連載も11回目を迎えました。ここまで読んでいただいてありがとうございます。前回まで主にファシリテーションの技術について解説してきました。今回はファシリテーションのスキルを使う新しいリーダーシップのスタイル,ファシリテーター型リーダーについて解説していきます。
新しい時代のリーダー
リーダーといえば,メンバーに指示を与え,みんなを引っ張っていくスタイルがあると思います。ここでは,こういったリーダーを「指示命令型リーダー」と呼びます。
「指示命令型リーダー」は,進むべき目標がはっきりしている場合は,効果的です。メンバーもこのリーダーについていけば成果を出す事ができます。
私もかつてこのようなリーダーの下で働いた事があります。リーダーが正しい道を進んでくれる限り,リーダーについていけばよいので,ある意味,楽でした。
一方,みんなを引っ張っていくスタイルではなく,みんなの力を引き出し,人と人との関係,つまり人間関係を円滑にしていくスタイルのリーダーもあります。こうしたスタイルを「ファシリテーター型リーダー」と呼びます。
一方的に指示を与えるのではなく,問題点や解決策もチームで話し合って行動計画をつくります。ファシリテーションの技術を使い,メンバーにアイデアを出してもらい,納得がいくように議論をし尽くしてもらいます。
こちらのリーダーの下でも働きましたが,自分のアイデアが活かされたり,チームとして一体感を感じられたり,大変なところもありましたが,充実した時間をすごせ,成長する事が実感として感じられました。
どちらが良い,悪いというものではなく,状況によって使い分ける事が大切です。新人が多いようなチームでは,「指示命令型」である程度ひっぱっていく事が有効な場合もあるでしょう。しかし現在のように問題の答えが明確にない,つまりどこへ向かっていけばよいか分からないような時代は,メンバーの自律を促すファシリテーター型リーダーが活躍します。
特に専門度が上がり,技術革新が早い私たちの業界では,現場のメンバーの方がリーダーよりも,技術に精通している事が当たり前の状況です。もはやリーダーが的確に指示命令を与えるのは難しいでしょう。こういう時こそ,現場の力を活かすファシリテーションスタイルが効果的です。
幕末のリーダー
変化の激しい今の時代は,幕末の動乱期に例えられるかもしれません。幕末には様々なリーダーが出てきましたが,そのリーダーシップのスタイルを考えてみるのも面白いかもしれません。
例えば西郷隆盛。彼はどちらかというと「指示命令型リーダー」のように思います。圧倒的なカリスマ性と明確な指導力でみんなを引っ張っていった。そして,みんなも喜んでついていった。
一方,「ファシリテーター型リーダー」は誰かと考えてみると,坂本竜馬が思い浮かびました。彼は仲が悪かった薩摩と長州の間を取り持ち,関係性を改善し,双方の力を引き出し倒幕へのエネルギーに変えました。また西郷隆盛と勝海舟の間に入り,江戸城明け渡しの橋渡しをした事もありました。
いろんな人(志士)を結びつけ,議論させ,力を引き出し,みんなを納得させ,最終的にそれが大きな成果に結びついた。坂本竜馬こそ,幕末の時代におけるファシリテーター型リーダーといえるでしょう。
ファシリテーターという言葉は新しいですが,以前から,こうしたファシリテーター型リーダーは存在していました。もしかすると,あなたの身近にもいるかもしれませんね。
