった詳しいデータは無いと思われます。ただし,テストや品質に関わる技術者の割合そのものは,エンタープライズと組込みで大きな差はないと私は感じています。ですから,このデータはエンタープライズ系の方にも十分参考となるでしょう。

図1 職種別人数構成比 「2007年版 組込みソフトウェア産業実態調査報告書」より

図1 職種別人数構成比

テストエンジニアは12%,QAスペシャリストは2.8%となっています。ですから,調査時点ではテストエンジニアは約28,000人,QAスペシャリストが約6,500人程度いることがわかります。

転職前にスキルを磨け!

次にスキルレベルごとの分布を見てみましょう。

図2 スキルレベル職種別構成比 「2007年版 組込みソフトウェア産業実態調査報告書」より

図2 スキルレベル職種別構成比

このデータは,社内と派遣(協力会社も含まれるでしょう)とに分けて,エントリ,ミドル,ハイ※3それぞれのスキルレベルがどの程度存在するかを示しています。

※3)
エントリは先輩や上司の指導の下業務が行えるレベル。ミドルは一人で業務を回せるレベル。ハイは社内や業界を引っ張っていくレベル。

テストエンジニアだと,エントリレベルは社内と派遣とが同程度の割合で,ミドルは6:4程度の割合,ハイレベルは8割以上が社内であることが見て取れます。つまりスキルレベルが高いほど,社外の人材の利用が難しくなっていることがわかります。

ですから,ETSSの定義において本来,ミドルレベル以上しかいないことになっているQAスペシャリストになると,ほとんどが社内が占めています。これはQAスペシャリストが,品質保証関連の部門で,多くは出荷判定に携わっており,責任と権限を持っているためだからです。

では,テストエンジニアやQAスペシャリストの絶対数は不足しているのでしょうか? 十分であれば人材募集がないので困りものですが,そんなことはありませんのでご安心?ください。

図3 職種,スキルレベル別不足率 「2007年版 組込みソフトウェア産業実態調査報告書」より

図3 職種,スキルレベル別不足率

これを見ればおわかりのように,職種に関わらず技術者の絶対数そのものが不足しています。またこの調査によると,組込みソフトウェア業界全体では約99,000人も不足しているそうです。総じてスキルレベルが高いほど,不足感も高くなる傾向にあります。つまり転職機会は,スキルレベルが高ければ高いほど,選択肢が広がるわけです。

ですから,今のスキルレベルが低いのなら,転職をすることでスキルアップを目指したい! というアプローチを取るよりは,現在のスキルレベルをできるだけ高めてから転職活動をした方が,成功率がアップするということが言えます。

とくに,テストの実施経験はそれなりにあるのだけれど,テスト設計や計画の経験をあまり積めていない方や,テスト以外の開発工程の経験がない方には強く意識してもらいたいことです。

著者プロフィール

大西建児(おおにし けんじ)

株式会社豆蔵 シニアコンサルタント。

典型的な日本企業と外資系の企業で,テスト技術者として合計10年ほど勤め上げた(?)後,テクニカルPMもどきを経験し,気がつけばテストやソフトウェア品質に関するコンサルタントになっていたという経歴を持つ。

メッセージ:「我こそはと思うテストリーダは是非当社にご応募ください。(^.^)」

著書

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