エンジニアのためのイベント映像活用方法

第4回 大規模イベントでのUstream配信の設計(その1)

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三脚の選び方

ビデオカメラを使う場合,それを固定するための三脚が必要です。いくら手振れ補正があるからと言って,発表時間中ずっと手に持っているわけにもいきません。

単に三脚と言っても,その価格は数千円から,なかには10万円を超えるものまで存在します。これもUstreamで使う以外の利用用途に応じて,必要な機能を装備しているものを選択すれば良いでしょう。

最低ラインは「しっかり固定できて,カメラが傾かない」ことです。安すぎる三脚だと,ネジを固く閉めたつもりでも,カメラの角度がゆっくり傾いてしまい,いつの間にか被写体が映っていなかった!という恐れもあります。

「イベントでのUstream」という視点で追加するポイントがあるとすれば「カメラを上下左右に動かしやすい構造のものを選択する」という点です。

例えば,複数の発表者が登壇する「トークセッション」⁠具体的にはAさん,Bさん,Cさんの3名が発表者として登壇している舞台を考えてみましょう。この場合,発表者全員が映る映像を基本とします。

図4 全員が映る構図

図4 全員が映る構図

このまま配信を続けてももちろん良いのですが,もうすこし楽しい配信にしたい場合は三脚の左右首振り機能(正式名称が分かりません…)を使って,映像に動きを加えることができます。

上記の例で,Aさんの問いかけに対してCさんが答える場合,まず話しているAさんをアップで映します。そして,Cさんが答え始めるタイミングで撮影範囲をスライドし,Cさんのアップへ切り替えると動きが出て,映像にダイナミック感が出てきます。

図5 画面をスライドする構図

図5 画面をスライドする構図

ここで気をつけたいのは,カクカクした動きを避けることです。左右のスライドがしにくい三脚だと,移動が小刻みに引っかかり,映像がカクカクしてしまいます。観ている人には,とても不快な映像になってしまいます。

一般的にスチルカメラ用の三脚よりもビデオカメラ用として売られている三脚のほうが「首振り」を意識した構造になっています。

またスチルカメラとビデオカメラの「兼用」のタイプやビデオカメラのズーム用リモコンが付いたビデオメーカー製の三脚などもあります。

こちらもUstream以外の用途なども考慮し,どれが自分にあっていそうかで選択するのが良いでしょう。

ビデオカメラを使った配信方法

ここで,ビデオカメラ以外の機材構成を考えていきましょう。これまでの流れで,MacBook Airを使う構成を考えてみます。

MacBook Airには,HDMIの入力端子がありませんので,なんらかの方法でHDMIを接続できるようにしなければなりません。

例えば,Blackmagic Design社のIntensityシリーズを使うと,ThunderboltもしくはUSB3.0経由でHDMIの映像を取り込むことができるようになります。

図6 Intensityを使った接続図

図6 Intensityを使った接続図

これで想定したとおりにハイビジョン画質のUstreamが可能になった!といきたいところなのですが,MacBook Air (13inch,Mid 2012)とIntensity Extremeを使って試した際には,配信が不安定になってしまったことがありました。

「HDで配信だぜ!」勢い込んで,最高画質を使っていたため,MacBook Air本体のパワーがすこし足りなかったのかもしれません。

そこで「ぼくのかんがえたさいきょうのそうび」として,Cerevo社のLiveShellをご紹介します。

図7 LiveShell

図7 LiveShell

LiveShellは,ビデオカメラさえあれば※1)⁠これ単体でUstream配信ができてしまうユニットです。

先ほどの接続図をLiveShellに置き換えると次のようになります。

図8 LiveShellを使った接続図

ず8 LiveShellを使った接続図

もうMacBook Airすら要らない構成ですが,今まで各種イベントでの配信を続けてきた私が考える「現状での最適なミニマム装備」がコレになります。

実際の現場では,配信映像のモニタやソーシャルストリームへの投稿,その反応の確認などでMacBook Airを利用しますが,それはあくまでもサポート用で,配信用の装備としては利用していません。

なお,より高画質な配信(最高720p)を行える上位機種のLiveShell PROもあります。ただし,高画質配信は通信回線の品質に大きく影響されます。

多くのWeb系エンジニアには水と空気とネットワークが必要で,そのような人達が多く参加するイベントでは,参加者へのネットワーク開放も欠かせません。

どこまで高品質なネットワーク回線を用意できるかによりますが,参加者用のネットワーク,発表者とスタッフ用のネットワーク,配信用のネットワークなど,もろもろを考えると,バランスの良いところはLiveShell(最高480p)配信なのかなと思っています。

ただ,LiveShell PROでもネットワーク状況に合わせて,意図的480pに配信品質を抑えることも可能です。予算に余裕があり,より高画質の配信を試してみたい場合は,最初から上位機種のPROを購入するのも良いでしょう。

※1
HDMI接続でも対応するフォーマットは限定されていますので,注意が必要です。詳しくはスペックを参照してください。

まとめ

今回は大規模イベントにも耐えうる機材の選定について解説しました。

私が個人的に考えている現状での最適ミニマム装備は次の構成となります。

  • ビデオカメラ(+ワイヤレスマイク)
  • 三脚
  • LiveShell

ビデオカメラの購入時には,HDMIの出力内容とLiveShellに対応したフォーマットで出力できるかの確認をしておきましょう。

また,映像の作り方にも少し触れました。全体を映すだけでなく,時には発表者のアップなどを入れて映像に動きをつけると楽しいUstream配信になるはずです。

次回は,大規模イベントの配信設計その2として,今回言及できなかった部分について解説をしてみたいと思います。

著者プロフィール

鈴木則夫(すずきのりお)

株式会社クロコス所属ではあるものの,本連載と業務とは特に関係がない。

個人的な興味として,勉強会やカンファレンスのUstream配信を行なってきており,ときおり「KaigiFreaks(配信班)」の名の元に活動している。

「suzuki」というアカウントを取得するのが好き。

Web日記:http://suzuki.tdiary.net/
Twitter:@suzuki
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