モヤモヤ議論にグラフィックファシリテーション!

第29回 よく描いてしまう絵「職場,冷えてます」

この記事を読むのに必要な時間:およそ 2 分

「うらやましい」「いいなあ」のポイントって?

でも,そのとき,わたし絵筆は迷っていました。⁠ちょっと待てよ」と。どのアイデアもどれも面白そうだけど,⁠たばこ部屋ってうらやましい!」という声を聴いて描いたあの絵が目の前にあるわたしには,⁠うらやましい!」と言った人の感じたこのシーンと,どうもそこに並ぶアイデアの「いいな」と感じるシーンがズレているような気がしてなりませんでした。改めて「たばこ部屋」の何がうらやましいと思ったのかな,と気になってしまいました。

「たばこ部屋」の魅力といえば,目の前の仕事からちょっと離れられる時間と空間。⁠たばこを吸いたい」という共通の思いだけで,まったく違う部署や役職,年次の人たちと顔を会わせられる偶然性。⁠たばこを吸ってほっとしたい」⁠たばこを吸って頭を空っぽにしたい」⁠たばこを吸って一人で考え事をしたい」といろいろあっても,結果として知らない人や違う組織の人とつながれる空間は魅力的です。

でも,絵巻物の前に立っているわたしとしては,描いたばかりの「たばこ部屋」の絵を眺めていると,見えてくるのは「ガラス張り」というところも1つの大事な要素かも,ということでした。

たばこを吸わない人が「うらやましい!」と思ったのは,その「たばこ部屋」が外から見ても楽しそうな空間としてよく見えたからでした。もしこれが見えない一角にある「たばこ部屋」だったら,逆にここまで「たばこ部屋」の格付けは高くなかったかもしれません。⁠ガラス張り」であることが,ここ以外の「たばこ部屋」議論で使えるとは思っていませんが,このときの議論では「外せない1つの要素だと思う」ことを伝えて終りました。

「うらやましい」「いいなあ」を,目を閉じて想像してみる

ふだんの会議と,グラフィックという第三の目線を導入したときの会議の見え方との違いはこういうところではないか,と思っています。ふだんの議論では「たばこ部屋」という単語に焦点が当たって,⁠たばこ部屋」という単語だけが一人歩きすることで,発想が広がる場合もある。一方で,グラフィックに描くと「たばこ部屋がうらやましい」といった女性たちの外から覗く一場面という捉え方になる。そんなシーンを眺めていると,絵を描いていると,通常の言葉と文字だけの会議と比べて,⁠たばこ部屋」という単語だけにフォーカスが行かなくなるんだと思います。その人がそれを「うらやましい」と言ったとき「どう感じたのか」ということを自問自答させてくれるのが,絵の役割の1つだとも思っています。

議論の最中に,たまに視点を変える1つの方法として,目を閉じてそのシーンを想像してみるというのはどうでしょう? グラフィックファシリテ―ション的に「いいなあ」⁠うらやましいなあ」と感じたそのシーンを想像してみる。そうすると,例えば今回たくさん並んだアイデアの中から,同じにおいにするものが簡単に見つけられるかもしれません。何か決定・決断に迷ったとき,そんな視点から見直してみると,意外にあっさり「これ採用!」と言えたりするかもしれません。


わたしの絵筆が「よく描く」という現象には,会社や組織を超えて共通していることがまだまだありそうです。次回も「よく描いてしまう絵」をご紹介します。ということで,次回も楽しみにしていてください。

今回はここまで。グラフィックファシリテーターのゆにでした(^-^)/

著者プロフィール

やまざきゆにこ

様々な議論の現場で,グラフィックファシリテーション(=グラフィックレコード+グラフィックフィードバック+グラフィックダイアログ)を実施する。300人超のシンポジウムから,企業も国籍も違う参加者の集まる研究会,組織を横断したプロジェクト,経営者・リーダークラスのビジョン研修,組織研修,顧客との協働プロジェクトなど多岐に渡る。企業・組織の事業判断・意思決定,プロジェクトや個人の意識・行動変革の一助になればと"絵筆を持って"活動中。

グラフィックファシリテーター(graphicfacilitator)は,やまざきゆにこの商標登録です。

グラフィックファシリテーション.jp:http://www.graphic-facilitation.jp/

バックナンバー

モヤモヤ議論にグラフィックファシリテーション!

バックナンバー一覧