元オリコン編集長☆イノマーの『叫訓』

第38回「いらないモノが多すぎる」

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財布を持たない男

基本,オイラはバッグを持たない。いや,もちろん,仕事関係の外出の場合は別だけれど。それでも,かなり身軽なほうだと思う。

ちょっとした外出なら100%手ぶらだ。ポケットに財布と携帯電話,それに煙草とライターをつっこんでフィニッシュ。

あ,あと汗かきだからハンカチくらいは持っていくかな? そんなもん。ポケットの多い冬なら余裕。夏でもどうにかなる。

オイラの友達,銀杏BOYZの峯田くんなんてもっとすごいからね。財布すら持たないから。⁠財布は?」って聞いたら「持ったことないんですよね~」だって。

ま,確かに峯田くんが財布を持っているのを見たことはない。当然,バッグなんかも持っていない。単行本を一緒に作ったときもビックリした。

1週間くらい,地方をまわる取材スケジュールだったんだけど手ぶら。時期的に冬だったんで,モッズコートのポケットにすべてをぶちこんでいた。

1週間後,東京に戻るときには両手がコンビニのビニール袋だらけになってたけど。ふふふ。

いや,さすがだなあ,と感心した。それくらいじゃなきゃ,あんな激しくて繊細なバンドのリーダーは務まらない。

バッグと女性のモテについて

バッグの大きい女のコはモテない,なんていう話も聞く。その真意が何なのかは定かではないけれど,わかるような気もする。

家出娘のような女のコ……。一体,何が入ってるの,それ? バッグっていうか,鞄って呼び名がピッタンコな感じ。意味合いは一緒なんだけれども。

オイラが昔つきあっていた女のコもそういうタイプだった。⁠ちょっと散歩でもしない?」なんて近所をプラプラするだけなのに,大きなバッグがパンパン。

用意周到。頼りがいのあるパートナーだとは思う。でも,限度モンだよなあ,と。ホームレス・カップルの海水浴か!? みたいな。

もし,こんなことがあったら? なんて考えてありとあらゆるモノをバッグに入れる。二泊三日の旅行に出るくらいのモード。

もちろん,オイラは手ぶら。でも,ちょっとした散歩よ? う~~ん。不安なんだろう。あれも,これもと……。

ちょっと持たせてもらうとハンパなく重い。これじゃあ散歩も楽しめない。超大物演歌歌手の付き人さんだって,こんなに重い荷物は持たないはずだ。

実際,そのバッグ中のモノを使うことは少ない。春なのに夜寒くなったら困るかもしれないからとマフラーや手袋,ダウンジャケットまで小さくまとめて入っている。う~~ん,良いお母さんにはなるんだろうけどね。

仕事で資料やPCを持たなくてはいけないというなら納得。ごくろうさまです。でも,休みの日に公園にでも行こうというカジュアルなノリでそこまでは。

バッグの中はイモ洗い……

プライベートではない彼女のビジネス用バッグもパンパンで,しかも,中はグチャグチャだった。まったくもって整理整頓されていない。つーか,する気がなかったのか? ⁠バッグの中に入ってるから取ってー⁠ー」なんて言われても,捜索に1時間はかかる。

仕事の企画書やiPadなんかと一緒に飲みかけの飲料水やお菓子や化粧グッズ,雑誌,返却しなければいけないDVD,コンビニのレシート,光熱費の請求書なんかが佃煮状態でぶちまけられていた。

海外の高級ブランドのバッグ。今現在,住んでいるオイラのマンション・家賃半年分くらいの中に駄菓子とアイスを買ったことが証明されるレシートがくしゃくしゃになって,溺れて死にかけていた。

「余計なことかもしれないけどさー,もうちょっと,その,整理とかしたほうがいいんじゃないかなあ。そのほうが仕事やりやすくない?」⁠オイラは彼女に言った。⁠いいのよ,ちゃんと,どこに何があるかなんてわかってるから。この状態がベストなの」

「だったらいいけど……」

ま,人それぞれ。オイラは自分の価値観を人に押しつけるのは苦手だ。そして,押しつけられるのは,その数万倍キライだ。

打ち合わせ中のiPadって

オイラの知り合いに某大手出版社のプロデューサーがいる。とにかく忙しい人。でも,その人は小さな手帳しか持っていない。

iPadなんて持っていない。打ち合わせ中も手のひらに乗るような小さな手帳に細々と書きこんでいる。

オイラ,ひねくれてるからかもしれないけど,iPadを持ってスケジュール管理している人間ほど仕事ができないように思えてならない。つーか,薄い感じ?

