[自転車イラスト紀行]徒然走稿

第十九回「地元限定の逸品」

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石田堤が一番状態よく保存されている石田堤記念公園を目指して,水を満々とたたえた水路沿いを南下。

17号線バイパスを地下通路でくぐり抜け,さあ,もうこの辺りのはずのなのに何の案内もありません。比較的新しい施設なので博物館でもらった観光マップにも出ていない。

地元の方に聞くと,⁠この道をずっとまっすぐ行くと左側にフライの店…えっと,食べのもの屋があるから,その前を右に入ればすぐですよ」とのこと。

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この一瞬言いよどんだ「フライの店」を聞き逃すはずもなく,堤の前のフライにすることにした。

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フライはクレープのような,お好み焼きのようなもので,値段が,フライ330円,⁠玉子入り)380円,⁠大)450円,ミックス(焼きそば入り)450円,これはさほど大きなものではないだろうと判断して,フライと1個70円のゼリーフライを注文。同行者は玉子入りやミックスを。

いや,そのボリュームに驚いた。これで(大)とか頼んでいたらどうなっていたのだろう。

ビールが飲めなかったのが残念。あの味はビールだよなあ。

サービスにセロリの醤油漬けを出したくれたおかみさん。ごちそうさまでした。ご自身で作陶されたという器も素敵でした。

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お店を出ると目の前から石田堤が始まっている。

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それもそのはずでお店の名前が"えんまん堤"というのでした。

行田で配布しているフライマップにも載っていないけど,日替わり定食も650円とリーズナブルなこのお店。ごひいきのほどを。

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石田堤沿いを走り,石造りのちょっとしゃれた堀切橋を渡ると堤の跡地を生かして造園された石田堤記念公園があります。

新幹線高架の向こう側は,堤が一番状態よく保存されているところ。アクリル板を使って断面が見られる工夫がしてあるのですが,なんだかよく見えないのが残念。

高架下には櫓が組んであり,この下に入るとセンサーが反応して,忍城水攻め合戦の様子をドラマ仕立てで聞くことが出来ます。

石田三成役は時代劇やお餅のCMでおなじみのあの方。お楽しみに。

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さきほどの堀切橋を渡り返して行田市街地に戻ります。

この堀切橋の場所で堤が決壊したため三成は忍城攻略に失敗したのです。

それで堀切橋という名前がついているのかもしれません。

ぐおうぐおうと吹き付けてくる風に逆らって忍城址へ。

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これが有名な上州のカラっ風ってやつでしょうか。自転車が横に持っていかれそう。

彼方の日光の山々にかかる夏のような雲も,風で引きちぎられそうになっています。

市街地に入ると遮蔽物が多いためか風も一段落しました。

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浮城の名残,水城公園は市街の中心地にあります。全体にゆったりとした作りの中,たくさんの人がのんびりと釣り糸を垂れていました。魚釣り禁止!なんて無粋な看板だらけの都内の公園とは一線を画しています。

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もうここは忍城の敷地内。

住所もずばり本丸。

公園に隣接する中学校は二の丸だったところで,本丸に建造物の無かった忍城では城主は二の丸に館を構えていたのだとか。

その本丸には天守閣が建てられ,内部はお約束の郷土資料館になっています。行田は足袋の生産で有名だったのですね。お袋さまが着物好きなので見覚えのあるラベルが展示されていました。

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新しく作られた天守閣や冠木門に感心した後は,市内に残っている昔のにおいをかぎ取るために大通りを避けて,路地をくねくねと走ってみるのも一興です。

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路地をくねくねと走っていたのには,もう一つ理由があります。

『浮城』という銘柄を醸造している横田酒造を探し回っていたのでした。

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煙突を頼りにやっとたどり着いては見たもの。しっかり閉まっておりました。観光客相手ではない造り酒屋は大抵日曜日はお休みなんですよね。

でもまあ,この店構えだけでも一見の価値はあります。

走行距離は20kmそこそこでも,あっちにより,こっちで食べ,そっちで見学していたら,もはや日が傾いてきました。

酒造のすぐ近くを流れる忍川に沿って古墳公園へと戻ります。

新設中の新しい駐車場の向こうに円墳のような雲が盛り上がっていました。

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近況報告

4月は毎年恒例のお花見ラン。山梨の御坂峠に行ってきました(前にコース紹介をしております第十二回「倶楽部走-クラブラン-」』⁠

久々の列車輪行。

すっかり手順を忘れてしまっていてあたふたあたふた。

久々の峠越えで翌日もくたくた。

だけどやっぱり輪行はいいなあ。峠はいいなあ。

・・・花はといえば,平地ではすでに終了。峠はまだまだ堅いつぼみ。峠への林道にすこおし咲いておりました。

著者プロフィール

杠聡(ゆずりはさとし)

イラストレーター,ライター。東京都日野市在住。技術評論社刊の単行本カバーなど広告,出版でのお仕事をベースに,自転車旅行で出会った風景や人を題材にした作品づくりを続けています。

URLhttp://www.yuzuriha.com