新春特別企画

2010年のAndroidケータイを振り返る

2010年、1年間を振り返ってみると

2010年は、Androidケータイ大増殖の年となり、さまざまな顔ぶれが揃いました。

国内外の動きを順に振り返ると、雨が多く肌寒い日が続いた4月には、Xperiaが発売されました。ソニー・エリクソンのブンランド力と露出度の高い時間帯にテレビコマーシャルが放送された結果か、事前予約が50,000台以上で、しばらくの間は入手困難な状態が続き、その名を一気に浸透させました。発売されてから10ヵ月程度経過して新鮮みは薄れましたが、らしさを多く持った魅力的な端末です。

同じころ、HTC Desireが発売されています。出来の良い端末でしたが、有機EL液晶ディスプレイの不足から非常に入手困難な端末でした。液晶ディスプレイをTFT液晶に変更しHTC Desire IIとして販売されましたが、時既に遅く話題の中心からは外れ、不運の端末でした。

海外の動きに目をやると、新年早々にGoogleが自社ブランドのAndroidケータイ「Nexus One」をリリースして話題になりました。Androidチームを率いるアンディ・ルービン氏は時の人となりましたが、期待したほどのセールはなかったようで、7月には直販を終了しています。4月には、米国でiPadの販売が開始されます。瞬く間に人気者となり、米国以外の地域では発売が延期されるほどでした。iPadへの熱狂ぶりは、感染力の強い伝送病ように凄まじいスピードで日本へも伝わり、皆手にしないうちから熱狂しました。iPadに続いて、6月末にはiPhone 4が発売され、こちらも凄まじい人気で、熱狂的に受け入れられました。

国内の動きへ目を戻すと、記録的な猛暑が続いた夏に、IS01に続き、LYNX SH-10Bが発売されます。通好みのキーボード付き端末でしたが、我々の前の前に現れるタイミングが早すぎたのか、セールスは振るわずで、OSのアップグレードパスも絶たれています。

12月初旬まで続いた紅葉の始まりに、Androidケータイが増殖しはじめます。

Galaxy Sが口火を切り、Galaxy Tab、Optimus chat、REGZA Phone、LYNX 3D、IS03、IS04、IS05、HTC Desire HD、GALAPAGOS、DELL Streakと書き連ねるだけでも、ひと仕事となりそうなくらい大増殖し、認知度が高まると同時に一大勢力となりました。

登場した端末の多くは、ガラパゴス機能を持ったAndroidケータイ、いわゆる「ガラパロイド」で、我々の生活風土にマッチしたAndroidケータイが登場して来ました。ただし、おサイフ関連は、サービスの足並みが揃わず本領を発揮していませんが、2011年の泳げる頃までには、多くのサービスが使えるようになり本領を発揮するはずです。

REGZA Phoneは、スマートフォンでは珍しくクレードルを添付している REGZA Phoneは、スマートフォンでは珍しくクレードルを添付している

アプリを振り替えると…

アプリを振り替えると、スマートフォンでもクラウドサービスが花盛りで、EvernoteやDropboxは多くの人が使うサービスとなりました。こうした人気のサービスは、Webアプリだけではなく、専用アプリが用意され、端末に合った使い勝手の良さを提供しているところも見逃せません。もう一つ、iPadの功績とも言えると思いますが、電子書籍が本格的に立ち上がり始めた年でもあると思います。アプリのみならず、数万タイトルとともに専用端末が登場する過熱ぶりとなりました。

Androidへ目をやると、Android 2.2のリリースがエポックとなりました。このバージョンでは、実行速度が最大で五倍も向上するとされるJITが導入され、その効果を実感された方も多いはずです。Cloud to Device Messagingも見逃せません。まだ対応アプリは少ないのですが、PCとスマートフォンが関係を築けるのは、これまで見える範囲内だけでしたが、目に見えない範囲に居る相手ともデータのやりとりが簡単に行えるようになるはずです。

こうして振り返ると、2010年は途切れることなく端末がリリースされ、ソフトも多くの試みが行われるなど、話題に事欠かない年だったとも言えます。

Androidケータイは、2011年どうなる?

この原稿は、2010年の年の瀬に書いているので、詳しい情報はありませんが、新春早々からは、ラスベガスでCESが開催されます。ここでは、Androidタブレッドが披露されるはずで、それには、タブレットに最適化されたAndroid OSが搭載されると言われています。

2008年に、まだ頼りなさが残る姿で登場してから、凄まじいスピードで進化を遂げ、いまや風格さえ感じるようになりましたが、唯一、ユーザー体験に関しては、その頃からほとんど進化がないと言っても過言ではありません。タブレットへ最適化されることで、ユーザー体験に関しても何らかの手が入るはずで、これが他にも影響するはずなので、どう進化を遂げるのか期待が高まります。

筆者がこうして期待を募らせる理由は、2010年にGoogleのAndroidチームに参加した、ある人物が居るからです。その人物とは、Matias Duarte氏で、hp社のwebOSのユーザーインターフェースをデザインした人物です。web OSが搭載されているPalm Preは、日本で販売されていないので、ご存知ではないかもいらっしゃると思いますが、宝飾品のように美しいユーザインターフェースと有機的な動きには魅了されます。この素晴らしい作品を創り上げたキーマンがAndroidチームに居るからには、その仕事に期待せずには居られません。新機能もAndroidの魅力を高める要因ですが、ユーザーを虜にする容姿や忘れられない体験を提供することが残された大きな課題でしょうし、2011年こそは、Googleから提案があることを期待します。

Androidタブレットの登場とともに、Androidにも本格的な電子書籍の波が押し寄せるはずです。Android OSを搭載した専用端末は販売されていますが、スマートフォン向けには汎用な仕組みやアプリが存在せず、コンテンツ数もiPhone・iPadに大きく引き離されています。

NTTドコモは、2010年で電子書籍のトライアルサービスを終了しているので、2011年の早々には何か動きがあるのかもしれません。NTTドコモが先陣を切れば、後に続けと堰を切るように、他のコンテンツプロバイダーが参入するはずので、電子書籍の動きにも注目です。

Androidケータイで電子書籍が楽しめるようになれば、音楽、ワンセグ、おサイフ、ナビと揃うことになり、残されたのはゲームくらいですが、それは、噂されているソニー・エリクソンのプレステケータイがカバーすることになりそうです。

2011年は、生活のあらゆるシーンにAndroidが進出する始まりの年になりそうで、年の瀬には、Androidがスマートフォン向けOSだったことすら忘れられているかもしれません。

他に目を向けると、Appleは、本格的な夏を迎える前にはiPhone 4の強化版を登場させるはずです。また、iPadの進化版も2011年の早々に何か動きがあるはずです。また、追撃態勢が整ったWindows Phone 7の動きも気になりますし、Hewlett-Packardの強大なパワーが得られたPalmは、活発な動きとなるはずです。さまざまなプラットフォームが入り乱れ、2011年もスマートフォンからは目を離すことができません。

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