モヤモヤ議論にグラフィックファシリテーション!

第13回 「ホワイトボード」を使って議論を上手に進めたいと思っている人へ

この記事を読むのに必要な時間:およそ 4.5 分

忠実に「語尾」「感嘆詞」も書き出してみる

Q5:板書をするときのコツがあったら教えてください。

A5-1:「聴く」こと。しかし,これが難しい。
気をつけたいのは,発言をすりかえてしまわないこと

会議で,みんなの意見が「ホワイトボード」に書き出されているのを見て,ちょっと心の中で「勝手な解釈で書き換えられてるなあ」と感じた経験はありませんか?

それは,GFで"ルール"や"フレーム"に無理矢理当てはめようとして描いてしまったときの気持ち悪さと似ています。

「今の話題は次の新しい紙に大きく描きたい!」と右手は感じたのに,頭で「とりあえず今の一枚の紙の中にまとめよう」と制御してしまい,小さく描いてしまったとき。結局,さらにその話題で議論が広がり「新しい紙に大きく描いておけば,この盛り上がりをもっと忠実に表現できたのに」と後悔したことがありました。

つい頭で考えて,自分の勝手な"フレーム"に当てはめてしまったんです。

そのグラフィックを何度見ても「ここに描くべきじゃなかったなあ」という気持ち悪い違和感だけが残ってしまった。参加者の方の共感度合いも低かった気がしてなりません。

「ホワイトボード」を使った議論でも,参加者の合意がなんとなく得られていないと感じたら,もしかして,ファシリテーターの眼には見えない"無意識のフレーム"に当てはめて書き取ってしまっていないか。発言をすりかえてしまっていないか。そんな自戒の念を持って「ホワイトボード」を1度見直してみるのは1つの方法かもしれません。

A5-2:いかに"頭"で考えないで,
感じたままに描けるか,ということばかり考えている

私の感覚では,⁠耳」から聞いたみなさんの「発言」を→〈できる限り私の「脳」を通さず〉⁠筆を持つ手」に直結させたとき。参加者から「そうそう!そんな感じ!」という反応をいただきます。

〈できる限り私の「脳」を通さない〉とは,つまり頭で考えない,ということ。勝手な"フレーム"に当てはめない,ということ。感じたままに,ということ。

そうやって,頭で考えずに感じたままに描けると,⁠感情」が拾えるんです。

「感情」とは,単なる発言だけではなく,その「言葉」の背景にあるストーリーや気持ち,その場の盛り上がった空気や熱,そのときの議論の流れ,雰囲気などなど。

実際,議論の当事者である皆さんも,ただ単に「言葉」に反応しているわけではなく,⁠感情」がのった「言葉」に反応して発言しているんですよね。

「大きく描きたい」と私が「感じた」のと同じように,その場にいるみなさんも,その「言葉」を聞いたとき,⁠言葉」に込められた強い「感情」に心動かされて,活発な意見が出たんじゃないかと思うんです。

頭で整理したり,分類しようとするよりも,その言葉に込められた「感情」を"感じたままに"描けたとき,⁠参加者にとって,とても納得感のある絵に仕上がったんだなあ」と実感できます。脳まで情報を送ることなく,脊髄反射で右手が動くのが私の理想です。ということで最近の私は,みなさんの発言に忠実に感じたままに描くために,⁠自分の姿をどこまで消せるか」⁠滅私奉公できるか」ということばかり考えながら,筆を持って耳をダンボにして立っています。

A5-3:「発言」だけでなく,
「感情」もセットに板書してみる

そもそも議論している場に,"思い"や"気持ち"の乗っていない「言葉」なんて無いんですよね。ただ「ホワイトボード」に書き出すと,その「言葉」に込められた"思い"や"意図"が抜け落ちてしまいがち。"フレーム"にうまく納めたときこそ,削ぎ落とされてしまいがちなんですね。

 

そこで,とにかく「ホワイトボード」で参加者の発言を拾う場合に,「その人らしいちょっとした"言い回し"や"語尾","感嘆詞"までも忠実に拾ってあげる」というのはどうでしょうか?

単なる抜け殻になった「言葉」だけを「ホワイトボード」の上で扱うと,誤った認識や解釈をされがちですが,そういう"人肌"の感じられる「言葉」が残った「ホワイトボード」には,発言した人の意図や本音が見えてくる。すると意外に速く信頼関係が築けたり,相互理解がずっと速く深まると思いますがいかがでしょうか?

著者プロフィール

やまざきゆにこ

様々な議論の現場で,グラフィックファシリテーション(=グラフィックレコード+グラフィックフィードバック+グラフィックダイアログ)を実施する。300人超のシンポジウムから,企業も国籍も違う参加者の集まる研究会,組織を横断したプロジェクト,経営者・リーダークラスのビジョン研修,組織研修,顧客との協働プロジェクトなど多岐に渡る。企業・組織の事業判断・意思決定,プロジェクトや個人の意識・行動変革の一助になればと"絵筆を持って"活動中。

グラフィックファシリテーター(graphicfacilitator)は,やまざきゆにこの商標登録です。

グラフィックファシリテーション.jp:http://www.graphic-facilitation.jp/

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