モヤモヤ議論にグラフィックファシリテーション!

第46回 (会議あるある第二段)「シニア」「高齢者」「老人」と呼ばれて,未来のお客さまが「怒っている」絵が描けてくる! ハートをつかむためにも[ネガポジ設計]

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[自分事]に思えるか

「だれが」[具体的な特定の1人]に定めて話ができると,その人が抱える[ネガティブな気持ち]がより具体的になってきます。すると,これまでしてきた「課題解決」の議論とはまったく別の道を辿った話し合いができ,本当の問題とその解決策が見えてきます。ある会議の実例を紹介します。

だれが

72歳女性が杖をついてリハビリに通う(要支援1⁠⁠。夫は他界。

その女性が抱える[ネガティブな気持ち]

自立して生活しているその女性が困っているのは,日々の生活で,電球1つが取り替えられずにいること,重たい牛乳やお米や大根は買って帰れないこと,など。

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その会議ではそれまで「高齢者を支える」ことを「介護・医療という側面から」議論していました。しかし,「だれが」[具体的な特定の1人]に定めたことで,その女性が求めているものは「介護や医療ではなかった」ということにハッと気付けることができました。

もしも会議の参加者が「シニアや高齢者の[ネガティブな気持ち]は想像がつかない」というのであれば,ぜひご家族や身近なシニア・高齢者の声を聞いてみてください。

実際,GFの現場では,参加者にそうした取材を事前の宿題にしてもらっています。もしくは会議メンバーにシニア・高齢者の方に参加いただいたり,シニア・高齢者の方と実際に触れ合っている介護や医療現場で働く方たちに参加いただいています。

そして事実,簡単なヒアリングなどを準備して臨むだけで,参加メンバーの意識はまったく変わってきます。

よく起こる現象としては「自分の親のことを考えたら?」「自分がもし年をとったときには?」「他人事ではない」という声が聴こえてきます。それはまさに[自分事]として想いを巡らせた証拠。絵筆が思わずハートを描いてしまう瞬間です。

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「おふくろには○○してあげたい」「我々ができることは○○しかない」。そんなハートが描けるところには,実行力を伴います。

成功実例(スライド資料も公開)

最後に,成功実例を一つご紹介しておきます。「高齢化が進む地域の課題」を語り合うのではなく,「だれがどう困っているか」という具体的な話から始めたことで,本来解決したかった問題,本質的な課題に近づけた実例です。主役であるシニアや高齢者の[ネガティブな気持ち]にとことん向き合って,ハート(自責・自分事)が芽生えた好事例です。スライド資料も付属しているため,会議を設計される方にはとても参考になるはずです。

高齢者社会のあり方に関するざっくばらんな意見交換会。

長野県東御(とうみ)市役所 福祉課 地域包括支援係
平成25年度 地域包括ケアシステム 構築推進事業

「老後が心配…」から「この地域なら老後は何とかなりそう!」へ変わるために今私たちが取り組むべきことを本気で考える。

ぜひマネしてほしい[問い]の立て方

1)自分ごとで語ってもらうには「課題」ではなく
⁠モヤモヤしていること」を語り合おう
http://www.graphic-facilitation.jp/cp-bin/blog/index.php?eid=317
2)自分ごとで語ってもらうには主語を「参加者」
「参加者が話したくなる問い」を探そう
http://www.graphic-facilitation.jp/cp-bin/blog/index.php?eid=318
3)自分ごとにしてほしいから,参加者に
「WANT」を聞いて「CAN'Tの壁」を越えてもらおう
http://www.graphic-facilitation.jp/cp-bin/blog/index.php?eid=319
4)垣根を越えて集まる会議でみんなを1つにする[問い]の立て方
http://www.graphic-facilitation.jp/cp-bin/blog/index.php?eid=320

さて次回も,多くの会議で起きている「GFあるある」をご紹介します。他人のふりみて我がふり直せ。⁠議論がぼんやりしていて…」⁠みんなも腹落ちしていない…」といった症状への打ち手,絵空事に終らせない会議設計のポイントをご紹介します。

著者プロフィール

やまざきゆにこ

様々な議論の現場で,グラフィックファシリテーション(=グラフィックレコード+グラフィックフィードバック+グラフィックダイアログ)を実施する。300人超のシンポジウムから,企業も国籍も違う参加者の集まる研究会,組織を横断したプロジェクト,経営者・リーダークラスのビジョン研修,組織研修,顧客との協働プロジェクトなど多岐に渡る。企業・組織の事業判断・意思決定,プロジェクトや個人の意識・行動変革の一助になればと"絵筆を持って"活動中。

グラフィックファシリテーター(graphicfacilitator)は,やまざきゆにこの商標登録です。

グラフィックファシリテーション.jp:http://www.graphic-facilitation.jp/

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