グラフィックファシリテーターのやまざきゆにこです。さて,前回に引続き,「どうやって議論を整理しているんですか?」という質問に答えます。
グラフィックファシリテーション(※以下「GF」)では,最初からきちんと〈整理する〉つもりで描いていません。議論をまずは,ただ,ただ〈拾う〉のみ。しかし,「GFで"構造化"はできないのか」「GFで議論はまとめられないのか」というと,全くそういうことはありません。「出来上がったグラフィックを後から見直すと,ある関係性が見えてきたり,新たな分類ができたりと,必ず何かが〈整理〉されているんです。
今回はそんな「GF」が教えてくれる〈整理〉の仕方から,日々の議論の進め方に使える思考のヒントを探ってみます。
"時間差"で整理されてくるものがある
Q1:頭の中を整理するときにグラフィックで構造化することで理解が深まる。
チャートもその一つですし,ビジネスの世界では有効な手段。
ゆにさんの「GF」では,どうやって議論を整理しているんですか?
- A1-1:しばらくすると,グラフィックが,時に全く違う視点で
〈整理してくれる〉から,面白い! GFは,絵にする記録作業(下記①)の珍しさに目がいきがちですが,じつはGFの底力は,絵になったものから見えてくること(下記②③)を読み解いて,次のアクションにつなげられるところなんです。
当日の『グラフィックファシリテーション』は以下の流れで進みます。

私はまずは,ひたすら黙って部屋の後ろで壁に向かって筆を動かしています(上記①)。そして1~2時間して議論が小休止するようなタイミングで,「なぜこんな絵を描いたのか」といった説明をその場でみなさんにフィードバックします(上記②)。時間にしては5分程度の簡単なものですが,そのとき必ず特徴ある絵や色を見つけることができるんです。
先日のグラフィックでは,〈水色の雲で囲んだ絵(下記左の絵)〉と〈緑色の地面の絵(下記右の絵)〉があちらこちらに現れているのに気づきました(下記以外にも複数出現)。
それらをよくよく見てみると,次の2つに分けられていることがわかりました。
- 左の絵:〈水色の雲で囲んだ絵〉=ネット上のサービス利用シーン
- 右の絵:〈緑色の地面の絵〉=実社会での携帯利用シーン
絵をタタキ台にして,こうした発見や気付きをフィードバックしながら,皆さんとこれまでの議論を振り返り,対話を深めていきます(上記③)
- A1-2:「GF」では,
〈整理する〉は"後から"ついてくる 当初から〈整理する〉つもりで描いていれば,きれいに紙の上方に〈ネット上〉の利用シーンを描き,下方に〈実社会〉での利用シーンと,分けて描けるのでしょうが,実際その会議では「今期の課題/来期の施策」という議題で進行していました。サービス利用シーン〈ネット〉と〈実社会〉に分けて議論されてはいませんでした。そのときの私も,描いている時点では,「外を歩いている絵になったから→緑色に塗ってみた」だけ,「ネット上のサービスを楽しんでいる様子は→さっき(外の絵)とは違う色(水色)で囲んでみた」だけです。
最初は出来上がった絵を振り返っても,それぞれ何のつながりもない絵がバラバラと描かれているだけに見えます。特に参加者が自由に発言する場ではたいていそういう絵に仕上がります。
でも,そんな絵こそ改めてじっくり見直すと,例えば今回のように〈水色〉や〈緑色〉の絵が「それぞれ仲間同士の絵だった」ということが見つかります。すると,ものすごく〈発散〉しているだけのように見えていた議論が,一気に〈収束〉していく,といったことが起こるんです。
GFの"議論を絵にする"という手法には,議論の中で聞こえてくる微妙な違和感,空気感が絵そのものや色,大きさ,形に現われるという特徴があります。そしてそれが意外に議論を〈整理する〉上で,大事な要素になっています(※絵を描かなくても感情を拾う方法は主に第13回で紹介)。


