モヤモヤ議論にグラフィックファシリテーション!

第32回 よく描く絵「こうあるべきだ!」の『べきだ枠』

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他人にも押しつけている「べきだ枠」

「○○であるべきだ」「べきだ枠」「他人」にも押しつけている絵もよく描きます。そして,これもまたほとんどが無意識のうちに,知らず知らずのうちに,悪気はないのに押しつけてしまっている現象として描けます。

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※上記画像はクリックすると拡大して見ることができます。

例えば,上司が部下に対して
⁠どうしてミスが大きくなる前にもっと早く相談できないんだ?」
という会話を聴いているうちに

「部下はもっとじぶんから,上司や先輩に質問するべきだ
という上司の持つ「べきだ枠」が描けました。

また,ある会社の営業所から本社に対して
⁠忙しい営業所にこれ以上,仕事を増やさないでほしい」
という思いを持っているという話を聴いているうちに

「これらの業務は,本社で処理すべきだ
という営業所の「べきだ枠」が描けました。

そして,いずれも「べきだ枠」を相手に押しつけようとしている絵が描けました。

そういえば,先ほどのAさんも,上司に「メールを受け取ったら返信するべきだという「べきだ枠」を押しつけていました。

ある会議で,⁠強烈なトップダウンのあるヒエラルキー型組織とは」という絵を描いたときも,今見返すと,トップが部下に「べきだ枠」を押しつけているという次のような絵が描けていました。

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※上記画像はクリックすると拡大して見ることができます。

“ボス⁠がじぶんの成功体験でつくりあげた「べきだ枠」に,社員全員をハメようとしている様子です。社員はその「枠」と同じ形の四角い頭になってしまったという組織です(こうして「枠」を押しつけられてつくりあげられた四角い従業員が,第28回で紹介した「不感症ロボット」になっていきます⁠⁠。

だれもが持っている「べきだ枠」

「べきだ枠」⁠無意識に⁠押しつけている側は「何度言っても伝わらない」と言い,押しつけられた側は「どうしてそんなことを言われなければいけないのか」と言う声が,どの絵からも聞こえてきそう。お互い不愉快な思いをしているようにも見えてきました。

ただ,ここでちょっと質問です。あなたはどちらのタイプでしょうか? 会話の相手は上司や部下,友人や家族でも構いません。そのときのあなたは「こうあるべきだ」「押しつける側」ですか? それとも「押しつけられている側」ですか?

「相手によってどちらの側にもなり得る」というシーンが思い描けるのではないでしょうか。絵巻物の中でも同様に「べきだ枠」⁠一方的に⁠押しつける/押しつけられるの関係ではなく,⁠双方が⁠押しつけあっている絵として描けてきます。

例えば,部下から上司に対する不満があふれ出てきたときのこと。

  • 「うちの上司は,ものすごく細かくてうるさい…」
  • 「うちの上司は,放任主義で何も決めてくれない…」
  • 「うちの上司は,上ばかり見ていて,部下のことは見ていない…」
  • 「うちの上司は,目標数字は掲げるけれど,ビジョンは全くない…」
  • 「日々,目の前の仕事に追われていて,気持ちが疲弊…」
  • 「上司が変われば,もっと仕事がしやすいのに…⁠

そして「上司なのだから,もっとリーダーシップを発揮するべきだ。そうでないと部下は…」という話から,彼らの「べきだ枠」が描けたのです。

  • 「リーダーとはビジョンを示すべきだ
  • 「リーダーとは組織の先に立って先導すべきだ/
  • 「リーダーとは部下を信頼して任せるべきだetc.

それは三者三様,十人十色のさまざまな「リーダーシップとはこうあるべきだという「べきだ枠」が描けました。

「べきだ枠」に囚われることは,悪いことではなかった

上司が部下に対して一方的に「こうあるべきだ」と押しつけているのかと思ったら,部下も上司に対して(普段は声には出さないけれど!)多いに「べきだ枠」を押しつけて,その通りにハマらない上司に対して不満を漏らしている絵が描けました。

てっきり⁠被害者⁠⁠加害者⁠の関係かと思っていたのですが,⁠あら? なーんだ。⁠お互いさま⁠ですね」と思えてきました。

「べきだ枠」とは,だれもが囚われてしまうもの。だれもが(つい無意識のうちに)押しつけてしまうもの。だとすると,「べきだ枠」を押しつけることは悪いことでもなければ,「べきだ枠」に囚われている自分やだれかをダメ出しすることでもないのかなと思えてきます。

「べきだ枠」に囚われることは悪いことではない,というところから改めて,これらの絵を見直してみると,⁠あの人とはどうもコミュニケーションがうまくとれない」といったモヤモヤが晴れるヒントが見えてきました。その続きは次回でご紹介したいと思います。ということで,今回はここまで。

グラフィックファシリテーターのゆにでした(^-^)/

著者プロフィール

やまざきゆにこ

様々な議論の現場で,グラフィックファシリテーション(=グラフィックレコード+グラフィックフィードバック+グラフィックダイアログ)を実施する。300人超のシンポジウムから,企業も国籍も違う参加者の集まる研究会,組織を横断したプロジェクト,経営者・リーダークラスのビジョン研修,組織研修,顧客との協働プロジェクトなど多岐に渡る。企業・組織の事業判断・意思決定,プロジェクトや個人の意識・行動変革の一助になればと"絵筆を持って"活動中。

グラフィックファシリテーター(graphicfacilitator)は,やまざきゆにこの商標登録です。

グラフィックファシリテーション.jp:http://www.graphic-facilitation.jp/

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