モヤモヤ議論にグラフィックファシリテーション!

第25回 聴き手座談会(3)会議のキーマンは“聴けている” ~聴ける基本姿勢,マインド~

この記事を読むのに必要な時間:およそ 3 分

[聴く]を仕事にする女性達との三者座談会。会議で聴くということ,聴くためのマインドの話に,テーマが移っていきました。

座談会参加者:
  • ●通訳者 奥山ちとせさん(以下,奥山)
  • ●メディエーター 田中圭子さん(以下,田中)
  • ●グラフィックファシリテーター やまざきゆにこ(以下,ゆに)
  • 〇読者代表&記録係り ワタナベアキコさん(以下,ワタ)
  • 〇オブザーバー 本連載担当 タカハシさん(以下,タカ)

※それぞれのプロフィールは,第23回をご覧ください。


ゆに:効率性を求められる場では今はまだ注目されていませんが, [聴ける人]の発言が,会議の流れを変えていくということが,これからもっと注目されたらいいなと思っています。そしてそんな[聴ける人]の素養は,実は誰にでもあるのではないかと思っているんですが,どうでしょう?

会議は[話し手市場] 。みんな「じぶんが話したい」

ゆに:私の場合,プロジェクトに参加して,例えば数回目の打ち合わせで,「1回目にも描いたぞ,この絵!」というシーンに遭遇します。つまり,同じ議論が繰り返されている状態。お二人にも,そんな体験があれば教えてください。

聴いてない?! ① 音声未達

奥山:まず音声のレベルだと,人がしゃべっているのに,他の人がしゃべりだして通訳できない。「だれの発言の通訳をやれっていうの?」っていうのがよくある。

全員:(笑)

奥山:質問の最後まで聴かないで答え始めることが良くあって。イントロ早押しクイズと同じで。質問とは全然違うことを勝手にしゃべっている状態。

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聴いてない?! ② 「聞こえて」いるけど,「聴こえて」いない

奥山:次は,音声は届いているけど,話の中身を聴いてない状態。「で,ところであれはどうなっているんだっけ?」と通訳しながらも,私にとってはそれさっき言ってたじゃないと。ゆにさんの同じ絵を描くと同じ。よくあります。

ワタ:会話で,自分の引き出しにあるキーワードが出るとそれに飛びついて「いや,それはこうなんだよねー」とまったく関係ない話が始まることありますよね(笑)。自分の引き出しを披露して満足している。

ゆに:自分もよくやっちゃう。

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田中:それを言って何の意味があるんだろう(笑)というのですね。「聞こえて」いるんだけど「聴いて」いない。コミュニケーションの理論の中で言われるのは「発信者の信号発信作業」と,「受信者の解読作業」が違えば,違うものが伝わっている。私がよく例で使うのはある本で読んだものですが,「おまえ,ばかだな」と言われてムッとするときと,なんかキュンとくるときがありますよね。

全員:(笑)

田中:コミュニケーションはそんなお互いの発信と受信の繰り返しなので,もめごとがエスカレーションしちゃう多くも,受信者が違った解釈(解読)をして,それに発信者が気づかないで,「そんなつもりで言ったんじゃなかったのに」という状態が連鎖してしまう。そんな中で上手く伝わらない部分をお手伝いする役割も,メディエーターにはあるのかなと感じます。

奥山:ある本で「アメリカの文化では会話はテニスだ」って言うんですよ。「ラリーが続いて始めて意味がある」。「日本はボーリングですね」って。ボールが来たら打ち返すのではなく,一人がレーンでガーンってボールを投げたら,みんなで拍手して,次の人に進む。

全員:(笑)

ワタ:「俺スコアいくつ」のアピール合戦で,結局,全体では何も決まらない。

全員:(笑)

ワタ:良い試合でしたねってテニスみたいに握手までいかないんですね。

ゆに:なるほどね。みんな自分が話したい

奥山:「俺スコアいくつ」はありますよね。自分の評価をすごく気にしている。

聴いてない?! ③ 文脈無視,文脈を乱す

奥山:文脈とは関係なく「どうしてもこれを言いたい」というのもありますね。「今日これを言おうと思って来たんだ。ネタだから言わせてよ

ゆに:絵巻物は,まさに「文脈」を写し取っている状態なので,よく体験します!

