エンジニアをレベルアップさせる「ファシリテーション入門」

第3回 ファシリテーションの始め方のコツ

2008年7月15日

この記事を読むのに必要な時間:およそ 1.5 分

ファシリテーションは実践が大切。なにより場数を踏むことが上達の道です。さて,それではどこから始めたらいいのでしょうか? どんなことでも始めるのが一番難しい,しかし始めてしまえば後はなんとかなるものです。今回はそこを解説します。

さりげなく始める

何か新しいやり方を始めようとすると,必ず抵抗する人達がいます。そんな方々に対して「さぁ,今日はファシリテーションでやってみましょう!」といっても冷たい反応が返ってくるだけです。「何だ,また横文字か?」「ファシリテーションなんて俺たちには関係ないよ」そんな発言があるかもしれません。この発言の主が権力者であれば,あわれファシリテーションが日の目を浴びることはないでしょう。

こうした抵抗勢力にあわずにファシリテーションを始めるには,さりげなく静かに始めることが肝要です。つまり,最初はあくまで目立たずに,しかし最後には話し合いの進め方の主導権を握るという戦略が必要です。

さりげなくはじめるとき,強い味方になるのはホワイトボードです。

  • 「ちょっと,わからなくなってきたので,書いていいですか?」
  • 「せっかく立派なホワイトボードがあるので,書いてみましょうか!」
  • 「私の頭を整理するために,ちょっと書かせてください。」
  • 「こういう話,書くといいかもしれませんよ?」

こんなフレーズで,さりげなくホワイトボードの横に移動し,話の内容を書き始めるのです。

話を書き留める

ホワイトボードの横に立ったら,後は発言を書いていきましょう。話している内容の本質(要点)は何かを考えて,それを書いていくのです。わからない場合は発言者に意図を尋ねてみましょう。「今の発言は,こういうことでしょうか?」発言者は「そうだ」と言うかもしれませんし,「ちょっと違うな」かもしれません。違うということであれば,「それではどういうことですか?」と,じっくり聞いて何度でも書き直していきます。

言葉のニュアンスにはこだわって,発言者が納得するように書きましょう。こうした積み重ねが参加者からの信頼につながります。

そうしているうちに,参加者がホワイトボードに注目しはじめたら,こっちのものです。あなたは発言を記録し整理していくことに専念していけば,参加者に主体性をもたせつつ,話し合いのプロセス(進め方)をコントロールすることができるのです。

このような会議を繰り返していけば,会議では自然にホワイトボードを使う雰囲気ができます。ホワイトボードで話し合いを整理するメリットを理解すると,もうそれなしには議論が進まない事が参加者にも分かってくるからです。

ホワイトボードを使って目的を明確にする

第1回で話し合いの最初に「目的」を明確にすることが大切と解説しました。これもホワイトボードを使うことではっきりさせることができます。

話し合いが進んでいて目的がはっきりしていないように思えたら,「えーと,すみません,今日の会議の目的ってなんでしたっけ?」と参加者に聞くのです。答えが返ってこなければ,自分の想定していることを書きましょう。そして「こういう事でよろしかったでしょうか?」とたずねるのです。

ここで反論されれば,その人の意見を聞きます。何も意見がでなければ,目的は合意したということで,話し合いに戻ります。

こうして,だれもが見えるところに「目的」が書いてあると,話し合いが脱線したり,混乱したときに,立ち戻ることができます。

例えば,話し合いが脱線した場合は,目的を示しながら「ええーと,この目的からいうと,少し話がずれているような気がしますが,どうなのでしょうか?」と舵取りをしていくのです。

著者プロフィール

野口和裕(のぐちかずひろ)

13年間の会社員時代,SEとして企業や官庁で各種システムの設計に従事。製造業,建設業,人事システムの構築を数多くこなす。その後,独立しフリーランサーのSEになる。現在有限会社NTX)を設立し,SEの傍らヒューマンスキルの研修を行う。

著書は『SEのための「どこでもやれる力」のつけ方』(技術評論社刊)。3度の飯はお好み焼きでOKという広島人。

ブログhttp://blog.livedoor.jp/facilitator/

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