インテリアの名作

アルネ・ヤコブセン:アントチェア/1952

この記事を読むのに必要な時間:およそ 0.5 分

メーカー:Fritz Hansen
参考価格:45,570円

画像

絵:大崎吉之

蟻のかたちをした,プライウッド・チェアの金字塔

「蟻」と名付けられたユーモラスな椅子。プライウッド製の座面の独特のかたちが名前の由来になっている。そしてこの座面こそ,3次元曲面のプライウッドで背もたれと一体成型された史上初のものだった。デンマークで建築家として活躍したアルネ・ヤコブセンは,コペンハーゲンにある製薬会社ノヴォの社員食堂を設計した際,新しい椅子をデザインすることになった。目指したのは座り心地がよく,軽く,スタッキングできる椅子。そこで彼はフリッツハンセン社と研究を重ね,プライウッドの一体成型によって課題を解決したのだ。

座面や背もたれは小さめだが,ちゃんと人の体になじむフォルム。また「くびれ」によって背もたれがしなるのも,座り心地を向上させている。当初は3本脚でデザインされたが,ヤコブセンの死後に安定性の高い4本脚のバージョンが発売された。しかしデザインのバランスは,3本脚の方が格段に上のようだ。

※ 脚部
3本脚は4本脚に比べてテーブルへの納まりもいい。社員食堂の椅子ならではの仕様でもある。
※ 背もたれ
左右両端がアールを描くように成型されている。背もたれも座面もセブンチェアより小さめ。
※ くびれ
このくびれは,当時のプライウッド成型の技術上,どうしても必要なものだったといわれている。

著者プロフィール

土田貴宏(つちだたかひろ)

1970年北海道生まれ。東京在住。プロダクトやインテリアなどのデザインについて,雑誌中心に寄稿しているフリーランスライター。共著に「北欧インテリア・デザイン/太陽レクチャー・ブック」などがある。

コメント

コメントの記入