元オリコン編集長☆イノマーの『叫訓』

第72回「キャストはステージを全力で演出セヨ!」――ステージではキャストが主役!

朝の時間を有意義に使う

工藤(仮名・男性・痩せ型・推定年齢29歳⁠⁠~~~! そういうとこだぞ、って。

いや、意味不明ですいません。熱中症ではないので安心してください。オイラはいたってまともです。

だけど、今はプンプン丸。ぶっちゃけ怒っています。というか失望してドヨ~ンとした気分。きっと、1日引きずることになると思う。オイラは何も悪くないのに。

工藤―――――っ! プンプン。

というのも、ついさっきの話。朝の5時の話。最近、オイラは夜早く寝て、朝早く起きるという生活になっている。

昔は朝までバカ野郎たちと大騒ぎして、飲んで昼過ぎに起きるなんていうムチャクチャな生活をしていたのだが、もうそういうのに疲れたし、飽きてしまった。

30代はとくにひどかったと思う。寝て起きたら、⁠笑っていいとも!』すら終わってた。20代、オリコン時代は家にも帰らず働いていたので、それを取り戻そうと会社をヤメた後の30代はとにかく遊んだ。もちろん、仕事もしたけど。

やりたくないことはやらない、好きな仕事だけをする! と決めた。ま、それがために40代前半は地獄を見たけど……。ツケっていうのは必ずまわってくるもんだ。

そうそう、ここ最近のオイラは早寝・早起き・早チョメチョメ。気が向けば朝から公園を散歩したりなんかしている。

ま、年齢もあるんだろうけど。で、散歩から帰ってきてシャワーを浴びて、朝飯を食べて、パソコンに向かい、昼の12時には部屋を出て事務所へと。って、普通じゃんか!

で、何だかんだあって深夜に帰宅。そのまま、マッハで寝てしまうこともある。真面目か!?

もちろん、ブッ壊れる日もあるけどね。だけど、まー、穏やかな日々。オイラにクレイジーを求める人には申し訳ない。

イノマーやるのもラクじゃないッス。それはバンドのステージだけでソーリー。

早朝から働く人たち

あ、ご挨拶が遅れました。暑中お見舞い申し上げます。今回の叫訓は夏休みということでカジュアルなタッチで書かせてもらいます。中高生も読んでるかもしれないからね。

で、思い出した、工藤の話だ! あの野郎……マブで許せんっ(怒⁠⁠。

朝4時過ぎに悪夢で目覚めてしまったオイラ。どうしようか考え、起きることに。喉がカラカラだった。冷たい麦茶が飲みたいと思った。

冷蔵庫を開ける。すると、冷蔵庫ゼロ。ガビー⁠ーン。こ、こりゃあかん。お腹が空いて起きたのもある。人間も猫も変わらない。お腹が空けば起きるのだ。

もぞもぞと出かける仕度をしてコンビニへと向かう。起きて3分の話。早朝のコンビニは静かでお客さんもいなかった。店内には店員さんがひとりだけ。忙しそうに商品の棚出しをしている。大変だなあ、と思う。

でも、オイラが入店したのに完全なる無視。すぐ横を通っても気にならないみたい。⁠いらっしゃいませ」なんて言葉もナッシング。

ま、忙しいんだろうからしょうがない。だけど、何だか寂しい(笑⁠⁠。

店内にはBGMも流れているのか流れていないのかわからない。まるで時間が止まっているかのようだ。普段はコンビニで大量の商品を買うことはないのだが、時間も時間なのでスーパーではなく、コンビニで済ますことに。

買い物カゴを持って、飲み物を大小含め6本。そして、食品。カゴはパンパン。コンビニでここまで買い物をするのは初めてだったかもしれない。エコバッグを持ってくればよかった。これ、ビニール袋3枚くらいの量かも……申し訳ないと思いながらレジへと。

店員さんを待つ。でも、まったく来る気配がない。おかしいな、と思っていると一瞬だけ店員さんがレジの端にやってきて、そして、また戻って行った。もちろん、何も声をかけられていない。あれれ?