パンチの足りないまずいラーメン屋みたいな印象。濃厚でこってりな仕事をする人間はiPadや手帳どころか,手のひらにマジックで書きこんだりしているもんだ(って,これはイメージ論だけど)⁠

ハートで仕事をしている人は信じられる。だけど,打ち合わせで相手の目を見ずに耳で会話もどきをして,ずっと下を見ながらiPadをパチパチしてる奴って……それが,イマドキか~~~~~~~~~~~!(怒)⁠

それじゃあ,バカ話やエロ話ができない。打ち合わせで大切なことは,どこまでその相手と脱線できるかだ。

だって,仕事の話なんてお互いの利権が邪魔をするだけなわけだから,どうにか,逃げ道を作って納得可能なオチを作るしかない。

どこのフーゾクが盛り上がってるかとか情報交換できないと難しいよなあ。って,ま,これは置いといて。いや,でも,これ大事なんだよなあ……。

数字が無意味になる時代

数人で打ち合わせをすれば,過半数はiPadやノートパソコンを持ってのミーティングとなる。まー,そのほうが便利ではある。何かあればすぐに検索できる。スイスイス~~イ。疑問もマッハで解決!

BUT……

いつも思う。これって数人の打ち合わせじゃないな,と。数万人の意見交換会。だから,企画やアイデアも煮詰まり,薄まっていく。分母がどんどん増えるだけだ。

数人で決めるべきことなのに外野がうるさい。とんでもない人数でのジャッジメントとなる。これって意味があるのか?

近似値的ミーティング。そこにはクリエイティブなんていう前向きな言葉は存在しない。だって,平均点を見つけるためだけの打合せでしかないんだもの。

数字に頼り過ぎるのは危険だ。これは安牌だろう! と。でも,今の時代,安牌なんて存在しない。

≪数字は結果,ですらなくなりつつある≫

数字から未来を予測しなければ数字の意味はナッシング。現在の数字を重視すべき,という考え方もよくわかる。でも,⁠新しい未来⁠(まー,2~3年後程度?)に必要なのはもっともっと先の数字だ。

そして,数字なんて誰も気にしない時代が近い未来に来る。数字という概念は必ず変わる。だって,あまりにも曖昧過ぎる。

忘れ“モノ”もたまには良いもんだ

ってね,毎度,毎度申し訳ない。話が脱線しっぱなしですけど,オイラが言いたかったことは⁠身も心も,持ち物も,軽くシンプルになりましょう⁠っていうことだったんですよ。アハハ,あまりにも遠回りした。

モノは便利だけど,モノは増えれば増えるほど不便になり不自由になる。そして,いちばん大切なことも見失う。

恋人とのちょっとしたデートにしろ,仕事の打ち合わせにしろ,心を置き去りにしたら迷子ちゃん。私は誰? ここはどこ? ってね。大袈裟じゃなく。

いろいろあるかもしれないけれど,たまには携帯電話やノートパソコンなんかを持たずにデートとか会議に出てみたら新鮮じゃないかな,なんて思う。新しい気持ちやアイデアも生まれるかもしれない。

これはベートな話だけれど(プライベートのことね)⁠数年前の話。休日,当時つきあっていた彼女と公園に散歩に行こうと玄関を出た瞬間,ふたりとも携帯電話を部屋に置いてきてしまったことに気づいた。

取りに行こうと思えばすぐ。でも,ふたりして「ま,いっか」と。⁠一緒にいるんだから,はぐれないよね」と彼女は言った。

なんか嬉しかった。そのときのデートはいつもよりも会話が多く,お互いのことをより知れて,もっと親密になれた気がした。

ということで,今回の叫訓↓

叫訓38
身軽になる勇気が未来を変える
新しい風景(アイデア)がそこに

著者プロフィール

イノマー

昭和41年東京生まれ。駒澤大学卒業後,(株)オリコンに入社。10年間勤務し編集長2回,副編集長を3回務める。退職後,フリーの編集・ライターとなる。同時にバンド活動もスタート。メジャーデビューも経験し,現在はインディーズでの活動へ。過去に10枚のアルバムと2枚のシングルをリリースしている。

http://www.onamashi.com/

Twitter:@inomar_onamashi

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