エンジニアをレベルアップさせる「ファシリテーション入門」

第8回 たくさんでてきた意見を整理する(整理フェーズ)

2008年12月15日

この記事を読むのに必要な時間:およそ 2 分

構造化で整頓する

さて,次は整頓です。整頓とは秩序たてておくことでしたね。整頓もホワイトボードを使って行います。

話はすこし横道にそれますが,議論を整理するのに,ホワイトボードあるいは議論を見える形にするもの(模造紙とかイーゼルパッド)は必須アイテムです。ホワイトボードに発言を書いて,議論を視える化するだけでも,かなりの整頓効果があります。

話はもどって整頓です。発言を秩序たててホワイトボードに書いていきます。秩序たてる方法として「構造化」という手法があります。

「構造化」も2つのステップがあります。

  1. 同じものを束ねる
  2. 束ねたものどうしの関係性をつける

同じものを束ねる

同じものを束ねるとはグルーピングをするということです。発言をホワイトボードに書いていき,全体を眺めながら似たようなものをグルーピングしていきます。

具体的には,ホワイトボード上で似たような発言をマーカーで囲んでいくのです。上達してくると,ホワイトボードに発言を書くときに,あとで囲みやすくしたりするように,同じような内容のものを近くの位置に書いておいたりします。

例で考えてみましょう。開発の問題について話し合った場合,次のような発言がでてきたとします。

  • 顧客が仕様書を承認してくれない
  • プログラムの品質が悪い
  • 他サブシステムとのインターフェースが決まっていない
  • Aチームの負荷が高い
  • Bチームの負荷が低い
  • 顧客が忙しく打合せができない
  • 設計書に記載モレがある
  • 顧客の中に,かたくなに意見を押し通す人がいる
    ……など

これらをグルーピングするとしたら,大きく「社内」⁠社外(顧客⁠⁠」の問題,社内の問題はさらに,⁠作業負荷」⁠品質」⁠他システム」などにグループ化できそうですね。

余談ですが,ポストイットなどに発言を書いておくと,後でペタペタとはがしたり,貼り付けたりしてグルーピングが簡単にできるので,とても便利です。会議室に大きめのポストイットを準備しておくのもいいアイデアです。

束ねたものどうしの関係性をつける

グルーピングがすんだら,次はグループどうしの関係をつけていきます。具体的には矢印を使って,グループとグループの関連性を表現します。こうすることにより,全体の関係性がみえてきます(あたりまえですが関連がない場合は,特に矢印はつける必要はありません⁠⁠。

人の頭はたくさんの項目があると整理しきれません。いってみればオーバーフロー状態ですね。しかしグループ化して関連性を表現し全体像が見えてくるとスッキリしてきます。こうなるとよいアイデアも浮かびます。

  • 後で話す内容はパーキングロットへ
  • 同じものを束ねる
  • 束ねたものどうしの関係性をつける

この3つのステップで,混乱した話し合いを整理整頓していきます。たくさんの意見がでてきても,スッキリ整理整頓できる事がわかると,参加者の意欲も高まってきます。

私は製造業のシステムを設計するときに,よくお客様の工場を見学させていただきます。すぐれた品質の製品を生み出す工場は清潔で,すばらしく整理整頓されています。話し合いも同様です。会議の質を高めるには,整理整頓が大切なのです。

著者プロフィール

野口和裕(のぐちかずひろ)

13年間の会社員時代,SEとして企業や官庁で各種システムの設計に従事。製造業,建設業,人事システムの構築を数多くこなす。その後,独立しフリーランサーのSEになる。現在有限会社NTX)を設立し,SEの傍らヒューマンスキルの研修を行う。

著書は『SEのための「どこでもやれる力」のつけ方』(技術評論社刊)。3度の飯はお好み焼きでOKという広島人。

ブログhttp://blog.livedoor.jp/facilitator/

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