元オリコン編集長☆イノマーの『叫訓』

第20回 仕事も部屋も“キレイに散らかせ?!”

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自分にとって快適な居場所作り?

先日,テレビで片づけられない女性のドキュメント的な番組がやっていた。そう狭いというわけでもない部屋がゴミ(?)だらけ。床がまったく見えない状態。

1週間前に食べた白米が釜に固まっていて,それが無造作に置かれている。でも,どうやらそれをちまちま食べているらしい。

マリモが繁殖しているようなペットボトルも過去にはキッチンシンクとして使用していたであろう場所に何本も。それも飲んでいるみたいだ。

タフだなあ,と逆に感心すらした。このコならどんな環境でも生き延びていけるのだろう。でも,女子としては?

ルックスはオシャレで可愛い女のコ。でも,ひとり暮らしの部屋は……。これじゃあ,彼氏ができても部屋には呼べないだろう。つーか,一千万年光年の恋もさめる。

オイラはムリだなあ。いくらどんなに好きなでも初めて彼女の部屋に行ったら,⁠ここ土足でいいの?」って聞きたくなるコとつきあうのは。

女のコの最大の武器は清潔感だと思う。そんな男の理想をハナっからKOするパンチ力のある部屋に住んでるって……う~~ん。

達観の領域。ある意味,神だ。

最低限のお部屋グッズ

オイラがかつて自分の事務所を構え,雑誌を作っていた頃にスタッフとして手伝ってもらっていたYという女性スタッフがいた。

当時,まだ19歳くらいだったと思う。地方から出てきて「何でもするので,一緒に仕事させてください!」と土下座攻撃。そのやる気を買ってお願いすることにした。

写真やらデータなどの受け取りで事務所の人間と彼女の部屋に行くことも数回あった。最初は部屋に入れるのをかたくなに拒んでいた。ま,乙女の純情かな?と。

ある日,オイラのマネージャーと一緒に彼女の部屋にどうしても行かなくてはいけなくなった。渋々とオイラたちを部屋に入れてくれたY。部屋を見て唖然とした。

足の踏み場がないとはこのこと。万年床以外のスペースはコンビニ袋で埋まっていた。もちろん部屋は異臭騒ぎ。

彼女が仕事をシステマチックに進められない理由がわかった。物事の整理がまったくできないのだろう。

これは一人前にするまで時間がかかるなと落ち込んだ。家具や電化製品を見るとひとつひとつはそれなりのモノ。有名なブランド品だったりする。それなのに……。

まさに豚に真珠。

考えてみれば,初めて会ったときから明らかにYは太ったような気がする。少なくとも20kg以上は。これじゃあ,仕事も恋人もできないはずだ。

そして,何より驚いたことは彼女の部屋にBOXティッシュがないということだった。鼻をかみたかったオイラが彼女にティッシュをリクエストしたところ,トイレットペーパーを渡された。

あんまりだ(涙)⁠

そして,更に驚いたことは使用したトイレットペーパーを捨てようと思ったのだが,どこにも捨てるべきゴミ箱が存在しない。

そう,彼女の部屋にはゴミ箱というものがなかったのである。ジーザス。Yはオイラに言った。⁠あ,床にほうっておいてください。あとで,ゴミ袋に入れますから」

ここは……この部屋自体がゴミ箱っちゅーことじゃねーか!

