元オリコン編集長☆イノマーの『叫訓』

第49回「SMILE FOR ME!」――まずは自分が笑うこと!

ふざけることの難しさ

最近、アルバイトが店内で阿呆な写真を撮ってTwitterやFacebookに投稿して問題視されてるけど、若い奴らなんてバカなんだからしょうがない。

許す、許さないという話ではなく、脳ミソは猿だもの。大学生時代のオイラもそうだった。ウキィー⁠ーって、バナナとメス猿のことしか頭になかった。そんなもんだ。

いや、推進&奨励してるわけじゃない。ただ、単なる⁠おふざけ⁠はエンターテインメントとはかけ離れている。あんまり好きじゃない。

「目立ちたいだけでしょうか?」とニュースキャスターは言ってたけど、それとも違うと思う。目立ちたいという気持ちは必要。でも、大切なのはそのやり方。そして、その向こう側に見ている自分なりのシナリオが何よりも重要だったりする。

しかも、自分以外の誰かが観るんだったらね。気づいていないかもしれないけれど、それはアップした瞬間にメディアとなる。

その辺のことが曖昧な時代だからこそ起きたことなのだろう。自分の言葉が世の中に出るという事実に不感症となっていることが……。って、あれ、何でオイラ、こんな社会的な話をしてるんだろ?

そもそも、罰せられた彼ら&彼女たちはそういった行為に深い考えなどナッシング。エンターテインメントもへったくれもないな。失敬、谷啓。ガチョーン。

社長はつらいよ……

今回はそういう話ではない。雇わられる側ではなく、雇う側についてのエトセトラです。

今や誰でも社長になれる時代。人に使われるのが嫌なら社長になってしまえば話は早い。軍資金だって、そこそこあれば可能だ。

オイラのまわりにも社長は何人かいる。社員数100人、1,000人以上の会社もあれば社員10数人の会社と社長さんも様々。

最近、社員がそれほど多くない社長さんたちと会う機会が多く、話をするのだが、いや、まー、これが大変。トホホ話しか出てこない。社長が愚痴をこぼすってね?(笑⁠⁠。

そんなことないでしょう、と思うかもしれないがこれはリアルな話。実際、オイラもそうだった。事務所を立ち上げ、雑誌編集と音楽事務所をスタートさせたのだが、事務所にはオイラのデスクもイスもなかった。

「机は必要ないですよね? 事務所で仕事することもないわけですし。打ち合わせは別室ですれば可能ですから。狭いスペースなんで、これが限界なんですよ」とスタッフに言われた。⁠う、うん、まあ……。」

事務所は頑張って3ルームある物件を借りた。ひと部屋はオイラの社長室! なんて思っていたのだが、バンドの物販倉庫となった。作業部屋・物販部屋。打ち合わせ部屋の3つ。

仕方なく、オイラは打ち合わせ室で過ごし、煙草を吸いたくなったらベランダに出た。これってどういうことなんだろう? と思いながら。夢の社長ライフとはまったく違った。

狂心ランドvs.童心ランド

オイラはオリコンの編集長時代、編集部にダンボールハウスを作り寝泊りしていた。当時はTwitterもFacebookもなかったから投稿することはなかった。

もしも、そういうことが可能であったのなら自分もやっていたかもしれない。バカだったから。何度も撤去された。誰にも迷惑をかけてはいなかったはずなのに。

だって、徹夜勤務の帰宅タクシー代だって請求しないわけだからね。会社としてもありがたい話だ。経費削減に貢献っ!

そして、社長は社長で社長室の中に⁠童心ランド⁠という小さくてカラフルでキュートな遊園地を作り、子供用の機関車に乗り、クルクルと線路を回っていた(笑⁠⁠。

「あ、イノマー! お話しよう。これからの雑誌の方向性についてね。ふふふっ。」

「あ、はい」とオイラ。子供用の小さな椅子に座って話をする……予備知識のない他社の人間が見たら、衝撃的な光景だったと思う。

白旗。降参。

本当にスゲー人だった。この人には敵わないと思ったのはオリコン先代社長を含む数人だけだ。ホンモノというのはこういう人のことを言うんだろうと思った。

オイラは⁠狂心ランド(ダンボールハウス)⁠で社長は⁠童心ランド⁠⁠。最高にファンキーな会社だった。ま、当時の話なんで今はまったく別ムードの会社になっているけど。

ちょっと前に打ち合わせで何年かぶりに行ったのだが、もちろん、童心ランドはなかった。

経営者が変われば会社も変わる。そして、時代と共に必要な人材も変わる。何もかもアッという間に変わる時代だ。

大人の身体に子供の心

“狂心ランド⁠はやけくそなノリの結果だったけれど、⁠童心ランド⁠にはきちんとした意味があった。それは言ってみれば社長の哲学ですらあった。

何歳になっても童心を忘れてはいけない。イノベーターは常に子供の心を持っていないといけないと。それは社長から何度も言われた。

当時は正直、よく理解できなかったけれど、社長の言っていた子供の心というのは新しい遊び(仕事)を見つけ、作り上げる脳ミソと実行力のことだったんだと今になっては思う。けして、ふざけることではない。

その辺のことを編集長時代のオイラは取り違えていたような気すらする。

冒頭でアルバイトの⁠おふざけ⁠について書いたけど、オリコンの編集長時代も事務所を立ち上げて社長をやっていた頃も、オイラはもっとひどいことやっていた。

すっかり忘れてた。ここでは書けないことばかり。オイラに言う資格なんてないや。

しみません。

SMILE FOR ME

でも、冷静に考えると社長室に⁠童心ランド⁠を作るなんて、まともな人間からしたら理解に苦しむことかもしれない。

だけど、それくらいブッとんだ脳ミソを持っていないと社長業なんて務まらないのだろう。

会社の業績にタメ息をつきつつ、社員の機嫌をうかがって、気を使って……。そりゃ愚痴も出るっちゅー話だ。

思えば、オリコン先代社長はいつも笑ってたもんなあ。会社がどんな状況のときだって笑ってた。大きな声でワハハハハ、って。

オイラの知り合いの飲み屋のマスターは最近、暗い顔ばかりしている。笑っているのを見たことがない。だから、お店の空気も重たい。

そんなお店で飲みたくないもの。自然と売り上げも落ちる。悪循環。負のスパイラル。

笑わせる必要なんてない。まずは自分が笑うこと。オリコン先代社長は社長室に来た人を笑わすために⁠童心ランド⁠を作ったわけではない。自分が笑うために作った。

オイラは人を笑わすためだけに雑誌を作っていたような気がする。そこが社長との大きな差だった。まずは自分が心から笑う。

人気ある、売れてる芸人さんたちは舞台やテレビでまず自分が笑っている。必死な顔をして笑わそうとしても、それは観ている側は痛々しいとしか思えない。

だから、今回の叫訓↓

叫訓49

仕事(人生)に大切なのはスマイル!
笑わすのではなく自分が笑うこと

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