久々の「One more thing...」アップルのスマートウォッチ「Apple Watch」が登場!

後編:バッテリ、防水、搭載OSなどなど……Apple Watch、気になる機能は

前回、フォローできなかった部分をもう少し触れていきます。

バッテリの持ちは1.5日程度?充電の方法は?

バッテリの持ちは公表されていませんが、一日程度だろうという見解が多く出ています。Android Wearも1.5から2日程度は使えるので、事実であれば同じような感覚で使えます。

腕時計として考えると毎日充電するのは煩わしい話ですが、これを軽減する回答として電磁誘電充電とMagSafeを組み合わせた充電機が用意されています。

すごい技術のように見えますが、聴診器のようなコネクタを腕時計の裏蓋に付けて充電します。これを付ける際に磁石が有効に働き、こまかな調整なしにピタッと取り付けて充電ができるワケです。Android WearのLG G Watchの充電台にも磁石が使われており、腕時計が吸い付くように充電台にのりますが、充電端子の位置を合わせる必要があります。Apple Watchは、電磁誘電充電が使われているので、こうした位置合わせが必要なく、腕時計の裏蓋にコネクタを付けるだけです。

聴診器のようなコネクタを使って充電する
聴診器のようなコネクタを使って充電する

アップルの回答は素晴らしいものですが、ケーブルが専用品になるのが難点です。

たとえば、出張にApple Watchを着けていく場合は、充電ケーブルを持ち運ぶことになるので、持ち物リストにひとつ荷物が追加されることになります。

完全防水ではなく、最低限の生活防水

公表されていませんが、Apple Watchは生活防水だろうと言われています。

アウトドアで使うような製品ではないので、完全防水である必要はありませんが、腕時計である限り生活防水は最低限必要なスペックです。ただ、ここで気になるのが「Apple Watch EDITION」です。これは、ベルトに革が使われるモデルがあります。シリコンやメタルバンドであれば、水に濡れても拭けば済みますが、革ベルトでは、そうもいかないので、防水処理がされているのか気になるところです。

iOSベースの「Watch OS」を搭載

Apple Watchには、iOSをベースにした「Watch OS」が搭載されています。

iOSから電話機能を削除し、心拍センサーに関わる機能が追加されたなどは簡単に想像できますが、現時点では詳細不明です。

Appleにとっては、3番目のOSである「Watch OS」
Appleにとっては、3番目のOSである「Watch OS」

Watch OSが登場したことで、アップルは3種類のOS(OS X, iOS, Watch OS)を持つことになりました。Watch OSもiOSと同様に、一年サイクルで進化していくかは不明ですが、これらをメンテできる人的リソースが確保されているということになります。いまやこうしたことができるのは、アップルに加えて、マイクロソフトやGoogleくらいかもしれません。

Watch OSはiOSがベースですが、これの源流となっているのは「OS X」です。OS Xが登場してから13年がたちます。⁠NeXTSTEPから数えれば、さらにさかのぼります)このOSが携帯電話に使われた時も驚きましたが、腕時計に使われるとはさらなる驚きです。Watch OSは、いまのところ頭に「Watch」が付き、腕時計用と定義されていますが、これが「Wearable OS」に進化した時には、アップルは、よりパーソナルな製品を手掛けていることになり、その昔パソコンを売っていた会社だったと懐かしむ時が来るのかもしれません。

誰もが幸せになるデバイスになるか?

小さな不満はあるにしても、iPhoneユーザの多くは満足して使っているはずです。Apple Watchにも同じことが言えるようになるのでしょうか?

腕時計は、実用品よりも嗜好品の側面を多く持つようになっています。その為かデザインには、大御所「マーク・ニューソン氏」が関わっているとされています。知る人が聞けば、$400を切る価格で同氏の作品を購入できるのであれば、手放しで喜びたいと考える方もいるはずです(筆者はこのくちです⁠⁠。しかし、意地悪な見方をすれば、女性らしく数年で賞味期限が切れそうなデザインが響かない層もいるはずなので、多くのコレクションがほしいところです。

デザインを切り離して、IT企業らしく多機能ぶりと実用性をアピールしたとしても、ケータイでできることをデバイスを変えてまで、やってみたいと考える層がどれだけいるのか懐疑的なので、これ一辺倒でもダメなはずです。

Apple Watchは、これまでのアップルのように現状を否定した上で、新しい提案(たとえば、使い勝手)を持って登場してくることを期待していましたが、こうしたアプローチではなく、嗜好品として感性に訴える部分に磨きをかけたものに、IT企業らしく今風のテクノロジーを織り交ぜるアプローチが取られています。これまでのアップルにはなかった手法ですが、手掛けている製品がより日用品に近づいたということの現れなのかもしれません。となれば、春夏・秋冬ごとにコレクションを発表して、常に魅力を保つ方法が取られるかもしれません。

⁠個』の軸がぶれず、常に魅力を保っていれば、誰もが身に着けて、幸せになるデバイスとなる可能性は十分にあります。

ケースには、お得意のアルミに加えて18Kやステンレスなどの素材が使われるApple Watch
ケースには、お得意のアルミに加えて18Kやステンレスなどの素材が使われるApple Watch

IT企業らしい提案がほしかった

Apple Watchは、アップルの変革の一端を示すものかもしれませんが、IT企業であることは間違いありません。であれば、らしい提案が欲しかったところです。

たとえば、スマートフォンは、さまざまな情報を扱うようになり、アプリが個々に多くの通知を行っています。毎日、これを取捨選択して必要な情報を得ているワケですが、いまの自分にとって、どの情報が必要なのか腕時計が判断して通知してくれるようなインテリジェントさを持っていれば、腕時計を身に着けてまで情報を得ようという人は多く居るはずです。

ようやく発表となったApple Watch。ここまでの流れは携帯電話に続いて腕時計と来たので、数年後にはテレビが発表されるのでしょうか。

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