この記事は,平成22年度春期試験の対策用に執筆したものです。記事中の試験概要や問題内容に関する記述は,その時点での情報を基に執筆していますので,ご注意ください。
先日,情報処理技術者試験センターから,応募者数の発表がありました。今春のITパスポート試験を一緒に受験する同志は63,680人。昨春の初回試験の応募者が約4万7千人でしたから,ITパスポートの人気も急上昇中!です(※)。
さて,いよいよ試験日1ヵ月前となった今回は,ITパスポート試験の特徴でもある「中問」の受験対策について,アドバイスしていきます。
- ※)
- ちなみに,昨秋(第2回)試験の応募者は約7万2千人。情報処理技術者試験では,試験が年2回実施される区分は,春よりも秋試験の応募者が多いという特徴がある。そのため,応募者の動向を測るときは,前年同期試験との比較を用いる。
中問は「前フリ+〔小問×4問〕」で構成される
ITパスポート試験では,全100問のうち,問1~89までは一問一答形式の「小問」と呼ばれる問題です。小問では,主に用語の意味に関する知識などが問われます(用語問題対策は第2回の記事を参照)。
これに対して,問89~100までの12問は,「中問」と呼ばれています。中問では,問題の冒頭に「問題で扱う業務の内容説明や,行う処理に関する条件」などの書かれた「前フリ」が提示され,それに基づいて4問の小問が出題される形式になっています。
ただし,ひとつひとつの小問は独立した問いかけになっているため,各小問の問題文に,前フリ部分で書かれた情報を足しながら答えていけば大丈夫。最初は,解きづらいなぁと感じるかもしれませんが,「ちょっと大がかりな小問」だと考え,慣れてしまえばそれほど解答に苦労することは無いでしょう。
過去の中問で出題されたテーマ
中問では,小問でも問われているような基礎知識に加えて,前フリなどで提示された条件から適切な答えを判断したり,示された処理の方法を基に計算式を立てるなどの,応用的なスキルも求められています。過去2回の試験では,次のようなテーマで出題されました。
表 中問で出題されたテーマ一覧
| 平成21年度 春期試験 | |
|---|---|
| 中間A 問89 問90 問91 問92 |
「LANの障害箇所の特定」 障害原因の可能性がある箇所の推測<テクノロジ系> 障害箇所の絞り込み<テクノロジ系> 障害箇所特定の手順(流れ図の作成 その1)<テクノロジ系> 障害箇所特定の手順(流れ図の作成 その2)<テクノロジ系> |
| 中間B 問93 問94 問95 問96 |
「関係データベースのデータ操作とデータの分析」 複数の表から目的の表を作成する操作(結合・選択・射影)<テクノロジ系> 表のデータからその集団の特徴を掴む<ストラテジ系> 円グラフの構成比から判断する該当項目<ストラテジ系> 積み上げ棒グラフの推移からその時間帯の特徴を掴む<ストラテジ系> |
| 中間C 問97 問98 問99 問100 |
「通信販売業務の業務量と作業時間」 担当者の平均作業時間から計算する一日の業務量<マネジメント系> グラフに示す作業者が複数の場合を表す線分<ストラテジ系> 作業者が複数の場合の作業時間の計算<マネジメント系> 担当者を変更した場合の残り作業時間の計算<マネジメント系> |
| 平成21年度 秋期試験 | |
| 中間A 問89 問90 問91 問92 |
「販売管理システムを用いたデータ処理」 DFDで表す販売管理業務のデータの流れ<ストラテジ系> 流れ図で表す在庫引当数を求める処理の流れ<テクノロジ系> 在庫量から計算する引当可能な数量<ストラテジ系> 請求処理のデータから計算する請求金額<ストラテジ系> |
| 中間B 問93 問94 問95 問96 |
「商品の販売データの分析」 売上総利益率の計算式(表計算ソフト)<ストラテジ系> バブルチャートから分析する商品の販売戦略<ストラテジ系> 売上構成比で判断するランク分けの計算式(表計算ソフト)<ストラテジ系> 売上げ構成比率累計と商品回転率から抽出する重点商品の数<ストラテジ系> |
