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2013年8月第5週他人事ではない、スマートフォンのバッテリ事故

iPhoneの感電事故

少し前の話題ですが、⁠iPhoneを充電中に、かかってきた電話に出たところ感電死した」という他人ごとでは済ませられないニュースが中国メディアによって報じられました。この事故の被害者は、非正規の充電器を使っていたとされています。感電事故は、このほかにも発生しています。こちらは、純正の充電器を使っていたとされています。しかし、安全回路などが省略された部品が使われた、問題のある充電器ではないかとされています。

この事故に対してのAppleの動きは早く「USB電源アダプタ回収プログラム」を8月16日から10月18日まで実施しています。このプログラムは、充電器の回収だけではなく、ユーザが購入した他社製の充電器を1台に限り、特別価格の1,000円で純正品に交換してくれます。充電器は、純正品に似せた模造品があるので、心当たりがあるユーザは、このプロラムを使ってみるのはいかがでしょうか。1,000円で、安心が買えると思えば安いものです。

プログラムを案内するWebサイト。USB 電源アダプタ回収プログラム
プログラムを案内するWebサイト。USB 電源アダプタ回収プログラム

GALAXYでも似た事故が発生

今回の事故は、Androidユーザにとって対岸の火事ではありません。

アラブ首長国連邦では、サムスンのGALAXY S4で、純正のUSB電源アダプタとケーブルを使って充電をしている最中に、本体のUSB端子から発火し、これが原因で、本体のUSBコネクタ周辺とカバーが焦げたしまったという事故が発生しています。サムスンは、被害を受けた本体とカバーを新品に交換して、事故で故障した物品の一式を回収し、事故の原因究明に取り組むという声明を発表していますが、いまのところ原因は不明のようです。これ以外でも、GALAXYがカバンの中で爆発し18歳の女性が大火傷を負ったとスイスで報道されています。

サムスンはお願いを掲載

一連の事故を受けてか、サムスン電子ジャパンは同社製スマートフォンのユーザに対して、本体を充電する際は、純正バッテリと充電器を使用するよう呼びかける文を公式サイトに公開しています。

お願いを掲載しているWebサイト。純正バッテリと充電器 ご使用のお願い | Samsung.com
お願いを掲載しているWebサイト。純正バッテリと充電器 ご使用のお願い | Samsung.com

事故は、純正品を使って発生しているケースもありますが、純正品以外の充電器やバッテリが使われているケースもあるようなので、事故防止のために、今回の文の掲載に至ったのではないかと考えられます。

非純正の充電器やバッテリ以外にも、GALAXYシリーズ向けには、Qi準拠のワイヤレス充電に対応させるアンテナキットが販売されており、一部のユーザでは話題になっています。これも純正ではなくサードベンダ製なので、発火事故のニュースが続くと、こうした製品を使うのも考えたほうが良いのかもしれません。

過去にもあったバッテリ事故

バッテリが関わる事故は、スマートフォンだけではありません。

2006年から2007年にかけて、ノートパソコンのバッテリが燃える事件が相次いで、⁠燃えるノートPC」として世間を騒がせました。

この時は、ソニーが製造したバッテリを使っていたノートパソコンが対象となっており、Appleや富士通や東芝、シャープ製などのノートパソコンを対象に、大規模なバッテリ交換プログラムが実施されました。このプログラムで対象になったノートパソコンは960万台を上まり、その費用は510億円とされたので、規模の大きさがご理解頂けるはずです。

リチウムイオン電池は危険なもの

事故を起こした端末には、リチウムイオン電池が使われています。

身近なスマートフォンで使われているので、リチウムイオン電池を危険なものとは意識せずに使っていますが、実は、非常にデリケートな物です。たとえば、充電時は、数十mVのレベルで電圧を監視して、極めて高い精度でコントロールしています。これに不備があると、過充電状態になり、最悪の場合は、発熱や発火などにつながります。

純正電池パックは、純正の充電器で充電されることを想定して、過充電や過放電を防ぐ機構を内蔵して安全に使えるよう配慮されていますが、安価なバッテリは、安全機構が省かれていたり、制御機構に不備がある可能性があります。Appleの電源アダプタ回収プログラムやサムスンの純正バッテリ使用のお願には、こうした理由もあるはずです。

まずは、自衛策から

人気機種では、電池パックや充電器、ケーブルなど、安価な物が出回っていますが、購入前に、どのようなメーカが製造して販売しているのか、確認することをオススメします。サードパーティ製のすべてがダメとは言いませんが、実績のあるメーカの物を選び、製造元の不明の製品に手を出すのは、今回のような事故が発生する可能製があることを、承知しておいたほうが良いかもしれません。

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