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2019年8月第1週折りたたみスマートフォン「Galaxy Fold」最新動向

折りたたみスマートフォン「Galaxy Fold」

発売延期になっていたSamsung初の折りたたみスマートフォン「Galaxy Fold」が、問題となっていた箇所の設計を見直して、2019年9月に発売すると発表しました。

価格は、2019年2月に発表されたときと同じで1,980USドル(約21万5000円)です。

4月の段階でも入手困難だと言われていましたが、昨今の日本政府の輸出管理見直しで必要な半導体部材の入手難易度が上がったため、さらに入手困難な端末になる可能性があると言われています。また、数が制限されるために、投入される市場自体も限られるのではないかとの話も出ています。なお、日本での発売は未定です。

発売延期までの経緯

Galaxy Foldは2019年2月に発表されて、4月26日のアメリカ発売に続いて中国でも発売予定でした。発売に先がけてメディアに対してレビュー用の端末を配布したところ、そのレビュワーからは「ディスプレイが壊れた」などの不具合報告が相次ぎました。Samsungは原因について調査を行うと約束しながらも、不具合はレビュワー向けに配布された端末のうち、限られた端末のみで発生すると主張していました。しかし、注目の端末だったこともあり、この不具合がメディアで大々的に取り上げられることになり、中国で予定されていた発売イベントを延期し、アメリカでの発売も4日前に延期を決定することになりました。

直後は、6月には発売されるとの話もありましたが、SamsungのDJ koh氏が発売延期のタイミングで「不十分な状態で、市場に投入したのは誤りだった」と発言したあとは、Samsungからは何も語られることはありませんでした。この間が長く続いたために、Galaxy Note 7と同様にGalaxy Foldも黒歴史扱いになるとの憶測が流れたこともありました。

設計を見直して発売

Samsungは、以下の設計見直しを行ったとリリースに掲載しています。

  • Infinity Flex Displayの保護シートをディスプレイのベゼルを超えて全体をカバーするように拡張。これにより保護シートを剥がせないようにした
  • 折りたたみの構造をゴミなどから保護する補強機構を追加
  • 折りたたみディスプレイのヒンジ部分に保護キャップを追加
  • ディスプレイ保護の強化のために、Infinity Flex Displayの下に金属層を追加
  • 本体とディスプレイの隙間を縮小した

現在は最終テストの段階で、発売延期からおおよそ3ヵ月程度の時間をかけて改良が加えられました。これは、根本的な設計見直しではなく見直しで対応できているので、設計・開発の段階でユーザーがどう扱うかの想定が甘く、先行のレビュワーに端末が手に渡った段階で想定以上の扱いがされて、潜在的な不具合が露呈したと考えてよさそうです。

発売を急いだのも原因かもしれませんが、端末の設計もノウハウや経験の積み重ねであるとすれば、折りたたみディスプレイのスマートフォンの設計もノウハウを得る段階なので、いまは広い心を持って受け入れる段階の商品と考えるのが妥当です。

しかし、新しい端末の取り扱いになれたメディアでも、剥がしてはいけない保護シートを剥がしてしまったり、数日でディスプレイを破損する状態だったので、これに目をつむって市販していたら、それこそGalaxy Note 7の問題再びだった可能性もあります。

少し遅れて未来がやってくる

Galaxy Foldは、一番乗りで市場に投入される折りたたみディスプレイ式のスマートフォンで、多くの期待と注目を集めた端末でした。しかし、発売前のつまずきは、後に続くHUAWEIの折りたたみスマートフォン「Mate X」の発売にも影響を及ぼし、これもより厳密なテストを実施することを理由に発売を9月に延期しています。4カ月遅れにはなりますが、立ち消えすることなく秋には端末が登場するので、ようやく手にできそうです。

折りたたみスマートフォンに対しては、否定的な意見も聞かれます。

筆者は、ハードウェア開発者だけなくソフトウェア開発者も試行錯誤できるプラットフォームとしておもしろいと考えています。手にするものの形が変われば、作る側だけでもなく、使う側も何らかの変化を感じられるはずです。折りたたみディスプレイが正解かは分かりませんが、スマートフォンを活性化するキッカケになる可能性もあります。筆者は期待しています。

今週は、このあたりで、また来週。

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