アレルギー体質のオイラはそれから二度とYの部屋には立ち寄らないことにした。身体中が痒くてしかたなかった。

教え込まれた断捨離ズム

整理整頓というのは仕事に直結する。物事を的確に整理して順序だてしないと仕事はスムーズに運ばない。

必要なモノと不必要なモノを判断して不必要なモノを捨てること。新人の頃は何もかも必要に思え,溜めこんでしまう。

実際,雑誌編集の仕事をやってみて思ったことは,結局,切り捨てる勇気を持つ&判断力を備えることが大切なのだなと。

インタビューも1ページとはいえ1時間以上も話を聞き,写真を何枚も撮る。でも,使うのはそのほ~~んの一部。

編集はほっとんどがカットする作業。捨てられない人間には不可能だ。全部大事なんだ!なんて思ったら一生終わらない。

「バッサリと切り捨て,美味しい部分だけ残すのが編集の腕だよ」⁠ 編集部に入りたての頃,上司に言われた。

1万字を1000字にする作業。慣れないころは本当に時間がかかった。そして,写真もそう。何百枚もの写真をチェックして1枚の写真をチョイスしないといけない。

これまた経験をつむしかない。雑誌的にもそうだけれども,アーティスト・サイドが今,いちばん望んでいる写真を……。

もちろん,事務所サイドの写真チェックもある。えっ,何でこんな写真を!?っていうのを指定してくるケースも。

でも,しょうがない。事務所には事務所のタレントの売り方がある。それを手助けするのが雑誌のポジション。

実際,ファンのことをいちばん知っているのも事務所だったりもする。

持ちつ持たれつ。

で,意外にもお任せで好きにさせてくれたのは男性アイドルだったり,ビジュアル系バンドだったりした。不思議なもんだ。

お片づけなんて……

片づけに関して偉そうに言っているオイラも実は会社員時代はひっどいもんだった。編集部のデスクまわりはムチャクチャ。

通称,六本木の⁠風の谷”。送られてきたサンプル音源と紙資料で小屋が建ちそうな勢いだった。自宅もそう。部屋で仕事をすることが多かったため,グッチャグチャ。

エアコンもない部屋でパンツ1枚,汗だくになりながらゲンコーと格闘してた。

会社の会議で編集部が汚い,散らかり過ぎている。あれでは重要なお客様が来たときに不快な思いをさせると問題になることが多かった。そう言われるたびに「やかましーわ,ボケ!」とオイラは憤慨した。

そういうことを会議などで偉そうに言う人間は決まって暇な部署で時間つぶしをしている人種だった。そりゃ,会社来てもやることがなけりゃデスクまわりもきれいだろう。自分宛の郵便物なんかないんだもの。

働けば働くほどデスクまわりは資料関係の山となる。でも,ゴミとは違う。確実に使う仕事の資料なのである。

ゴミというのはゴミ箱に捨ててオッケーなもの。使い終わった資料はもちろん捨てる。

確かにあまりにも忙しすぎて棚に整理して管理するなんていうことはできていなかったと思う。でも,ぶっちゃけそんなもんだ。

仕事で忙しい人気のライターさんやカメラマンさん,デザイナーさんの部屋(事務所)に行ったことがあるが,お世辞にもきれいとは思えなかった。

ま,そんなもん。

部屋をピッカピカにきれいにするのは暇人のやることだ。実際,今現在,オイラの部屋は信じられないくらいにきれいだ。

仕事が少ないもんで……。部屋にいてもやることがないからエアコンのフィルター掃除や冷蔵庫の霜とり。気づけば床をフキフキしている。こりゃダメだ。

部屋の掃除と仕事の関係

コロコロも使えないくらいにひっどい部屋に住んでいたオイラ。でも,それくらいでいいんだと思う。仕事に熱中していたら,そうなるのは当たり前だ。

今となってはそれも懐かしい。畳の部屋ではあったけど,畳など何年も見ることがなかった。部屋の片づけよりもゲンコー締切のほうが大切だった。

離婚をキッカケにその部屋から脱出。相当なお金がかかった(いや,マジで)⁠

まず,オイラは小さなワンルームマンションへと。必要最低限度の荷物だけを移動させた。赤帽1台で済むくらいの量。

そして,後日,大雨の日に大きなトラックが2台もやってきて片っ端から部屋の荷物を片づけてくれた。

今では快適かつロンリーな独り暮らし。モノがないというのは非常にラクだ。

でも,これだけは言っておく。これは今回の叫訓でもある。

仕事がハードだったら部屋が汚くても気にすることはない。

ただ……

不潔なのはダメ。

部屋が汚れているのと不衛生はまったく違う。美しく,部屋を自分なりに自由にさせる(散らかす)⁠これが大事。

食べ終わった弁当の空箱が平気で床に落ちてるとか,半分以上残ったペットボトルにショウジョウバエが発生してるとかはNGだ。

部屋を片づければ運気が上がるなんていうのは嘘っぱちだ。

自分にピッタリの生活空間を作ればいい。

ゴミ屋敷と自分屋敷。

その差さえ間違いなければ,オールオーライ。どんなに部屋が汚くたってどうにかなるし,良い仕事はできる。

だって,とっ散らかっていたって,どこに何があるか本人はわかっているんだもん。

部屋をきれいにすれば運気が上がる? 嘘つけよ! じゃあ,オイラはどうなんだ!?

この数年で部屋をクリーンにして,仕事までクリーンになったよ(涙)⁠

叫訓20
自分勝手で都合の良い環境を作る
それが最大の仕事成功のポイント

著者プロフィール

イノマー

昭和41年東京生まれ。駒澤大学卒業後,(株)オリコンに入社。10年間勤務し編集長2回,副編集長を3回務める。退職後,フリーの編集・ライターとなる。同時にバンド活動もスタート。メジャーデビューも経験し,現在はインディーズでの活動へ。過去に10枚のアルバムと2枚のシングルをリリースしている。

http://www.onamashi.com/

Twitter:@inomar_onamashi

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