モヤモヤ議論にグラフィックファシリテーション!

第9回 よく聞かれる質問Q&A

この記事を読むのに必要な時間:およそ 5 分

こんにちは。グラフィックファシリテーターの,やまざきゆにこです。今回は日頃みなさんから多く聞かれる質問に回答してみます。大きく以下の4つに分けてみましたので,ご興味あるところからどうぞ。

  1. どうやって描いているんですか?(1ページ目)
  2. ゆにさんを呼んだら,その場ですぐに描いてもらえるんですか?2ページ目
  3. どんな場に呼ばれることが多いんですか?3ページ目
  4. 今まで参加した中で,いい会議ってどんな会議でしたか?4ページ目

1.どうやって描いているんですか?

Q:どうして絵にできるんですか?! 頭の中はどうなっているんですか?!

A:「なぜこの絵を描いたのか」は説明できるので,描いた後に必ず伝えています。

「どうしたらこの絵を思いつくんですか?」「頭の中に絵が浮ぶんですか?」といったことを本当によく聞かれます。"描く"ことより"聞く"ことで精一杯なので,私自身も「なんでこんな絵を描いたんだっけ?」という気持ちで絵を見返していますが,その絵が思い浮んだときのことを思い出して説明することで,参加者の方と一緒にその場の議論を振り返っています。(※詳しくは第7回をご覧下さい)

Q:だれかに教わったんですか? 何かメソッドがあるんですか?

A:特にありません。

海外にグラフィックレコーダーという職業があるという話を聞いて,そのグラフィックを見せてもらって,なぞるように真似てみたことがあります。でも,実際やってみるとだれもが感じると思うんですが,同じようには描けないんです。「私が描くと人間の絵はどうしても二頭身になっちゃうな~」とか,「こんなに文字をきれいにたくさん並べて書くなんて私にはできないなあ~」とか。それで結局,最初から私はじぶんが一番描きやすいスタイルで描いています。

Q:描くときに何か決まったフレームがあるんですか?

A:特に決めていません。

「上には何を描くとか,真ん中には何を置くとか,色を使い分けるとか,決まりがあるんですか?」とよく聞かれます。以前は私も,使う色を決めて描いてみようとしたこともあるんですが,その日の議論によって使いたい色って違ってきちゃうんですよね。例えば,思い浮かんだのが「海」でも,今日は「穏やかでキラキラ光る海」,今日は「台風で荒れた大波」と,使いたい色が違う。

その議論に一番ふさわしい絵が描けることを優先したいと思ったら,フレームや決まりごとがものすごく邪魔になる。「こういうときは何色を使うんだっけ」と立ち止まる時間ももったいない。それで迷う時間があるなら,1つでも多く拾って描き留めることのほうがずっと重要だと実感している今は,フレームが逆に足かせになるのであえて決めずにやっています。どちらかというと,そんなフレームに収まりきらない発言や盛り上がりまで拾っている感じです。

Q:キーワードを拾っていくんですか?

A:"単語"ではない気がします。

この質問をされたとき,「キーワード」という言葉が新鮮でした。最初から「これがキーワードだ!」という認識がなかったので。拾ってみたものを振り返って初めて「これがキーワードかもね」ということはあると思います。

キーワード="単語"というよりも,その場で初めて語られた発言や会話のもつ雰囲気で筆が反応したものを拾っている感じがあります。「いいこと言ってるな~」と感じたところとか,「今みんな盛り上がってるな~」とか,逆に「なんか話の流れがごちゃごちゃしている?」というものなど。単体(~ブツブツと切れたもの)ではなく,流れ(~大きな雲のようなかたまり)みたいなものを「感じたままに拾っている」という感覚です。(※詳しくは第4回をご覧下さい)

Q:グラフィックには,ゆにさんの意図が入ってますよね

A:確かに!でも,「絵はタタキ台」だから,それでいいと思っています。

「正しいか正しくないか」という基準で問われたら,正しい絵だとは思っていません。「そんな無責任な」と言う人もいるかもしれませんが,あくまでも第三者の私が感じたことを絵にしたもの。だから間違った解釈もあります。

そこでお願いしているのは,絵を指差して「私はこういうつもりで言ったんです」「私はこういうイメージだった」とぜひ教えてくださいということ。そんなやりとりがグラフィックを通して出来たときがまさに,イメージを共有できた瞬間なんです。絵はみんなにとって,それぞれが違ったイメージを抱いていた認識や理解を,お互いに近づけるタタキ台だと思っています。

著者プロフィール

やまざきゆにこ

様々な議論の現場で,グラフィックファシリテーション(=グラフィックレコード+グラフィックフィードバック+グラフィックダイアログ)を実施する。300人超のシンポジウムから,企業も国籍も違う参加者の集まる研究会,組織を横断したプロジェクト,経営者・リーダークラスのビジョン研修,組織研修,顧客との協働プロジェクトなど多岐に渡る。企業・組織の事業判断・意思決定,プロジェクトや個人の意識・行動変革の一助になればと"絵筆を持って"活動中。

グラフィックファシリテーター(graphicfacilitator)は,やまざきゆにこの商標登録です。

グラフィックファシリテーション.jp:http://www.graphic-facilitation.jp/

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コメント

  • 目から鱗が落ちました

    私の質問を取り上げていただきましてありがとうございました。「なるほどねー」という納得感の高い回答で、そっちの点でもお礼申し上げます。m(_ _)m

    バラバラの会議については、「息子の写真」で議論が進み始めたという事例に、素直になるほど、と思いました。共感できる思いかぁ。それがあるとメンバーがそれに沿った発言を重ねてくる訳ね。

    方向性がそろうということでしょうか。歯車のイラストもその共感のイメージがつかめてよかったです。確かにプランの欠点を指摘するような会議の場合には流れができにくいですね。よくわかるような気がします。ポジティブな方向性が見えて初めて前に進む力になる、というのも。

    そして、ファシリテーターがどんな議論にしたいかの「場」のイメージを持っているか、との話には目から鱗が飛び出しましたね。あぁそっかぁ!目的とゴールと「場のイメージ」かぁ。確かに!自分はできてないなあ。事前の準備が足りないのだな、とわかりました。

    筋書き通りの予定調和の会議にも意味はないけど、司会の放置プレイでもうまくはいかない。その中間点でのバランスを見つけるのがファシリテーターの役割なのかな。あー、文字にすると当たり前のことのようだけど。

    今回も大変参考になりました。ありがとうございます。反省材料が諸々。自分にできることは改善していかないとなーと。ここのサイトは時々読み返して我が身を振り返っています。議論の進め方を考える上で、参考になることが多いです。

    それにしてもあらためて、「共感」ということは大事ですなぁ。コミュニケーションの基本だもんなー。議論の堂々巡りを感じることが多い近頃の私であります。土台ができてないとその上が積み上がらないんだよな。

    共通の土台を作る上で、言葉のブレやズレをイメージで修正するグラフィックが役に立つんですね。
     

    Commented : #1  くろめがね (2008/02/10, 12:37)

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