Lifelog~毎日保存したログから見えてくる個性

第7回 整理は続くよいつまでも

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問題は増えたファイルをどう整理するか

ハードウェアはハードディスクで決まりです。問題はソフトウェアとデータの構造です。 筆者の場合,ファイルの数は,この10年間,年間に5~12万程度を推移しています。

10年間のファイル数と容量の推移

10年間のファイル数と容量の推移

直近の10年分のファイルの数と容量の推移。デジタルカメラの解像度の向上にともなって,年々容量は増え続けました。ここ数年は開発をメインにしてきたので生活スタイルが変わり,容量はすこし頭打ちです。これを見る限り,1年分のデータでさえBlu-rayディスク1枚(50GB)に入らないことは明らかです。

これをどう整理するか,ということが肝心なのです。

5万という規模

年間に5万としても,これほどのモノは,コンピュータのファイル以外では扱えないだろうと思います。連載の3回目で,澁澤龍彦の蔵書数が1万冊だったという話をしました。1万冊の本は,書棚でざっと15本を超えます。幅80cmで50冊/1段×前後に置いたとして2倍×7段×15本という計算です。すべての本の表紙を見えるようにしたら,本棚の数は30本です。家中が本だらけ,という感覚になるでしょう。

ファイルのほうは,格段に容量をとりません。数字でいえば,1万ファイルは,わずか2~3カ月で達成してしまう量です。達成しても,部屋がコンピュータのファイルであふれるわけではありません。モノとファイルは根本的に異なるのです。

よく例に出すのですけれど,モノの整理というのは,じっさいにはあまりたいした数を扱っているわけではないことが大半です。モノは空間を占めるので,それほど大量のモノを扱うことはむずかしいのです。

モノに必要なのは空間的な整理

大量のモノといえば,梅棹忠夫が館長を務めていた国立民族学博物館は,モノの整理では,有数のノウハウをもっていると思います。一度その倉庫を見学したことがあります。体育館のような空間は,アジア,アフリカなどのように地域ごとに棚が作られていて,モノを地理的・空間的に整理しているのでした。

いっぽうで,コンピュータの中のファイルは,物理的な手がかりをほとんどもっていません。そこでこれをどう整理するか,というのが重要になってくるわけです。

国立民族学博物館

国立民族学博物館

大阪の万博記念公園にあり,大量のモノを収容整理している。

アフリカの人形

アフリカの人形

ちょっと怖いかな。夜には見たくない感じ。地域ごとに区分された棚がうしろに見えます。。

整理革命=検索技術の進歩

整理の点で,ひとつ革命的なことが起きているのは,もうみなさんご存じの通りです。

検索技術の大進歩です。インターネットに掲載されたテキスト情報に関しては,かなり検索によって情報を得られるケースが増えてきました。

検索があれば,整理はいらない,というような論調もあるみたいです。

それはあまりに楽観的だろうと筆者には思えます。それでも,検索でできることは,とても多いものです。

ローカルファイルの検索技術

筆者の扱っているような大規模なローカルファイルや,画像ファイルの検索に関してポピュラーなめだった技術は少ないのです。

筆者はMacintoshのユーザーでもあるのですが,Mac OS XのSpotlightという全文検索機能には,なかなか感慨深いものがあります。Spotlightでは,写真にタグをつければ,そのタグで写真を検索できる,といいます。

Windowsにも,同様の検索技術が搭載され始めました。

タグをつければ検索できる。では,タグがついていなかったら?

先の年間5万から10万のファイルには,タグはほぼ皆無です。検索できなければ意味がないのでしょうか。

ローカルファイルの検索技術

整理するか,タグづけするか,それはひとつの事柄の表裏を別の表現でいっているだけなのです。整理する手間も,タグづけする手間も,ユーザーにとっては結局はおなじで,整理のための整理,タグづけのためのタグづけというのは,とても正気で継続してつづけることはむずかしいと考えてしまうのです。シジフォスの苦行のようなものです。

タグがついていれば検索できるが,タグはついていない。ではどうやってタグをつけるのか,というところが最大の問題なのです。声を大にしてていいたい。世界にはタグがついていないのだ!

この議論抜きで,「Spotlightでは,写真を検索できます」というのは,ほとんどなにもいっていないのに等しい,と感じるわけです。逆にいえば,タグさえついていれば,SpotlightでなくてもGoogleでもWindowsでもなにを使っても検索できるわけですし。

著者プロフィール

美崎薫(みさきかおる)

夢想家,未来生活デザイナー,『記憶する住宅』プロデューサー,記憶アーティスト。住宅,書斎,机をはじめ,ハードウェア,ソフトウェアの開発をプロデュース。著書『デジタルカメラ2.0』(技術評論社)など多数。

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