[自転車イラスト紀行]徒然走稿

第二十五回「大盛りメニュー」

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チャレンジメニューや大(デカ)盛りメニューといったうたい文句を掲げているお店をあちこちで見かけるようになった。

大盛り・特盛りメニューは,昔からあるのだけれど,大食いブームで取り上げられる機会が増え目につくようになった,といいかえたほうがいいかもしれない。

我が家の近くにも―といっても2駅先だけど―特大のかき揚げをタワーのように積み上げて提供している天ぷら屋がある。

店の近所のある大学の学生たちへのサービスで始めたメニューなのでボリュームから考えたら金額も驚くほど安い。

大盛りかき揚げ丼を一人で食べきる人間が出ると負けず嫌いの親父さんがかき揚げの量を増やしていくので,ついには今のような姿になった。

この間,もはや限界の域に達しているその丼を大食い女子が食べきったため,さらなるかさ上げを考えているらしい。すでにどんぶりから30センチくらい(もっとか?)立ち上がっているため,いままでの調理法というか盛りつけ法ではこれ以上かき揚げを積み上げるのは難しく,親父さんの悩みの種になっているらしい。

大盛りメニューを下品だ,といって嫌う人がいる。食べ物で遊んでいるだけだ,と切って捨てる人がいる。

いやいや大盛りメニューは健康なのだ,といいたい。訳の分からないダイエットメニューや代用食のサプリメントの方がよほど,食べ物を,人間の体を冒涜しているのではないか,といいたい。

特異体質の大食いの方はともかく,食べても食べても消費に追いつかず,いつも腹が減っていた10代,20代の頃,大盛りメニューはいつだって味方だった。

大盛りメニューに白い目を向けるようになるのは,自分の体にガタがきた証拠なのだろう。

かくゆう僕も,大盛りメニューは健康だ,といいつつ,あのタワーかき揚げ天丼を一人で食べたら速攻で不健康になることだろう。

自分自身で平らげることはできなくなっても,大盛りのご飯に,肉に,スイーツにかぶりついている姿を見ると,いいなあ,と思う。うらやましいなあ,と思う。

大盛りのメニューが無駄だというなら頼まなければいい。食べきれないと思うならチャレンジしなければいい。チャレンジして食べきれなかったときは,ギブアップした後,皆で分けあって食べればすむことだ(それすらだめだ,という店では食べるべきではないですね)⁠

一日中自転車に乗って,いつもより盛りのよいご飯にかぶりつく。うん,やっぱり大盛りは健康の味方なのだよ,パクパク。

著者プロフィール

杠聡(ゆずりはさとし)

イラストレーター,ライター。東京都日野市在住。技術評論社刊の単行本カバーなど広告,出版でのお仕事をベースに,自転車旅行で出会った風景や人を題材にした作品づくりを続けています。

URLhttp://www.yuzuriha.com

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