玩式草子─ソフトウェアとたわむれる日々

第47回 Plamo-5.1 after

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前回Plamo-5.1のリリースを紹介した記事では,⁠Plamo-5.1はメンテナンス・リリースのため,特に目新しい機能はありません」と書きました。

それは間違いではないものの,⁠メンテナンス」以外の部分では,Plamo-5.0には無かった機能が追加されていたりします。今回はそれらの中から,準公式(contrib)パッケージとして採用したMateデスクトップ環境と,Plamo-5.1を元にしたP-Plamoについて紹介してみましょう。

Mateデスクトップ環境

Mateは,GNOMEプロジェクトとは独立に開発された,GNOME2ベースのデスクトップ環境です。と言っても,前後の事情を知らない人には意味不明だと思うので,少し背景的な話をしましょう。

ご存知のように,GNOMEはLinux環境で広く使われている統合デスクトップ環境で,多くのディストリビューションで標準のデスクトップ環境に採用されています。

Linuxで広く利用されているデスクトップ環境には,GNOME以外にもKDEやXfceなどがありますが,それらに比べたGNOMEの特徴は新しい機能やアイデアの採用に積極的ということです。

「新しい機能やアイデアの採用に積極的」というのがコインの表面だとすると,その裏面には過去との互換性は重視しないという考え方があります。その結果,GNOMEプロジェクトでは,GNOME2までで採用していた伝統的なUIを捨て,GNOME3ではGNOME Shellをベースとした,スマートフォンやタブレットPCに似たタイプのUIを採用しました。

図1 GNOME 3.8のスクリーンショット

図1 GNOME 3.8のスクリーンショット

GNOME3におけるUIの全面的な変更は賛否両論を引き起こしました。一部の人々はGNOME3のUIを嫌ってXfceに移行しましたし,Linux MintのようにGNOME3に独自のレイヤを被せて伝統的なUIに見せるという対策が提案されたりもしました。

ちなみにPlamo LinuxではGNOME3の系列は採用していません。もっともその理由は「GUIに関する哲学の相違」といった高尚なレベルではなく,GNOME3が採用しているツールやライブラリの多くがGNOME3のみでしか使われておらず,KDEやXfceと重なる部分が少なすぎるので,わざわざGNOME3のためだけにそれらをメンテナンスするだけの余裕がない,という現実的な問題からです。

Mateデスクトップ環境が生まれたのはこのような背景からで,GNOMEプロジェクトが放棄したGNOME2を引き継いで(forkして)⁠新しいデスクトップ環境を構築することを目指しています。

ちなみにMateは,⁠友達」という意味も掛けていると思いますが,⁠マテ茶」の原料であるイェルバ・マテという植物に由来し,発音も「メイト」ではなく「マテ」のようです。

GNOME2ベースの機能ならばXfceも利用しているので,必要なツールやライブラリ類も共有できそうです。そう思って以前からMateデスクトップ環境を眺めてはいたものの,なかなか自力でパッケージ化する余裕はありませんでした。

そんなころ,Plamo Linuxのユーザである植竹さんから,Mateデスクトップ環境をビルドしてみた,という投稿がメーリングリストにありました。そこで,渡りに舟,とばかりにメンテナになってもらい,作成いただいたMate-1.6の環境をcontrib/Mate/以下に収録しました。

図2 Mateデスクトップ環境

図2 Mateデスクトップ環境

Plamo-5.1では,Mate-1.6は準公式パッケージ(contrib)の扱いなので,システムインストール時に自動インストールすることはできず,contrib以下から手動でインストールする必要があります。

$ cd /cdrom/contrib/Mate
$ for i in *.txz ; do sudo installpkg $i ; done

また,Mateデスクトップ環境を起動するための設定は,~/.xinitrcに手動で追加する必要があります。具体的には,WMの指定を"gnome"にして,

  15  #WM="xfce"
  16  #WM="kde"
  17  WM="gnome"

セッションの起動部でgnome-sessionではなくmate-sessionを起動するようにします。

 277  "gnome")
 278    exec $LAUNCH mate-session
 279    ;;

なお,起動直後では一部のアイコンが正しく表示されませんが,メニューバーの「システム」⁠⁠設定」⁠⁠外観の設定」で,テーマの「カスタマイズ」を選び,⁠アイコン」を"Mate-Faenza"あたりに指定すれば,表示されるようになるようです。

図3 テーマごとのアイコン設定

図3 テーマごとのアイコン設定

ちなみにMateデスクトップ環境では,GNOME3との混同を避けるため,元となったGNOME2環境の主要なアプリケーションが,forkに合わせてリネームされています。

ファイルマネージャCaja(旧 Nautilus)
テキストエディタPluma(旧 Gedit)
画像ビューワEOM(Eye of Mate)⁠旧 EOG)
ドキュメントビューワAtril(旧 Evince)
端末エミュレータMate Terminal(旧 Gnome Terminal)
ファイルアーカイバEngrampa(旧 File Roller)

Cajaはスペイン語で「ボックス」⁠Plumaは「ペン」⁠Atrilは「書見台」だそうで,南米原産の"Mate"に合わせてか,スペイン語が多様されていて,英語しか知らない人間にはちょっと新鮮な感じがします。

Mateは新しいデスクトップ環境ではあるものの,成熟したGNOME2を元に開発されているため,すでに日常使用にも十分なレベルに達しています。Plamo Linuxの次のバージョンではMateも公式パッケージに追加したいと考えているので,興味ある人はぜひ試してみてください。

著者プロフィール

こじまみつひろ

Plamo Linuxとりまとめ役。もともとは人類学的にハッカー文化を研究しようとしていたものの,いつの間にかミイラ取りがミイラになってOSSの世界にどっぷりと漬かってしまいました。最近は田舎に隠棲して半農半自営な生活をしながらソフトウェアと戯れています。

URLhttp://www.linet.gr.jp/~kojima/Plamo/index.html

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