玩式草子─ソフトウェアとたわむれる日々

第29回 Plamo Linuxで音楽三昧[その3]

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歴史的な災害に見舞われた2011年も残りわずかになりました。筆者が主宰しているPlamo Linuxも,残りわずかな年内に何とかx86_64版の公式リリースを出そうとラストスパートをかけています。

前回までにそのような作業中のBGMに使う音楽コレクションの話題を取りあげました。お気に入りのBGMは作業の進捗には役だつものの,それらばかりを聞いていると,ふと世の中から取り残されているような気分になることがあります。筆者の場合,そんな時に手が伸びるのがラジオです。

テレビと違って目を向けなくても済むラジオは,ディスプレイに向かい続ける作業中のよき友ではあるものの,PCの近くではノイズが乗りがちで聴きづらくなります。そのような問題を解決してくれるのが「インターネットラジオ」です。

インターネット上にラジオ番組を配信する「インターネットラジオ」は,海外ではずいぶん前から広く利用されており,日本に居ながら米国の地方FM局の番組を聴くようなことが可能です。

それに対し国内では,放送法や著作権などさまざまな理由からラジオ番組のインターネット上への配信はなかなか進みませんでしたが,ようやく最近になってradiko.jpや今回紹介する「らじる★らじる」などの取り組みが出てきました。

「らじる★らじる」とは

らじる★らじるとは,今年の10月からNHKが始めたインターネットラジオで,FMとラジオ第一,第二の3チャンネルを放送と同時にインターネットに流しています。

図1 NHKのインターネットラジオ「らじる★らじる」のページ

図1 NHKのインターネットラジオ「らじる★らじる」のページ

ホームページによると,電波の届きにくい山間部や海外の電波との混信といった従来からの問題に加え,高層ビルや電波の入りにくい鉄筋構造の家屋が増えた結果,ラジオ放送の受信が難しい世帯が増加したため,それらの対策として平成25年度まで試験的に実施することになったそうです。

最近では,ラジオなんて車の運転中くらいしか聞かない,という人がほとんどだと思いますが,筆者のようにエア・チェックを趣味にしていた世代の人間には,FMの音楽番組にはそれなりの思い入れがあります。また,ラジオ第二にはさまざまな語学番組が揃っており,無料で語学の勉強ができる魅力もあります。そこで,手元でもさっそく「らじる★らじる」を試してみました。

「エア・チェック」というのは, ラジオで放送される番組をカセットテープ等に録音することで,筆者の学生時代(そろそろ四半世紀くらい前になりますか……)には「週刊FM」「FM fan」といったFM放送専門の情報誌が発行されており,何日の何時ごろに自分の好みの曲が流れるかを調べ,タイマーをセットして録音したものでした。

元々,筆者の住んでいる山あいの地区は放送局からの電波が届きにくく,テレビの難視聴解消のために共同アンテナを使っています。NHKのラジオ放送の場合,FMはテレビ用の共同アンテナで拾ってくれるので明瞭に聞くことができますが,AMのラジオ放送,特にラジオ第二は受信状態が悪く,夜間になると韓国や北朝鮮の電波も混信してきて,ほとんど聞くに耐えませんでした。

それに対し「らじる★らじる」ではインターネット経由でデータが届くため,混信が全くないクリアな音声を聞くことができます。従来からクリアに聞こえていたFMについては,音声圧縮の影響か,曲間のナレーションの際などにやや不自然な音の揺らぎを感じることもありますが,演奏が始まるとまったく気にはなりませんし,以前はノイズのためほとんど聞きとれなかったラジオ第二の英会話講座も発音の細部までクリアに聞きとれるようになりました。

しばらくはPCを使っている際のBGM的に聞いていましたが,NHKの番組表を見るとリアルタイムで聞くことの難しい早朝や深夜にも面白そうな番組がありますし,語学講座など繰替し聞いてみたい番組もあります。そう思うと,かっての「エア・チェック」マニアの虫が騒ぎだし,⁠らじる★らじる」を録音できないかと調べ始めることになりました。

「らじる★らじる」の構造

「らじる★らじる」自体はブラウザ経由で利用するようになっており,そのままでは送られてくるデータを保存することはできません。そこで,まずはブラウザ外で再生する方法を調べてみることにしました。

「らじる★らじる」はフラッシュビデオ(FLV)用とウィンドウズメデイアプレイヤー(WMP)用の2つが用意されています。ざっとページのソースコードを眺めてみると,FLV用のデータはJavaScriptのプレイヤーに処理を任せていて,データの送信元等はプレイヤーのコードを調べないとわからないのに対し,WMP用のデータはページ中で直接送信元のURLを指定しているので解読は簡単そうでした。そこで今回はWMPの形式を試してみました。

図2 ⁠らじる★らじる」のWMP用のソース

図2 「らじる★らじる」のWMP用のソース

WMP用のプレイヤーのソースコードにはコンテンツ配信サービスであるakamai.comを参照している部分があります。

<embed name="wmp" type="application/x-mplayer2" pluginspage="http://www.microsoft.com/Windows/MediaPlayer/" \
 src="http://mfile.akamai.com/129933/live/reflector:46051.asx?bkup=46055&prop=a" \
 width="215" height="26" autostart="1" showcontrols="1" showaudiocontrols="1"  \
 showpositioncontrols="0" showtracker="0"></embed></object>

どうやらこの部分がデータの送信元らしいと見当をつけ,このURLをwgetで取り寄せてみると,WMPが利用しているmmsプロトコルのURLでした。

<ASX VERSION="3.0">
 <ENTRY>
  <REF HREF="mms://a52.l12993346051.c129933.g.lm.akamaistream.net/D/52/129933/v0001/reflector:46051" />
 </ENTRY>
</ASX>

mms(Microsoft Media Server)はMicrosoftがストリーミング用に開発した独自プロトコルです。最近ではMicrosoft自身もこのプロトコルのサポートを終了して,RTMPやHTTP経由のストリーミングに移行を進めていますが,mmsプロトコル自身はこの例のように現在でも広く利用されており,mplayerやvlcといったLinux用の主要なメディアプレイヤーもサポートしています。

このURLを引数にvlcを起動してみると,コンソールにいくつかエラーメッセージが表示されるものの,WMA2形式のストリームデータを受け取れ,NHK FMのインターネット中継が聞けるようになりました。

図3 vlcメディアプレイヤーで「らじる★らじる」の中継を再生

図3 vlcメディアプレイヤーで「らじる★らじる」の中継を再生

著者プロフィール

こじまみつひろ

Plamo Linuxとりまとめ役。もともとは人類学的にハッカー文化を研究しようとしていたものの,いつの間にかミイラ取りがミイラになってOSSの世界にどっぷりと漬かってしまいました。最近は田舎に隠棲して半農半自営な生活をしながらソフトウェアと戯れています。

URLhttp://www.linet.gr.jp/~kojima/Plamo/index.html

コメント

  • 長時間録音の際の問題

    役に立つ記事をありがとうございます.この方法を利用させていただいています.
    長時間(おおむね3時間半程度)録音するとlameが修了してしまう,という問題がありましたので報告します.lame に -r オプションを付加することで回避できるようです.詳細については,http://gcg00467.xii.jp/wp/archives/461 をご覧ください.

    Commented : #1  田辺良則 (2012/06/23, 08:10)

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