モヤモヤ議論にグラフィックファシリテーション!

第10回 今トレンドの敏腕ファシリテーターから学ぶ8つのヒント

この記事を読むのに必要な時間:およそ 3 分

こんにちは。グラフィックファシリテーターのやまざきゆにこです。早速ですが,私は会議や研修のメインファシリテーターの方と組んで仕事をしていますが(専門にしている方もいれば,社内でその役割を担っている方もいます),ここ1~2年「今どきのファシリテーター」の力量に毎回驚かされています。

「今どきの」と書いたのは,時代と共に活躍するタイプが変化してきている感じを受けるからです。一言で言うなら「しなやか」,「おだやか」,いや正直「ゆるい」!「頼りない」!? でもそんな彼らが「会議にいい流れをつくるんだよなあ~」と感心させられっぱなしなんです。

今回はそんな今どきの敏腕ファシリテーターが作り出す「会議にいい流れを生むコツ」を拾い出してみたいと思います。

1つとして同じファシリテーションが無いのが魅力的で,それは個性によるものとばかり思っていたのですが,最近いくつかの共通点を感じています。それは今の時代が求めている『場』を生む要素とも言えるかもしれません。

ただし,私が感心させられているその手腕が,必ずしも,どの『場』にもふさわしいとは限りません。読み手の方には取捨選択をお願いしたいのですが,いい『流れ』を生むヒントが落ちていそうなので,思いつくままご紹介してみたいと思います。

「いい流れを生む」ファシリテーター

大前提として,ここでご紹介するのは新しい何かを生み出そうとする『場』に立ち合うファシリテーターの方たちです。彼らの関心は何を生むかというゴールよりも,参加者が自ら気付いて考え始めるスタートラインと,意欲的に参加してみんなと何かを紡ぎ出していくというその過程(プロセス)について考えを巡らせています。

最近彼らの口からよく聞くのは「自律」「主体性」「オープン」「対話」「共感・共有」「自己探求」といった言葉。参加者にいかに「主体性」を起こさせ,「対話」「共感・共有」「自己探求」できる『場』をつくり出せるか,その「仕掛け」をあの手この手と考えている「場の仕掛け人」とも言えます。

①「居心地への気配り」が違う

まず『場』の選定ですが「無機質な会議室」から少しでも離れようとするのが最近の傾向でしょうか。環境を思い切り変えて温泉旅館で合宿,ハイクラスなホテルで終日議論。しかしこれらは派手な一面に過ぎず,本当に感心してしまうのは,細部に至るまでの彼らの配慮です。

「無機質な会議室」であっても,テーブルクロスを敷く,畳やマットを持ち込んで車座になる,コーヒーやお茶菓子を用意する,手配するお弁当にもこだわる,イスとテーブルの配置を真剣に考える,会議のタイトルに一工夫を加える,事前の招待メール・参加後のありがとうメールを送る,夜の宴席予約まで,その気配りたるやスゴイんです。

ファシリテーターの細かい気配りなど,参加者にはそれが特別な行動であるとは気づきにくい。いくらでも手を抜ける部分でもあります。それでもそこに時間やお金を投資できる(もしくはそうクライアントを説得できる)ファシリテーターはスゴイなあと感心してしまいます。

②最小限の「問いかけ」にこだわる

場の仕掛け方として最近は本当にいろんな手法がありますよね。チェックインチェックアウト,前述したワールドカフェ第8回で紹介)も今注目を集めている手法の1つでしょうか。みんなで未来図を絵にしてみる,物語を書いてみる,粘土作業をする,皆でダンスをするというのもあるそうです。

しかし,「面白そうな手法!」と参加してみたものの「なんだかつまらなかった」なんて経験ありませんか? そこでファシリテーターの違いが出るのかなと感じるんですが,いい体験をさせてくれるファシリテーターに共通するのは,その「仕掛け」の新しさ・ユニークさに頼りきっていないところ。「仕掛け」を通して「参加者に考えてほしいこと,気付いてほしいこと」を心の中でずーっと深く深~く考えているという点です。

彼らが一番苦心していることはその「仕掛け」を使って「どんな問いを参加者達投げかけるか」ということです。『問い』という言葉も最近のキーワードかもしれません。しかも「いかに最小限で鋭いテーマ設定ができるか」ということにこだわりを感じます。参加者が「自らが動き出す」ためにはこちらからの投げかけは最小限なほど効果的という考えです。

