元オリコン編集長☆イノマーの『叫訓』

第8回“めざせ業界人”女性へ(一部男性も

“業界”の中の人の生態は……

ずっと思ってたことなんだけど、マスコミ業界(特に音楽関係)というのはと~~っても曖昧でムチャクチャな世界である。

一応、社会人(サラリーマン)ではあるくせに、妙に誰しもが⁠自分は特別⁠みたいな意識があるから厄介だ。業界人気取りってやつ? いやあ、本当にそういう人が多い。良い言い方をすれば永遠の子供。ピーターパン・シンドローム。

ま、オイラもそういうところがあるので何とも言えないのだけれど、普通の会社から転職してきた人は驚くだろう。

オイラが編集長をやっていたときに、スポーツ関係の雑誌で編集長をやっていた人間が編集部に副編集長扱いで入社してきた。特別待遇のエリート。それなのに、編集部員はまともに挨拶もしなかったような気がする。⁠うい~ッス」みたいな?

あとから聞いた話なのだが、あまりにもムチャクチャで、1日目で辞めようと思ったらしい。こんな狂った世界では生きていけない、と。ま、そりゃそうだ。まず午前中に会社に行っても誰もいない。ホワイトボードを見れば直行&直帰の嵐。うん、まともではない。

編集部はガラガラなんだもの。もちろん、それにはそれなりの理由もある。徹夜明けだったり、取引先(レコードメーカー)の人が午前中からは動いていない、とか……。

そして、午後になりぞろぞろと出社してくる編集部員。会社は六本木というオシャレな街にあったのに、いざ、編集作業に入ると足元はサンダルだったりする。

便所サンダルで六本木を徘徊してコンビニで弁当を買って編集部に戻ってくる女子社員。こりゃ婚期が遅れるな、と思ったが案の定、いまだに独りという女性も多い。

社内恋愛など皆無と思ったほうがいい。

って、これ悪口とかじゃないッスからね! 現実です、はい。

「恋か仕事か」一択が当たり前

ということで、今回はマスコミ業界で働きたいと思っている全国の女性にアドバイスをしたいと思う。ちと厳しい話になるかもしれないけれど、これが現実だと思って聞いてもらいたい。

結論から言うと、マスコミ関係で働く女性はモテない。

意外でしょ? バリバリのキャリアウーマンでオシャレで、仕事関係の男性から声をかけられて……なんてイメージする人が多いかもしれないけれど、ほぼナッシング。期待しないほうがいい。ま、それは人によるかもしれないけど。う~~ん、難しいかも。

もちろん、きれいで可愛い女性スタッフも多かった。それなのに何年も彼氏がいない、という女性をオイラはたくさん見てきた。

ナンギだ(涙⁠⁠。

なぜか?

忙しいから。

ふふふ。当たり前のことを言ってしまってゴメンなさい。でも、実際、そうなのよ。彼氏を作ってデートをする時間などない。

つーか、そういった脳ミソを持てなくなってしまう。締め切りに追われ、表紙や特集のことを考えて生きていると、そんな脳内恋愛パーセンテージなどゼロに近くなる。

そう、だから、⁠モテない⁠という言葉は間違いかもしれない。モテる暇がないのである。

特に週刊誌なんていうムチャなスケジュールでの雑誌を作っていると、あまりにも忙しすぎて服装だったり、その他もろもろを気にしている時間がない。うん、リアルにない。メイクにかける30分があったら、アポ取りだったり、紙面のレイアウトを考えたりする時間のほうが大事だと思ってしまう。

えらいっ! 会社員としては素晴らしい。表彰状もんだ。でも、女性としては……。

いや、何度も言うけど悪口じゃないんですよ。現実問題としてそうなってしまう傾向が強いという話。オイラはそんな頑張る女のコたちは嫌いじゃない、というか好きだ。

徹夜仕事はお肌に悪い

これは雑誌の色(扱うジャンル)にもよるのかもしれないけど、ファッション誌で働いている女のコはかなりオシャレだったりする。まー、それが仕事だからね。まずは自分をキレイに見せないといけない。

