Android Weekly Topics

2014年6月第4週 次期Androidの展望

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次期Androidはどうなる?

Android 4.4KitKatで試験的に搭載された仮想マシンの「ART」が,次回リリースされるAndroid OSで標準になる可能性があります。これは,オープンソース版Androidのマスターブランチで,ARTがデフォルトになったことをXDA Developersが見つけたのが話の発端です。

Android 4.4 KitKatのリリースが2013年10月31日です。

今日まで,十分な試験データが得られたのか,2008年9月から続いたDalvikの引退時期が迫っているのは間違いなさそうです。さて,仮想マシンがARTに切り替わることにより,同じハードウェアでもアプリが速く・効率的に動作するようになります。また,CPUの動作率自体が下がるために,バッテリー駆動時間も長くなるとされています。

動作速度に関しては,Android 4.4 KitKatがリリースされた時に,Nexus 7を使って計測したベンチマーク結果があるので,これが参考になります。

Quadrant Standard(値が大きいほど高速)は以下のとおりです。

  • 5410 : Dalvik
  • 8024 : ART

Dalvikのベンチマーク結果

Dalvikのベンチマーク結果

ARTのベンチマーク結果

ARTのベンチマーク結果

NDKでコアロジックが書かれたアプリは,誤差程度の違いしか出ませんが,Javaで書かれたアプリであれば動作が速くなるのは明確です。この理由は,実行時にコンパイルする仕組みから,事前にコンパイルする仕組みになったことで,広範囲に渡り最適化が行えるようになったためです。DalvikからARTへの切り替えは,開発者・ユーザーともに,負担を強いるような変更ではなく,高速化とバッテリー駆動時間の改善の恩恵を受けられるので,切り替えは喜ばしい話です。まだ,正式発表はありませんが,Google I/Oでなんらかアナウンスがあるかもしれません。

新しい開発言語も登場するのか?

WWDCで,AppleがObjective-Cに変わる,新たな開発言語としてSwiftを発表しました。仮想マシンの切り替えが一段落したら,Androidも新たな開発言語が登場してくる可能性があるのでは?と考えさせられるニュースがありました。

ニュース自体は,少し古いものですが,新たな言語が登場する可能性を考える理由は,OracleとのJava言語をめぐる裁判で「米国法においてはJava APIの著作権がOracleに存在する」との判決が下されたためです。この判決が下されたのは,2014年5月9日なので,すぐさま動きがあるとも思えません。Oracleに,ライセンス料を支払い,しばらくはJavaを使い続けると思われますが,問題をかかえたまま,Javaを使い続けることはないだろうと考えています。

かつて,Microsoftは,Visual J++というのを独自のJava言語を開発していました。

Oracleが買収したSunと裁判になったことがキッカケで,Microsoftは,C#を登場させることになりました。

Googleも今回の判決をキッカケにして,Android向けに,新たな開発言語を登場させる可能性はあります。Googleが持っている開発言語といえば,⁠Go」「Dart」があります。Dartは,少しライトな言語なので,Javaの代替となるならばGoでしょうか。これが,Androidの開発言語となれば,イッキにメインストリームに踊り出すことになります。

開発言語は,Androidのエコシステム構築に直接は関係しませんが,大きな影響力を持っているのは事実です。開発言語が変われば,開発者は新たなノウハウの蓄積が必要になります。開発言語を使いこなすまでには時間がかかり,質の良いアプリが登場するまでには時間が必要になります。また,開発者から支持を失うことになれば,魅力的なアプリが登場しなくなる可能性もあります。よって,他者の意図に左右されない,Google自身がコントロールできる開発言語を持つことは,今後もAndroidのアプリを安心して開発し続けてもらうための保証とも言えます。

判決が下されたのが1ヵ月前なので,今月末に開催されるGoogle I/Oでは,明確なメッセージを示すことはないはずです。また,開発言語の移行となれば,既存のライブラリの移行やアプリの書き換えなどがあり,開発者には負担を強いることになり,慎重に進める必要があります。この先の舵取りは,Java問題をGoogleがどう捉えているかにかかっていますが,筆者自身は,Javaは,潮時なのではないかと感じています。来年のGoogle I/Oでは,新しい開発言語が話題になっている可能性は十分にあるはずです。

今週は,このあたりで。また,来週。

著者プロフィール

傍島康雄(そばじまやすお)

5月30日生まれ。

モバイルデバイスが大好物。それで動くアプリの開発に喜びを感じている。スマートフォン前夜のWindows Mobile,PalmOSのアプリに情熱を傾けていたが,最近は停滞気味でコードを書くよりも文章を書く機会が多くなっており,文章を書くのも,プログラミングと同じくらい奥深い作業だと感じている。

ブログ:http://yasuos.com/blog/

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