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モヤモヤ議論にグラフィックファシリテーション!

第19回 リーダーに求められる ホンネが言える[場]づくり

この記事を読むのに必要な時間:およそ 2.5 分

こんにちは。グラフィックファシリテーターのやまざきゆにこです。さて,前回,「社会のせい,会社のせい,上司のせいにする[他責]の議論をグラフィックに描いているうちに[自責]の議論に変わっていく」という話を紹介しました。そして「不平・不満こそ[紙に書いて定着]させる」ことをオススメしたのですが,そんな前回の記事に"くろめがねさん"から以下のコメントをいただきました。

  • 「『みんな大好き!「できない理由」「ダメ出し」発言』これはよくわかります。それが自責の発言にそんなにうまく変わるのか? 経験がないので正直よくわかりません」

ごもっともです。そして実際,必ずしも,すぐに意識がうまく切り変わるわけではありません。放っておけば延々と「できない理由」の並ぶ議論と私は絵筆を長い時間(ときには丸一日)戦わせていることも多々あります。ただそこで,一人二人と「じぶんたちが」と[自責の発言]に変わっていく会議には,共通して"いくつかの仕掛け"が重なって功を奏していると思います。

[自責の発言]を生み出すのに有効な仕掛けとは何だったのか? 日頃の会議でも使えるヒントを探りながら,[自責の発言]があふれ出るようになるまでの試行錯誤を振り返ってみたいと思います。

[他責な発言]こそ,未来への近道

そもそも,みなさんは「できない理由」や「ダメ出し」発言が聞こえてくる会議室に居合わせたとき,どんな感情を抱きますか? 最近の私は「未来があるなあ」と感じるようになりました。というのも,私の筆がよく"走る"のです。

「会議で白い紙に絵を描く」という行為は何のためかと言えば「未来を描くため」。一つ一つは,課題の洗い出しであったり,新しいマーケットの創造を議論している場で描いていますが,すべては未来を創り出すための議論の場です。そこで筆が"走る"というのは私にとっては「未来に向かっている」というバロメーターでもあるのです。

もう少し詳しく説明すると,単に「一枚の画用紙」に描くのではなく,どこまでも続く「絵巻物」に描くという行為は(※実際には大型ポストイットをどんどん横に並べて描いていくわけですが),未来に向かって模索し歩んでいる跡が,道となって現れてくる状態です。一枚一枚は,今つまずいている課題の絵であったり,認識のずれが見える絵だったりしますが,壁から2,3歩下がってグラフィック全体を俯瞰(ふかん)すると,それらがつらなって「未来に続いている」状態です。ちょっと格好よく言えば,古代の人が語り継いだ壁画のような,未来に語り継げるストーリーが見えてくるものです。

「一枚」の紙やホワイトボードに描くのと大きく違う,この「絵巻物」であるというグラフィックファシリテーションの特性から,筆がよく走るとき,それはどんなにネガティブな情報であっても「未来につながっている」と感じるんです。しかし,逆にいえば,私の筆が「どうも描きにくいなあ」といった違和感を抱いているとき,それは「どうも議論が未来に向かって進んでいない」という"信号"とも受け取れるのです。そして,その違和感が長く続けば続くほど,それは,何かしらの"キケン信号"と私は受け取っています。

キケン! 筆が進まない[本音が聞こえてこない]会議

最近,よく筆から"キケン信号"を感じるのは,次のような会議です。

  • 議事は滞り無く進んでいるのに,参加者から何の疑問も反論もない会議。
  • 意見が出たとしてもその後に発言が続かない会議。
  • 議論が交錯しない会議。
  • 議事を静観している人が大多数の会議。

そのときの参加者の心理状態の1つには,まさに第17回のコメント欄に頂いた以下の内容に近いのではないでしょうか。

  • 「余計なことは言わない方がいい。沈黙は金なり,といった価値観がはばを利かせているように思います。バカなことを言っちゃったらマズイとか,自分をさらけ出すことをよしとしないような文化みたいなものはやっぱりあるのかもしれない」(くろめがねさん)

黙っているけれどその場に座っている人たちの心の中では,じつは上記のような"会話"があるんですね。第三者には聞こえてこない本音の会話。

そんな本音に[蓋]をして,黙っていれば責任から逃れることもできますが,これも十分[他責]な行動です。そして,そんな[他責]な行動に囲まれた会議で生まれた絵には,本当に力がないんです。目標を掲げてこれから走り出そうという会議でも,その絵を見てだれからも「これいいよね」「いけるいける」という発言が聞こえてこない。現場は,どこか,やらされ感。みんな引いている。熱くない。乗ってない。予定調和の空気が流れています。

著者プロフィール

やまざきゆにこ

様々な議論の現場で,グラフィックファシリテーション(=グラフィックレコード+グラフィックフィードバック+グラフィックダイアログ)を実施する。300人超のシンポジウムから,企業も国籍も違う参加者の集まる研究会,組織を横断したプロジェクト,経営者・リーダークラスのビジョン研修,組織研修,顧客との協働プロジェクトなど多岐に渡る。企業・組織の事業判断・意思決定,プロジェクトや個人の意識・行動変革の一助になればと"絵筆を持って"活動中。

グラフィックファシリテーター(graphicfacilitator)は,やまざきゆにこの商標登録です。

グラフィックファシリテーション.jp:http://www.graphic-facilitation.jp/

コメント

  • 本音が足りない

    コメントを取り上げていただいてありがとうございます。ちょっぴりうれしかったり。(本音をいえば、すっごく!)


    今回の記事はなんだかものすごくよくわかります。声なき声は賛成、とみなされますが実は正反対。というのもよくある話だと思います。反対意見をいえないだけ。本音をいえないだけ。そういうことって、ホント、よくあるんだと思いますね。


    「そうはいってもムリだよ~」というホンネの鎖に縛られた絵は、そんな状態を実にうまく表現していると思います。なるほど、象徴的な表現によって本質的なものを描きだすグラフィックの表現力とは、こういうことなんですね。


    それにしても、「『不平・不満』の種類はそんなになくて、多くの場合は共通している」という言葉にはハッとしました。そうなんですか。どこも同じなのか。ふーん。そうなんだ。いろんな会社でいろんな会議、議論を体験しているゆにさんならではの感覚なのでしょうね。結構、目から鱗でした。


    そういう空気を「変えよう」とはなかなかみんな思わないものなんでしょうかねえ。考えてみると、自分自身もなんだかそんな目に見えないものと結構、闘っているような気もします。「変えよう」「きっと変えられる」。そんな種を植え付けよう。根付かせよう。そんなことを一所懸命考えながら、空回りしているような感じ。あ、Change!ってオバマ大統領のキャッチフレーズだ。なんだ、アメリカも一緒か!


    次回、重いふたのはずし方の章、楽しみに待っています。

    Commented : #1  くろめがね (2009/01/31, 14:58)

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