Lifelog~毎日保存したログから見えてくる個性

第4回 ローカルにこだわる

この記事を読むのに必要な時間:およそ 2 分

デジタル化=ローカル

書類や書籍のデジタル化は,現在生きている情報を扱うとすると,徹底的にローカルにこだわることになります。情報というのは差異があるところで価値が出てくるので,広く公開された情報には情報としての価値はあまり見出しにくいものです。このへん,いい方はすこし抽象的でむずかしいのですけれど,自分にとって十分価値のある情報と考えていけば,それは個人情報を含んでいるものであったり,著作権が生きている最新刊であったりするわけですから,そういう情報を自由に扱うためには,ローカルに情報をためる必要があると思います。

音楽とデジタル書籍の差

デジタル化された音楽は,iPodのラジカルな広まりで,デジタル化への認知度や精度が急速に整いつつあります。書籍のデジタル化が遅れているのとは,じつに好対照だと思っています。

ともあれ,筆者はもっぱら自分で扱うために自分の所有する書籍をデジタル化しているだけです。

デジタル書籍は,以前に較べればだいぶ広がりつつありますが,ディスプレイで長文を読むのは無理だと筆者は考えていますし,可能であるとしてもまあしないだろうなぁと思っています。何度かテスト的に行ったことはありますが,慣れないこともあって,肩は凝るわ,涙は止まらないわ,偏頭痛はしてくるわ,もうひどい目に遭いました。

デジタル化の恩恵は,空間の確保とか,検索性の向上とか,再利用性にあるのであって,書籍をデジタル化するときに,それぞれ得意なことをするようにしないと,長所を発揮できないと思います。

デジタル書籍の普及と著作権問題

著作権とデジタル化の問題もここ数年注目されていますが,筆者が生きているうちには解決しないだろうなぁと思います。

先日ふと,川端康成の『雪国』の書き出しを引用したくなって,Webを検索したのですが,『雪国』の全文はWeb上には存在しませんでした。川端康成は1972年4月16日(日曜日),筆者が小学校に入学した3日後で,アメリカ軍が北ベトナムへ爆撃を再開した日に自殺しています。著作権は没後50年有効で,70年に延長される話もありますから,筆者が生きていているときにWeb上で無料で川端康成の本を手にできる可能性は,ほとんどないですね。別に無料でなくてもいい,というのならありますけれど,無料でなく検索や引用できない独自ファイル形式で手にするくらいなら,じっさいの本を買ったほうがマシでしょう。

結局,ローカルなんだろうな,と思います。

新聞の切り抜きのスキャンをPileDesktopで見る

新聞の切り抜きのスキャンをPileDesktopで見る

切り抜いたまま整理せずに20年も放置したままだった新聞を,先日スキャンしてデジタル化しました。『ハスラー(2)』『NOKKO(Rebecca)』『テクノ』『マルサの女』などの文字が時代を感じさせますね。黄ばんだ色もいかにも時代って感じです。それにしても,新聞の見出しと写真の組み合わせというのは,じつに効果的に情報を整理しているものだと思いました。PalmView(手のひらサイズのサムネイル)でも,充分に記事の内容を判断できるのです。いまと違って,写真がモノクロなのがすこし残念ですけれど。

PileDesktopの画面をCapturePileでキャプチャーしてSmartWriteでメモ

PileDesktopの画面をCapturePileでキャプチャーしてSmartWriteでメモ

そのままですが,スキャンした新聞のPileDesktopの画面を,CapturePileでキャプチャーしてSmartWriteでメモをとってみました。乱雑により分けられた色あせた新聞,手書きの書き込み。わたしの作りたいものの雰囲気をつかんでいただけたでしょうか。

楽したい,ずぼらになりたい

"楽したい"というのは,Lifelogのもたらしてくれる恩恵のひとつだろうと思います。どうやって楽するのか,「記録」「楽」をどうつなげるのか,というのは,いきなりつなげて言葉にすると,「風が吹けば桶屋がもうかる」みたいに聞こえるかもしれません。別にだまそうとしているのではなくて,ログをとっただけで役に立たなければ意味がないのです。

どう役に立てるかということを考えた結果,この1~2年で,メーラー(『PileMail』)やその他の環境(『PileSecretary』)を徹底的に作り込んでいろいろ楽をできるようになりましたが,そうしてみると,なるほど記録は結果として楽につながるのだな,と思っているわけです。

著者プロフィール

美崎薫(みさきかおる)

夢想家,未来生活デザイナー,『記憶する住宅』プロデューサー,記憶アーティスト。住宅,書斎,机をはじめ,ハードウェア,ソフトウェアの開発をプロデュース。著書『デジタルカメラ2.0』(技術評論社)など多数。

コメント

コメントの記入