ファシリテーターの大切な役割は,話し合いの場を安全にする事です。場が安全というのは,発言者がだれかに攻撃されたり(責められたり),不利益をこうむったり,特定の人のみ発言するといった事がない状態をいいます。
みなさんも,場が安全でなければ,発言する気はなくなりますよね。
今回は,プロジェクトがうまくいく上で『安全な場』が大切ということを解説します。
問題があきらかにされない理由
プロジェクトを成功させるポイントの一つは,問題を早期に発見することです。
問題は小さいうちに対応すれば,工数も時間も少なくてすみます。しかし,よく見られるのは,最初は順調そうにみえて,プロジェクトの終盤で大きな問題が噴出し,最終的に身動きがとれなくなる事です。みなさんも,そんな経験はなかったでしょうか?
一説によると,プロジェクトの成功確率は30%なんだそうです。"何をもって成功とするか"という基準にもよりますが,私の経験でも納期を守り,予算内で一定以上の品質を確保したプロジェクトは,たしかにそれぐらいの確率かもしれません。
では,なぜ問題を早期に発見できないのでしょうか? 一つにはシステム開発の現場は,次のような,外から見て問題をつかみにくいという特徴があります。
- ソフトウェアというのが目に見えない(もちろん仕様書やソースは見えますが,よほど読み込まない限り問題点がわからない
- より専門的になった昨今の開発は専門家でないと問題点がわからない
また,問題を出させるために管理を強化しても,ある程度以上の効果は望めません。強化しすぎると,今度はモチベーションを下げるという弊害も発生します。
こうした事を考えると,最終的に問題を早期発見するには,実際作業しているメンバーに自発的に報告してもらうしかありません。ところが,その報告はなかなか行われません。その理由は次の3つです。
1.問題を報告すると,責められる
だれしも責めらるのは嫌でしょう。できる事なら問題が発覚する前に,自分で解決したいと思うはずです。責任感の強いエンジニアこそ,こうした気持ちは強いはずです。しかし,そうこうしているうちに問題は次第に大きくなり,今度は報告するのが怖くなって黙っておくといった事になってしまいます。
2.問題を報告すると,不利益をこうむる
よかれと思って問題を報告すると,その対応をお願い(命令)されたりします。私は「いいだしっぺがやる」というよくわからないルールによって,非常に忙しいのに自分の仕事以外の事を押しつけられることもあります。こうなると,もう報告したくなくなります。
3.問題を報告すると,無視される。
問題を報告しても,無視されることがあります。張り切って報告しても肩透かしをくらってしまうのです。たしかにプロジェクト全体で見ればさほど大きな事でないのかもしれませんが,大きい小さいは現場では判断できない事も多くあります。現場では大切と報告したことがむげにされると,そのうちに,"報告なんてしても無駄"という気持ちになります。