ファッション誌の打ち合わせでジャージに下駄履きで女性編集者が来たらドン引キだもんね?(笑⁠⁠。ま、そんなことないか? そんなコがいたら逆に新鮮だ。

最近、仕事がら女性ファッション誌関係の会社に行くことが多いのだが、ミーティング・スペースにいるとそわそわしてしまう。

常に国内トップの売り上げ数を誇る雑誌社。MTR(ミーティング・ルーム)でチラ見してると、どっちがモデルかわからないくらい女性編集者のポテンシャルがハンパない。こんな社内環境だとまともに仕事にならないだろうなあ、と思う。

ところが、音楽誌だと……。自分の見た目を磨くよりも好きなアーティストをバックアップしたいという気持ちのほうが大きくなってしまう。いや、これ良いことなんですよ。

つーか、そういった気持ちがないとダメだ。アーティストと一緒になって雑誌を作っていくというハート。顔を作るよりも、肥えた耳を持つという心意気。

う~~ん。

だって、化粧すらしていないコが多いもの。そりゃそうか? 徹夜続きで肌もボロボロ。お風呂にも入れないんだもんなあ。

本当に可哀相だ。デスクや会議室のソファーで仮眠を取っている彼女たちを見て将来のことを考えてしまった。ちゃんとお嫁さんになれるのだろうか?と。

でも、そんな心配は大きなお世話。彼女たちは彼氏ではなく仕事に恋をしているタイプ。実際、仕事では男よりも頼りになる。

編集者には誕生日もクリスマスもない

で、結局、オイラが何を言いたいか、伝えたかったかというと、雑誌の編集の仕事に就きたいと思っている女性は多いと思うのだけれど、普通の幸せな人生を求めているならヤメたほうがいいということ。

これは人生の先輩としてのアドバイスです。本来なら、こういうゲンコーでは「やりがいのある仕事です!」なんて書くのだろうけど、オイラは嘘をつきたくないから。

お勧めしません。ヤメたほうがいいです。

それでも、どうしても!という女性はどうぞ、どうぞ。いらっしゃいませ。ぶっちゃけ楽しい仕事ではあります。でも、それには何かしらの代償が……。

普通って何だかわからないけど、単純に自分の誕生日とかクリスマスなんて無いと思ったほうがいいです。

お正月は大丈夫!

印刷所が休むから。

そう、だから、一般の方々が喜んでいるときにガムシャラに働いているとイメージしてもらえれば。そんな仕事です。

わかりやすく話せば、⁠楽しむ側⁠⁠楽しませる側⁠ということ。もちろん、後者です。クリスマスにどこのホテルに行こうか?なんて考えてる人にその情報を流すのがこちらですから。しょうがないッス……。

それでも恋愛はとっても大事

でも、やはり恋愛は大切。恋をしていないとどうしても考えが偏ってしまう。考えが偏ると良いアイデアも浮かばない。

フットワーク軽く、フレキシブルにというのが編集者には求められる。これは男女関係ないんだけどね。

自分だけの考えでなく、こういう考えもあるんだ?と思えるパートナーの存在は大きい。だって、単純に知識量は2倍になるわけだからね。アンテナ数が増えるのは助かる。

オイラもそうだった。奥さんがいた頃は彼女にお世話になった。彼女はライターだった。なので、仕事のうえでも大きな力になってくれた。独りになった今はどうも、こう、情報などを収集する力が減ってしまったような気がする。弱っちゃったなあ。…って、ここで愚痴ってどうする?(笑)

一見、華やかに思えるマスコミ業界。でも、そんなに出会いがあるわけでもない。雑誌などを作っていると編集部にこもりっきりなんてことも多い。気づけば30を過ぎ、40を過ぎ、独りなんてことも。いや、これは大げさな話じゃない。

だから、今回の叫訓で言いたかったことは……。

叫訓8

業界で働きたい女性は就職する前に彼氏を作っておくべき(と、思う)

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