モヤモヤ議論にグラフィックファシリテーション!

第48回 会議室で[絵巻物思考]を使って,会議の流れを変える人になる練習問題

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[人]の心を本気で動かすには[人]の描ける議論を!

[表情+セリフ]を思い描く[絵巻物思考]とは,簡単に言ってしまえば,今の議論を[本当の顧客]の目線や立場になって,彼らの「気持ち」から捉え直しましょう,と言っているだけのことです。それでも同じ社内や業界でいつも議論していると,どうしてもそれを忘れてしまうのです。

そんな実話をオマケにもう1つ。ある業界フォーラムで絵巻物を描いていたときも,こんなことがありました。壇上では5人の業界関係者が,次の事柄を議題としてパネルディスカッションをしていました。

「 CS(カスタマー・サティスファクション; 顧客満足度)を高めるためにVOC(ボイス・オブ・カスタマー; 顧客の声)の分析と活用の未来」

わたしはこの日初めて「VOC」という言葉を知りましたが,ネット業界やコールセンター業界では当たり前ように使われているそうです。パネリストのみなさんが「VOC」を当たり前のように「ヴイオーシー」と呼ぶのに最初は驚きました。先ほどの「HC」「エイチシー」と呼ぶのと似てますね。ただこの日は[C=カスタマー]の満足度向上のために[C=カスタマー]の声の話をしているのだから[人]が描けるハズ!と思っていました。

しかし,このパネルディスカッションでも結局,同じ状態に陥りました。パネリストの方たちが「ヴイオーシー」⁠ヴイオーシー」と何度も連呼されるのです。わたしの頭の中はすっかり「Y」⁠M」⁠C」⁠A」とか「L」⁠O」⁠V」⁠E」のような,ただの単語の羅列「V」⁠O」⁠C」としか聴こえてこなくなり……,

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「日々蓄積されるVOCを~」という話はもはや「ぶぃ」⁠おー」⁠しー」……という無機質な箱がどんどん降ってきて溜まって行く絵にしか描けませんでした。

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これで[C=カスタマー]の心をつかむ新商品や新サービスが生まれてくるとは思えません。実際,講演内容も一般論に終始しており,具体的な話が聴こえてこない。居眠りする聴衆の方もたくさん見られました。

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「お客さまの声」で描けると期待していたのは,例えば「もっとよくならないの?」という[怒った表情+クレームのセリフ]や,⁠こんなに丁寧に早々に送ってくれてありがとう」[感謝の気持ちあふれる表情+セリフ]など,とにかく「感情」あふれるものだと思ってました。

それなのに[C=カスタマー]の,電話やメールの向こうから届けられた怒りも感謝の気持ちも,こんな無機質に扱われるているとは……。⁠カスタマーの1人として悲しい気持ちになりました」と会場のみなさんに伝えたら,パネリストの方たちだけでなく,講演を聴きに来ていた方からも同じことを言われました。⁠VOCがお客さまの表情ある声だなんて考えたこともなかった!」と。

[人][人]として扱っていない会議は本当に多いです。でもそれはもう,ここまで多いとしょうがないと思いましょう。それよりも,そのことにいち早く気づけること。そして,議論の流れを[本当の顧客]がどんな[表情+セリフ]をしているかという話し合いに変えられること。それが,不毛な会議を本質的な議論に変える近道と思うのです。

さて次回は,⁠本当の顧客]のホンネ,特に[ガティブな表情+セリフ]について語り合えると,もっと面白くキレのある解決策が見えてきますという実例を紹介します。とにかく[人]はキレイゴトでは動かない。顧客の心をつかみ,従業員の心を動かしたければ「ネガ」です。何より「ネガ」は,議論しているみなさん自身もワクワクしてきます。お楽しみにo(^▽^)o

著者プロフィール

やまざきゆにこ

様々な議論の現場で,グラフィックファシリテーション(=グラフィックレコード+グラフィックフィードバック+グラフィックダイアログ)を実施する。300人超のシンポジウムから,企業も国籍も違う参加者の集まる研究会,組織を横断したプロジェクト,経営者・リーダークラスのビジョン研修,組織研修,顧客との協働プロジェクトなど多岐に渡る。企業・組織の事業判断・意思決定,プロジェクトや個人の意識・行動変革の一助になればと"絵筆を持って"活動中。

グラフィックファシリテーター(graphicfacilitator)は,やまざきゆにこの商標登録です。

グラフィックファシリテーション.jp:http://www.graphic-facilitation.jp/

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