無関心な現場で始める業務改善

第13回 「やらざるを得ない環境」をつくる改善計画づくり

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業務改善の計画はできた。あとは実行のみ……だけど実行できないのでは絵に描いた餅で計画倒れになってしまいます。今回は,改善計画のちょっとした仕掛けから,まずはお伝えしていきます。

改善チーム間のタスクとリソース調整

前回の連載の最後で,改善のスケジュールを引くというテーマで,必要な工数の線引きをするところまでお話をしています。改善チーム(自部門だけではなく,関連する前後工程部門との混成チーム)の単位ごとにスケジュールができているはずです。ここで,気を付けなければいけないことがいくつかあります。

改善計画をつくっているときは皆,自分たちのチームのスケジュールづくりに没頭してしまい,ほかの改善チームのスケジュールまで見ている余裕はありません。したがって,改善チームスケジュールの構成要素であるタスクを,チーム間で調整するプロセスが必要となります。

とくに次の2項目は,実行段階になってから「できない理由」になりがちなので,計画段階で調整を行います。

(1)メンバーが重複している場合

改善に関わるメンバーが潤沢にいればよいのですが,実際には「改善チームA」「改善タスクA-1」の主要メンバーであるAさんが,⁠改善チームB」「改善タスクB-3」の主要メンバーであることも少なくありません)⁠

 改善チーム間のタスクとリソース調整

図 改善チーム間のタスクとリソース調整

「改善タスクA-1」「改善タスクB-3」の時期がずれていれば,まったく問題がないこともあります。実際,Aさんは改善チームAと改善チームBの改善計画づくりに関与しているので,本来であれば,⁠同時期に2つはできないよ」という話も出てくるでしょう。その場合は,自然にチーム間のタスク調整を行うこともありますが,多くの場合,どちらかの改善チームに重点を置いて計画づくりを行うケースがほとんどなので,最後の全体計画調整時に同一メンバーの重複タスクをやりくりすることになります。

この場合,どちらかのタスクの開始時期を完全に重ならないようにするため,メンバーアサインを再検討することとなります。しかし,最も業務に精通しているキーマンがAさんで,ほかの人は考えられないということもあるので,その場合は時期をずらすか,改善チームのテーマそのものを1つにする,すなわち,改善チームAと改善チームBを一緒にすることも検討します。

(2)チームのアウトプットが他のチームのインプットである場合

改善チームAのアウトプットが,改善チームBのインプットになっている場合があります。先ほどの図をご覧ください。どういうことかというと,改善チームAのアウトプットを用いて,改善チームBの業務改善が始まる場合です。

この場合は,改善チームAのアウトプットが完了するまで(タスクが終わるまで)⁠改善チームBの改善計画に書かれている最初のタスクは開始できなくなります。したがって,万が一,⁠改善タスクA-1」に遅れが発生し「改善タスクB-2」が予定どおりに開始できなくなる場合を想定しないといけません。

なお,これらはプロジェクトマネジメント(PM)の世界では当たり前のことで,やり慣れている人もいますが,本社や管理部門などの改善では,PMなど聞いたこともないという人もいるので,わかる人が陣頭指揮をとることも重要です。

改善計画は表計算ソフトで十分!

スケジュール管理,リソース調整,進捗管理他,パレート図などが簡単につくれる便利なプロジェクト管理用ソフトウェアに,マイクロソフト社の「Project」があります。先のようにメンバーが重複していると,リソースのアラートが出たり,タスク間の調整が容易にできるので非常に便利です。

ただし,改善メンバー全員がこのようなソフトを使う必要はありませんし,費用面,習熟の差,インフラによっては全員が使える環境にない場合もあります。それに,⁠お金をかけないで改善をする」ことも大事だと前回お話したので,使い慣れたExcelのような表計算ソフトの活用で十分です。

これは,次回以降でお話しますが,改善計画を改善チーム以外の部門や人に見てもらうことも大事でからです。その際,特別なソフトがないと見ることができないという状況にならない,日常的に業務で用いているソフトのほうが都合がよいことも理由です。我々がお手伝いをする企業も,表計算ソフトで済ませている企業が多くあります。

著者プロフィール

世古雅人(せこまさひと)

メーカにて開発エンジニアと半導体基礎研究(国の研究機関出向)の計13年を設計と研究開発の現場で過ごす。企業風土改革,組織・業務コンサルティング会社や上場企業の経営企画責任者などを経て,技術の現場あがりの経験や知識を活かした業務改善やコンサルティングなどに従事。

2009年に株式会社カレンコンサルティングを設立,同社代表取締役。現場と経営を巻き込んだ「プロセス共有型」のコンサルティングスタイルを推し進めている。

株式会社カレンコンサルティング

URL:http://www.carren.co.jp/

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