無関心な現場で始める業務改善

第11回 現場でカウントできるシンプルなKPIを決める

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それでも,最後は定量的にコストに換算

定量的KPIは,件数,回数,率など様々な単位でカウントされていきますが,最後はコスト,すなわち,金額に換算します。

件数や回数であれば,それにかかっている時間と,従業員1人当たりの賃率などを乗じることで,かかる工数を算出できます。従来,ミスの発生件数が100件あり,ミスを直すために発生した工数が100時間,賃率が1時間当たり5,000円だったとすると,50万円になります。業務改善を行うことで,このミスの発生件数がゼロになれば,単純に50万円のコスト削減と見なすことができます。

さて,次は優先順位について考えてみましょう。前回第10回までで,解決策は細かくタスクに落とし込まれているはずです。

何から着手するか?優先順位を決める

業務改善で取組まなければいけない項目が山ほどあると,どれから手を着けたらよいのかわからなくなります。さらに,業務担当者の目線では,どれも優先度が高く,優先順位が決められないということもよく起こります。

しかし,⁠ちょっと待った!」です。改善を行うメンバーは,改善専属メンバーではなく,日常的には業務を行いながら改善に取り組むはずなので,全てのタスクを最優先にすることはできません。仮に業務が多忙でなくとも,改善タスクで同時期に複数の改善に取り組むことも物理的には不可能です。

したがって,何から着手をすることが最も効果的か決める必要があります。

優先順位の基準を定める

優先順位の決め方はいろいろとありますが,メンバー個々人に任せると,全体として統一性がなくなるばかりではなく,改善メンバー間での整合性が取れなくなるので,優先順位の基準を決めておきましょう。

簡単な例ですが,は優先順位のポートフォリオです。

図1 優先順位のポートフォリオ

図1 優先順位のポートフォリオ

横軸(X軸)として⁠重要度⁠⁠,縦軸(Y軸)として⁠実現性⁠⁠,直径(2R)として"貢献度"を定めています。それぞれ,何を基準に重要を定めるか,実現性や貢献度を定めるかも決めることが求められますが,現場で徹底的にディスカッションを通じて,共通の物差しを作りましょう。

タスクがA,B,C…とあります。タスクのそれぞれを,表計算ソフトのバブルチャート表示を用いて,5点満点で4象限にプロットしたものです。

右上が「重要度・実現性ともに高い領域」となります。この中で「円の直径の大きなタスクは貢献度が大きい」ので,優先順位としては「右上の領域の丸の大きいタスクから先にやれ!」となります。

単純ですが,ただのタスクを視覚化することで,他のメンバーとも共有しやすくなります。業務改善は自分一人で行うわけではないので,個々の優先順位が見えてきた段階で,他の改善チームと優先順位の組み換えをしても構いません。

現状のKPIを測る

KPIが決まり,優先順位がおおよそ見えたら,一度,現状のKPIを測定します。改善する前と改善後の差が改善効果なので,改善に着手する前に現状を知っておく必要があるからです。

改善着手前に現状KPIを測る意味はもう1つあります。それはKPI設定の妥当性と適正性です。KPIを設定しても,思った以上にカウントすることに時間がかかった,KPIそのものが使いものにならなかったなど,改善着手前にKPIの検証をしておければ,改善着手後は改善活動に専念できます

改善メンバーのリソース配分

KPIを定め,優先順位が見えてきたら,すぐにスケジュールができるかというと,もう1つ,改善メンバーのリソース配分の作業があります。いわゆる,⁠ヒト・モノ・カネ」をどのように配分するかです。

次回は,このリソース配分とチーム編成,チーム間のタスク調整を経て,改善スケジュールを立てることをお話します。

著者プロフィール

世古雅人(せこまさひと)

メーカにて開発エンジニアと半導体基礎研究(国の研究機関出向)の計13年を設計と研究開発の現場で過ごす。企業風土改革,組織・業務コンサルティング会社や上場企業の経営企画責任者などを経て,技術の現場あがりの経験や知識を活かした業務改善やコンサルティングなどに従事。

2009年に株式会社カレンコンサルティングを設立,同社代表取締役。現場と経営を巻き込んだ「プロセス共有型」のコンサルティングスタイルを推し進めている。

株式会社カレンコンサルティング

URL:http://www.carren.co.jp/