どうしたのかしらん、と不安になる。きっと、のっぴきならない事態が発生したのだろう。オイラもそんなに分からず屋ではない。もう少し待とう。そもそも、急いでいるわけではない。でも、アイスが……。

ガッデム!

サービス業からサービスを抜いたら?

そろそろ限界だと思ったときに店員さんが登場。オイラのほうをチラリと見た。でも、なぜか手には大きなビニール袋が。その中には使用済みのカードくじが山ほど。

オイラはアイスが溶けてしまうんじゃないかと、それだけが心配。店員さんは袋の中のくじを気にしている。そして、あろうことかレジ前で待つオイラの前を通り過ぎ、バックヤードへと。おかしいだろー⁠ーー⁠ー!

もちろん、⁠少々、お待ちください」という一言もない。なんだ、こいつは!? 呆然。

もう、こちらから絶対に言葉を発しないぞと決める。そして、何もなかったかのようにレジ越しオイラの前へと立つ工藤。胸の名札で名前がわかった。一生、忘れないぞ!

工藤はオイラの目を見ずに小さな声で「いらっしゃいませ」と口を動かした。無表情でカゴの中の商品を眺め、つまらなそうに(本当に退屈そうな顔で)ポスレジのバーコードをピッピッ。

そして、その後の工藤の行為にオイラは自分の目を疑った。

なんと、工藤のバカ野郎はビニール袋のいちばん下に10コ入りの卵パックを入れ、その上に次から次へと重い飲み物のペットボトルを重ねはじめた。

NO――――――!

どんな教育を受けたんだ? 理解に苦しむ。そして、パンパンになった袋ギュウギュウに商品をムリヤリに入れていく。持ち手なんて親指と人差し指の2本で限界。そんな乱暴な作業を平気な顔で……。クレームすら入れる気がなくなった。

こいつはダメだ。そして、オイラはもうこの店には来ない。

プロにはライセンスなんて無い

つい最近、ガールズトリオバンドのメンバーと話をした。ライブ終了後の物販もメンバーがやっている。どうして物販スタッフをつけないのかと聞くと、⁠お金を扱うことだし、物販スタッフの態度が悪いと、バンドの評判も悪くなるから」ということだった。

なるほど。

ライブ終わった後など、バンドメンバーは物販の席にいたくないもの。全力でステージをやったら、余力なんて残っていない。

オイラにはムリ。楽屋でブッ倒れて、ゲーゲー吐いている。だから、信頼しているスタッフにお願いをしている。だけど、そういったスタッフがいなければ自分たちでやるしかない。なので、ステージに立った後も物販席に立ち、⁠物販やってまー⁠ーす!」と大声を出す。美しいと思う。

ライブハウスで活動する、インディーズバンドですら物販の小さな机の前で意識高く、サービス精神たっぷりでお客様と接している。大手コンビニフランチャイズ店は何をやってるんだろう?

工藤も悪いけれども、工藤を雇った店主はもっと悪い。面接で見抜けなかったのか? それは面接をした人間のサービス業を舐めた態度の表れだ。そして、雇うのなら、ちゃんと教育をしないといけない。

深夜から朝までの時間に働いてくれるなら誰でもいいという考えで雇ったのなら、雇われた側はそれ以下のモチベーションでしかない。しょせんバイトだ、と。

いや、もちろん、そうではない人も多くいる。だって、同じ店のお昼の店員さんはテキパキ、テキパキ。笑顔もステキだ。たまに声もかけてくれる。元気になる。

ところが、工藤はどうだ? バカバカしい、つまらない、くだらないと思いながら働いているのがハッキリとわかった。

工藤が詰めたパンパンのビニール袋を抱っこして帰る。部屋に戻り、袋から買った商品を取り出すと……卵は4個割れていた。

工藤、こういうことだぞ。

ということで、今回の叫訓は夏休みバージョン。叫訓の番外編でした。2014年夏、オイラの忘れられない朝をお送りしました。

叫訓72

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