Lifelog~毎日保存したログから見えてくる個性

第10回未処理をこう処理しよう

日付が嫌な人に

日付をベースにしたファイル構造を作り情報を蓄積していくというのは、ライフログであるかないかを問わず、多かれ少なかれ、だれもが行っている作業だろうと思います。

メールの整理、フォルダの命名などで、日付を使わないことのほうが少ないのではないかと観察した結果、ライフログとの相性もよいということで、筆者は日付を強く押し進めました。

いっぽう、日付よりもジャンルだとか、仕事の種類だとか、クライアント別だ、とおっしゃる方も少なくないです。身近なところだと、未踏ソフトウェアで筆者のPMだった関西学院大学の河野恭之教授が、開口一番「日付だけじゃだめだから」みたいなことをおっしゃってくださって、それをクリアするのは、並大抵ではなかったです。

ま、引き続き長い目でご支援ください、ってなんか近況報告みたいですけど、日付はだめだ、という方も根強くいらっしゃるわけです。

多様な整理

このあたり、じつは筆者の使っているメインシステムは、ハイパーテキストベースなので、非常に発言は玉虫色になったりしますが、別に日付がだめなら日付じゃなくてもいいじゃん、と思っているのは否めないところがあります。なにしろ26,000のファイルをその10倍以上の30万のリンクで整理しているのですから。リンクの価値については身に染みてわかっています。

ある日の日誌
ある日の日誌
日付ベースで整理している情報です。枠囲いのキーワードは、すべてハイパーテキストとなっています。
空間的な整理
空間的な整理
空間ベースといえばなんといっても地図です。

たったひとつなら日付

それでも、もしたったひとつの軸を選ぶなら日付だろうと思ってもいます。

筆者自身は日付以外のあらゆる関係性をリンクの軸として用いているし、その有効性も感じています。機会があれば、ハイパーテキスト機能を実現したいとも思います。最近は、あんまり受けないみたいですけどね、ハイパーテキスト。下火なんでしょうか。

筆者は自覚的に玉虫色です。日付はだめだという方も、じつは日付を使っていることはあるわけでしょう。日付がだめだといったからといって、予定表もカレンダーも時計も使わないことはありえないですし。二元論的な発想じたいがだめなのです、きっと。

「未処理」を処理する

日付でないとしたらどんなことなのだろうと考えた結果、ひとつ思いついたのは、⁠未処理」という分類です。ほかにもアドレス帳とか音楽とかは、日付以外から呼び出す頻度が高いので、日付型の整理とはなじまないようです。

動画は日付となじむと思います。これはおもしろいところだと思います。

音楽は、音楽を聴いてタイムスリップ効果を得ることがあるように、時間軸との相性は悪くないのですが、時間から音楽という方向よりも、音楽から時間という方向のほうが、人間にとっては自然に思えるのかもしれません。

体系をもたない「未処理」

ともあれ、体系だったアドレスや音楽に較べると、体系をもたず不定形で整理しにくい「未処理」は、日付からはみ出すだけでなく、コンピュータ的にも扱いにくい情報です。

未処理の情報をどのように扱うか、というのは、なかなかコンピュータを使う上で、興味深いトピックかもしれません。よく使われているのはデスクトップにぶち撒けるとかですよね。

未処理の情報を扱うことに関するアイデアを思いつき、かれこれ1年ほど実践してきました。

いや、たいしたアイデアでないかもしれないのでもったいつけているだけなんですけど、⁠未処理」をどう扱うか、それをどう日付と融合させるかは、⁠SmartCalendar』から『PilePaperFile』へと進歩するときの、大きなジャンピングボードとなりました。

河野教授の「日付じゃだめ」というのが、とても刺激になったわけです。

「未処理」をどこに置くか

問題は、日付のフォルダ構造と組み合わせたときに、未処理のフォルダをどこに置くか、ということです。

dataroot/2008/200809/20080910

のようにフォルダを作るのが日付型のフォルダ構造です。日付型といっても種類はいくつかあり、たとえばMacintoshのOSXの写真のフォルダ構造は、

photoroot/2008/09/10

のようになっています。

月の階層、日の階層に、年や月の情報を含むかどうか、というのは、けっこう設計思想的な違いが出てくるなと思います。ちなみに筆者が上記のように、冗長に年月日を記述しているのは、どの階層にいても、その階層だけを見て、それがいつなのかを知ることができるためです。

処理をするアプリケーションによっては、月の階層や日付の階層のときに、フルパスではなく、現在の階層のフォルダ名しか表示しないことがあります。そうすると、10とかだけが表示されていると、それが10月の10なのか、10日の10なのか、あるいは2桁で表記した年の10年なのか、わからなくなります。

冗長に書いておいても不都合はさほどありませんから、冗長に書いたほうがよいと筆者は判断しました。

「未処理」を日付のなかに置く

では、その未処理のフォルダをどこに置くか。

dataroot/2008/200809/20080910
dataroot/未処理

というように置く置き方もあるでしょう。

筆者が考えたのは、

dataroot/2008/200809/20080910
dataroot/2008/200809/20080910/未処理

でした。

つねにフォーカスしているのは「今日」のフォルダなので、未処理も「今日」のフォルダの内部におくべきだと考えたわけです。

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