元オリコン編集長☆イノマーの『叫訓』

第32回「学(まな)ぶ」には「学(まね)ぶ」べし!――パクリとは、学ぶことと見つけたり!

オリジナルについて……

年末に多くの音楽番組を観ていて、ふと思ったんだけど、世の中っちゅーのはパクリでできているんだなあ、と。

勘違いされると困るんだけど、これ、まったく悪い意味ではない。西暦も2013年。ここまできたらオリジナルにこだわる必要なんて意味はない。つーか、ムリな話だ。

オリジナルにこだわるがあまりにつまらない作品を作るくらいだったら、それはエンタテインメントとして成立しない。

もちろん、そういった職人気質のアーティストが存在しなくなったら、それはそれで危険ではある。いつの時代でもイノベーターは必要だ。

だけど、例えば音楽業界の話であれば、コードであったり、メロディであったりがこれだけ使われてしまうと、まったくの新しい音楽を生み出すというのは至難の業だ。

楽器など持たずに全裸でのたうちまわって絶叫するしかない(ま、そんなバンドも既にいるけれど……⁠⁠。それは、もはや音楽ではなく、違う次元の話となる。

新しい音楽を作ろうと、音楽の世界の中だけで苦悩するのはナンセンスなことで、異業種とコラボでもしない限り厳しいだろう。

まずはコピーから

そもそも、⁠オリジナル⁠って一体、何なのだろう? オイラたちは父ちゃんと母ちゃんから生まれてきて、歩き方から箸の使い方まで教わった。それこそ、両親のパクリだ。そこにオリジナルなどありゃしない。

オリジナルな歩き方や箸の使い方などあり得ない。右右、左、右で歩けばいいのか? 指2本だけで箸を使えばいいのか?

これがオリジナルだじぇい! って、自慢するのか? むー⁠ーん。阿呆だ。

どんなアーティストだって、大概はコピーからスタートするもんだ。小学生からいきなりオリジナルの曲を作るって……中にはいるかもしれないけれど、それが成功につながるとは思えない。

オイラは30過ぎてから本格的にバンドを始めて、ライブをやってCDを作って、メジャーデビューした。

初めてギターを買ったのは小学生の頃。手があまりにも小さくてマッハで挫折。次に楽器を手にしたのは高校1年生。弦も太いし4本しかないからどうになるだろうと通信販売でベースを買った。

オリジナルなんて作ろうとはまったく思わなかった。ザ・スターリン、セックス・ピストルズなんていうパンクロックのコピーをした。それで楽しかった。

30を過ぎて、今もやっているバンドを結成したときもまずはコピー。でも、さすがにそれにも飽きる。飽きたときにオリジナルを作った。ま、オリジナルったって、コピーもどき。そう、まさに好きなバンドのパクリだ。

コード進行、メロディでオリジナリティを出すのは難しいと思ったオイラは自分の最大の武器だと思った言葉(歌詞)で勝負することにした。ま、それが正解だったかどうかはいまだに疑問ではあるけれど。

やがて、コピーにも飽きる

文章に関して、オイラは誰に何を教わったわけじゃない。とにかく好きなライターさんの文章を読んで、それに近づこうとした。

はい、これまたパクリです。パクリばかりの人生。でも、別に恥じていない。だって、書き方わからなかったんだもん。

最初からオリジナルな文章を書こうなんて思ったら、支離滅裂でムチャクチャな文章になってしまう。それでは読み手に届かない。

オイラの部屋には中学1年生のときから書き続けている日記ノートが大量にある。そう、文章を書くのは好きだった。

夜になるとノートを前にいろんなことを書き続けた。だから、ちょっとだけ人よりは文章に慣れていたのかもしれない。

ブログではない。誰にも見せない自分だけの日記。そこで誰にも発注されていないのに、好きなレコードのライナーノーツを書いていた。もちろん、好きなライターさんの文体をパクって……。

でも、あんときがいちばん楽しかったかもしれない(笑⁠⁠。だって、誰にも読まさないんだもん。本音をぶちまけられる。商業用の文章ではない本当の文章。

バンドもそうだけれど、長いこと誰かのコピーみたいなことを続けていると飽きてくる。欲が出てくる。それからが、自分のオリジナルということになるのだろう。

コピーではお金は稼げないけれど、運が良ければ、オリジナルであればお金は稼げる。

あ、だけど、ものまねタレントは別だよなあ……ま、あれはひとつの才能でオリジナルと言ってもいいのだろう。

すごいよね? AさんのものまねをしているBさんのものまねをするCさんがいるという縮図って。

結局、おもしろきゃいいのか? 視聴者が決めることだ。

って、話がそれた。しみません。

コピー→カバー→オリジナル

そう、だから、今回の叫訓で言いたかったのは≪パクリはオッケー、じゃんじゃんやるべきだ!≫っていうこと。気にすることなんてない。気を使うことなんてない。

美味しいところはもらっちゃえばいい。ま、やり方はあるけどね。その辺はセンス良く。

もし、社内に尊敬する、憧れの上司がいるのなら、コピーロボットになって、真似し続ければいい。きっと、何年かすれば飽きる。

そろそろ、自分らしさが欲しいな、なんてね。図々しいことを思うもんだ。

そしたら、そのとき、自分の後ろをふと見てみればいい。きっと、自分のコピー人間、真似をしている人間が必ずいるから。人間なんてそんなもんだ。

にんげんだもの?(相田みつを⁠⁠。

若いときは「俺だ、俺だ、俺だー⁠ーー⁠ーー⁠ーー⁠ーー⁠ーー⁠ー!」というのが強いもの。わからないわけではない。でも、そんなの通用しないんだよね。だったら。真似すればいい。パクリでいいんだ。

だってさー、かの、ザ・ローリング・ストーンズだってカバー・バンドから始まったようなもんだからね。コピー・バンドではなく、カバー・バンド。

もちろん、単なるカバー・バンドじゃなかったから世界的な成功を収めたわけだけど。それは彼らのデビュー・アルバムを聴けばハッキリとわかる。ハンパねー! って。

つーか、ここでオイラごときが偉大なるバンド、ストーンズを語ってどうするんだ? ってな話だ。申し訳ない。

レッツ・パックんちょ!

そうです。だから、みなさん、臆することなく、じゃんじゃんバリバリとパクリましょう。って、語弊があるかな? ま、いいやっ。

自分に都合よく考えればいいだけの話です。パクリとはオマージュだと。リスペクトってやつ? モノは言いようだなあ。

オリジナルへの第一歩はパクリにあり。でも、パクリにも才能は必要。あからさまなのは、やはり、良い気持ちはしないもの。

スレスレがいちばん。それができるかどうかも才能。ものまねタレントの技と同義。まんま、っていうのは見苦しいもんだ。

ま、法にさえ触れなければですが。やり過ぎな国もありますからねぇ。どこの国とはあえて言いませんが。

ま、シャレと考えるしかないか……日本国民は誰もが呆れて、本気にさえなれないという現実にあるのも事実。

はい、そろそろ〆(シメ)に入ります。これから何かやりたい、やらかしたい! と思っているヤング・ソルジャーたちへ。

とにかく、こうなりたいと思う人の真似をしなさい。コピーしなさい。そして、パクリなさい。それが最短距離です。最速。

パクって自分なりにアレンジする。どこの業界もパクリ戦争勃発中。パクってパクられて、またパクって。その繰り返し。

2000年代を生きる人間はそういう生き方を強いられていると考えればラクなもんです。

ということで、今回の叫訓は↓

叫訓32

パクリは悪いことじゃない
結局はヤッたもん勝ち

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