DBエンジニアに求められるスキルの“理想と現実”

第2回職種と所属会社はどのようにスキルの差に影響してくるか?

前回は、スキルの定義と、キャリア年数や所属組織の違いによるスキルレベルの差をご紹介しました。今回は職種や所属会社による違いや、伸ばすのがおすすめのスキルをご紹介します。

職種による違いは?

今回、以下の5つの職種に分けて調査しました。

  • DB担当
  • インフラ担当
  • アプリケーション担当
  • マネージャ
  • アーキテクト

まずはDB担当から見ていきましょう。以下のグラフからは、DBスキル的には可不足ないという結果が見てとれます。DBMSのアーキテクチャやバックアップといった、業務上必要な知識は平均以上の値になっています。

グラフ1 DB担当
グラフ1 DB担当

次にインフラ担当のグラフを見てみましょう。

グラフ2 インフラ担当
グラフ2 インフラ担当

オペレーションやバックアップリカバリ、インフラスキル、ドキュメンテーションといった能力は、平均に近い様子が見てとれます。また、DBMSアーキテクチャ、SQL作成、SQLチューニングといった、DBMS固有のところは弱い傾向が見られました。

以降は該当人数が少ないため、参考レベルです。

アプリケーション担当者はインフラスキルが特に低いという結果になりました。DB中心のスキルのため、アプリケーション担当者にはそもそも不利な調査なので当然のことです。

グラフ3 アプリケーション担当
グラフ3 アプリケーション担当

マネージャもITスキルは全般的に低めとなりました。

グラフ4 マネージャ
グラフ4 マネージャ

一方、アーキテクトは高いスコアを出しています。総合力が高い人がアーキテクトを名乗るべきなので、こちらも当然といえます。

グラフ5 アーキテクト
グラフ5 アーキテクト

所属会社による違いは?

IT業界のエンジニアは、以下のような会社(所属)に分けられます。

  • エンドユーザ(情報システム部門)
  • SI子会社
  • SI会社
  • 派遣
  • 独立

こういった所属会社によるスキルの差はあるのでしょうか。

まずは情報システム部門です。残念ながら、情報システム部門は、ビジネススキルとSQLのスキルを除き、値が低めでした。ビジネススキルが高いのは納得できますが、SQLのスキルが高いのは自分たちでデータベースを検索する機会があるからでしょうか。

グラフ6 情報システム部門
グラフ6 情報システム部門

SI子会社は平均値あたりでした。

グラフ7 SI子会社
グラフ7 SI子会社

SI会社は、大幅にではありませんが、平均値を上回っています。

グラフ8 SI会社
グラフ8 SI会社

派遣のグラフからは厳しい現実がわかります。派遣の方々からは「スキルアップするチャンスがない」という声を聞きますが、実際にそのような面があるようです。

グラフ9 派遣
グラフ9 派遣

なお、該当人数が少ないため参考値ですが、独立している人達のスキルは総じて高い値でした。願わくば、このように高いスキルを持って、独立してもやっていけるようになりたいですね。

グラフ10 独立
グラフ10 独立

経験年数以上にSE単価との相関が高いスキルとは?

前回説明しているように、経験年数とスキルの値は関係が深いです。しかし、世の中には経験年数以上の実力を持っている人もいます。経験年数以上にSE単価との相関が高いスキルは興味ありますよね?

そういう人に特有の傾向を探してみました。以下は、ある組織での経験年数とスキルの値、SE単価(実力)とスキルの値を比較したものです。

グラフ11 相関グラフ
グラフ11 相関グラフ

相関の見方(一般に言われる見方)
0.0~0.2 ほとんど関係性なし
0.2~0.4 やや関係性あり
0.4~0.7 かなり関係性あり
0.7~1.0 強い関係性あり
○で囲んでいるのは経験年数より実力と相関が強いスキル(≒お勧めのスキルです)

ここでは深くは説明しませんが、相関の値が高いと関係性が高いと言えます⁠。

「DBエンジニアの場合」という前提ですが、グラフから、経験年数以上に活躍している人は以下の3つのスキルが高い傾向があるといえます。

  • インフラスキル
  • コミュニケーションスキル
  • ドキュメンテーションスキル

これらのスキルを磨くのがおすすめです。

職種や所属会社を変えながらスキルアップするにはどうすればいいのでしょうか? 社外の人たちはどのようにスキルアップしているのでしょうか?

そのようなテーマを、7月21日(土)に開かれるJPOUG(オラクルのユーザグループ)イベントで深堀してディスカッションします。参加費無料、初心者歓迎です。

次回は、各スキルを強化するためのおすすめの活動(勉強、業務経験など)を見ていきます。お楽しみに!

※)
詳細は以下のような統計の書籍を参考にしてみてください。
明日からつかえるシンプル統計学 ~身近な事例でするする身につく最低限の知識とコツ

注:本記事の見解は、筆者自身の見解であって、所属企業の見解を必ずしも反映したものではありません。一部のデータ件数は少ないため、精度が劣る点はご了承ください。

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