田中:会議で,無理して発言しなくていいのになぁと思う場面は確かにありますね。何か言わないといけないと思うのか,自分の存在をどうしてもアピールしなければいけないという感じがあるのかなぁ。

ゆに:そのときそれを,どう扱われるんですか。

田中:メディエーターの変な癖で,受け止めなきゃって思ってしまう自分がいるかも。

ワタ:誰が言ったかにもよりますが,私はわりとばっさり切りますよ。でも,それは本来,受け止めなきゃいけないのかも。

田中:(笑)。私は会議だったらもう少しさっくりいっちゃってもよかったなと後で思うときがあります。

ワタ:新人のとき,会議の中身がよく分からないのに,とにかく何か言いなさいと言われて,取りあえず話たりしたけど,結構,それは年次が上の方でもあるのでは? 黙っているのはまずいから,とりあえず一言・二言,言う。でもそれが結局,決めたいことに皆が全然向かってなくて

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奥山:話の仕方の癖みたいなのもあるんですよね。

ゆに:そう!

奥山:ある人は,すごく明確に一点(結論・ゴール)へ向かってまっすぐ見るし,一方で全然違う方向から入って,ぐるぐるしている人もいて。そのぐるぐるを聴いておかなきゃいけないんだっていう(笑)。

ワタ:そんなとき会議に同席しているメンバーは,通訳さんに申し訳ないなと思っている。私たちならオンオフできるけど,通訳さんはそれをオンオフできないから。

ゆに:でも私たちって,そういう「もつれた毛糸の部分と付き合ってる人たち」な気がするな。

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著者プロフィール

やまざきゆにこ

様々な議論の現場で,グラフィックファシリテーション(=グラフィックレコード+グラフィックフィードバック+グラフィックダイアログ)を実施する。300人超のシンポジウムから,企業も国籍も違う参加者の集まる研究会,組織を横断したプロジェクト,経営者・リーダークラスのビジョン研修,組織研修,顧客との協働プロジェクトなど多岐に渡る。企業・組織の事業判断・意思決定,プロジェクトや個人の意識・行動変革の一助になればと"絵筆を持って"活動中。

グラフィックファシリテーター(graphicfacilitator)は,やまざきゆにこの商標登録です。

グラフィックファシリテーション.jp:http://www.graphic-facilitation.jp/

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コメント

  • 第三者なのはどっち!?

    なんだか、読んでいて、日本語でやってる会議の中にも日本語の通訳の人がいればいいのに、と思いました。

    言いたいことが伝わっていないなんてことは当たり前のようにある気がします。本当であれば、そこに会議メンバーから質問やフォローがあってその人の言いたいことが明確になっていく。という流れが美しいのでしょうけれど。

    そういうのがきっと議論のラリーというもののあるべき姿なのでしょうけれど。

    話の流れ、文脈というものがつながっていなくて、ぶつ切りの議論というものを自分はたくさん経験しているような気がします。

    会議の人数にもよるかもしれませんが、会議の場での発言というものがどこか他人事のようになっていて、「本気」で議論するということはまれであるようにも思います。

    「相手に同化する」ほどの本気さというものは会議メンバー側にかけているものかもしれません。

    会議メンバーの当事者たちが第三者的になっていて、通訳の人やグラフィックファシリテーターのような第三者が逆に当事者意識で聞いているというねじれが生じているような感じがしました。

    それはプロゆえの、或いは第三者ゆえの真剣さなのでしょうか。

    Commented : #1  くろめがね (2009/09/21, 13:07)

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