| 中間C 問97 問98 問99 問100 |
「DBMSを用いたPC関連機器の販売管理業務」 バックアップに必要なデータ領域の容量<テクノロジ系> 主キーとして適切な項目の選択<テクノロジ系> 請求書発行に必要な各レコードの参照回数<テクノロジ系> 「請求書」表の正規化<テクノロジ系> |
テーマ別,必修!中問対策
出題されたテーマをパッと眺めると,エラク難しそうに見えてアセりますよね。でも,問題の中身を調べてみると,解答に必要な知識は小問で問われる範囲にほんの少しプラスアルファするだけ。中問用に特別に勉強しなければならない学習項目というのはありません(ちょっと安心した?)。
それでは,出題の可能性が高い項目に注目し,春試験対策としてどんな項目を勉強しておけばよいのかをアドバイスしておきましょう。
- グラフや表からそのデータの傾向を読み取る問題
過去に中問として出題されたグラフは,「円グラフ」「積み上げ棒グラフ」「バブルチャート」ですが,「ヒストグラム」「散布図」「レーダチャート」なども他の試験区分での出題実績があります。「どんなデータを表すのに適したグラフなのか」「何をどのような表現で表すグラフなのか」という概要だけでなく,「グラフにどんな形でデータが表されているときに,そのデータはどんな特徴を持つことを示しているのか」も合わせて理解しておきましょう。
- 障害発生時の対策に関する問題
昨春の中問では「LANの障害箇所の特定」が出題されました。LANの構成要素として使われる,「ネットワークカード(LANカード)」「ハブ」「ルータ」「プリントサーバ」などの役割を知っておきましょう。
また,「ウイルス感染時の対応策」などがテーマとして出題される可能性もあります。「業務に使用しているパソコンでウイルス感染が疑われたときに,どのように対処すればよいのか」を,その手順に注意して覚えておきましょう。
- DFDや流れ図の穴埋め問題
過去の中問では,問題文に書かれた情報から,「DFD(データフローダイアグラム)」と「流れ図(フローチャート)」の穴を埋める問題が出題されています。春試験では「決定表」が出題される可能性もあります。それぞれのチャートの読み方を知るだけでなく,例題などを使って,簡単なチャートが書けるように練習しておきましょう。
- 企業会計に関する問題
これまでに出題された中問では,「売上原価」「売上総利益」などの会計用語が問題文中に使われています。どの数値を使って計算すれば解答に必要な値が出せるのか,ヒント情報が問題文中に示されていますが,会計用語の意味を知っていれば問題内容の把握がかなりスムーズになります。
「貸借対照表」「損益計算書」「損益分岐点」「減価償却」など,基本的な企業会計の仕組みについて,概要のみで構いませんので覚えておきましょう。
- 表計算ソフト問題
昨秋の中問では,表計算ソフトの計算式の立て方が出題されています。一般的な数学の計算式と表計算ソフトの計算式は記述方法が異なっています。また,MS Excelとも書式が違いますので,試験仕様の表計算ソフトでの「セルの参照指定」「セルの複写と相対参照・絶対参照の使い分け」「合計関数やIF関数の使い方」などを修得しておきましょう。
また,「キーを使ったデータの並べ替え(昇順・降順)」の方法についても知っておきましょう。
- データベース問題
ITパスポート試験では「関係データベース」に関する問題が出題されています。中問対策としては,「表の正規化」「主キーと外部キーの関係」「関係データベースの演算(選択・射影・結合)」について知っておきましょう。また,DFDや流れ図の問題と同様に,「E-R図」の穴埋め問題が出る可能性もあります。簡単な「E-R図」が書けるように練習しておくと安心です。
さて,今回は中問の必修テーマについてアドバイスをしましたが,次回は小問の出題予測と必修テーマ,「試験日までに,これだけは押さえておきたい!」という学習項目についてガイドしていきます(中問の実戦的な解法テクニックについては,最終回で紹介します)。