「いい問いさえ投げられれば,後は参加者自身が考え歩き出して行く」という彼らの信念には,参加者の可能性を信じて止まない愛情すら感じるときがあります。

③「放置」「見守り」っぷりがすごい

それにしても驚かされるのは,やはり彼らの参加者に対する「放置」っぷりです。問いかけは最小限がいいとはいえ,あまりに関与してこないファシリテーターに,参加者はたいてい戸惑います。中には「え?!何しろっていうの?!」なんてちょっと怒り気味の人も。後ろで絵を描いている私はそんな混乱・迷走する『場』にハラハラドキドキ。

ここで驚くほど,にこにこ穏やかに「放置」「見守り」に徹するファシリテーターたちがいるんです。そしてそれが後々,だれも予想していないスパイラルやアウトプットを生んだりする。

じつは怒り出してしまう人ほど,責任感のとても強い人だったりします。人の頭は優秀で,隙間ができるとそれを埋めようとするようで,指示がなければそのうち自分で考え始めます。そして次々と人は責任感や意志を持って立ち上がり始めるんです。中には第二のファシリテーションリーダーが現われる。そんな様子を私は何度も目撃しました。

ファシリテーターの方に「こうなることを予想していたんですか?」と聞くんですが,「必ずこうなるとも限らない」との答え。それでもガンと動かず黙って見守れるその強さ。これもまた参加者への期待値の高さに比例するんじゃないでしょうか。

④「否定」しない

このスタンスにもハラハラさせられています。2つのスタイルがあるのですが,1つは「相手の意見を否定しない」というスタンスです。これは「主体的な対話」を生むファシリテーションの今のトレンドかもしれません。ちなみに,いつもいつも「否定しない」わけではありません。あくまでも「今この時間」「相手の意見を否定しない」。お互い自由に意見を発言しやすい雰囲気をつくり出すための最低限のルールです。

もう1つは議論の『流れ』そのものを否定しないというスタンス。いい『流れ』だなと感じたら,予定を変えてでもその『流れ』を優先してしまうところです。例えば休憩中に議論が盛り上がり始めたら,次のプログラムに入らない。ファシリテーターと呼ばれる人はタイムマネジメントを任され,最終的に何かしらの成果を期待されているので,普通なら予定通りにプログラムを進めたくなると思うんです。でも,彼らはそれにこだわりがない。私のほうが「時間は大丈夫?」とハラハラさせられています。

著者プロフィール

やまざきゆにこ

様々な議論の現場で,グラフィックファシリテーション(=グラフィックレコード+グラフィックフィードバック+グラフィックダイアログ)を実施する。300人超のシンポジウムから,企業も国籍も違う参加者の集まる研究会,組織を横断したプロジェクト,経営者・リーダークラスのビジョン研修,組織研修,顧客との協働プロジェクトなど多岐に渡る。企業・組織の事業判断・意思決定,プロジェクトや個人の意識・行動変革の一助になればと"絵筆を持って"活動中。

グラフィックファシリテーター(graphicfacilitator)は,やまざきゆにこの商標登録です。

グラフィックファシリテーション.jp:http://www.graphic-facilitation.jp/

バックナンバー

モヤモヤ議論にグラフィックファシリテーション!

バックナンバー一覧

コメント

  • ニュータイプ???

    今回も楽しく読ませていただきました。そしてまたしても気づきがありました。いろいろ考えさせられるネタがあって。ためになります。

    今回は、私自身が会議の進行役として抱えている矛盾や葛藤の原因について。

    手前みそかもしれませんが、自分のタイプとしては今風に近いのだと感じました。時間の仕切りにこだわらない。その場の雰囲気や流れを重視する。アウトプットよりはプロセスに重点を置く。

    でも確かに従来の価値観で言うと、会議は時間を重視し、結果にこだわり、きちんとしていることを求める。会議というものが形式主義に陥りがちな理由かもしれません。

    議論の熱を求める自分のタイプというものは確かにあって、それは自分の性格とか人格とか、他人と接するスタイルとか、自分自身の在り方と深く関わっていることのように思えます。

    私自身の中で、新旧の価値観がぶつかり合っていて、どうやらそれが私の悩みの正体のようです。

    自分のやり方に自信が持ちきれない。自分のやり方で通しきることへの疑問。ということかもしれません。

    ちょっと自分を発見した感じです。

    Commented : #1  くろめがね (2008/03/08, 10:27)

コメントの記入