Lifelog~毎日保存したログから見えてくる個性

第11回 未処理を「今日」に置く

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リストの評価がたいへん

1日1枚方式の悪いところは,評価がたいへんなことです。その日一日で終わらなかったことは翌日に持ち越すわけですけど,持ち越すためには,毎日評価しなければならないのです。翌日は2枚もてばよいとなると,1枚の手軽さが急速になくなってしまうためです。

特に手書きの場合,翌日できなかったことをリストして書くのは,大変苦痛です。書き写すだけでもいやなのです。⁠赤毛連盟』にはとうてい加盟できそうにありません。

できなかった理由はさまざまですが,要するにできないことに毎日直面して,それが累積的に増えていくというのは,あまり気分がよろしくはない。あまりどころかぜんぜん気分は良くない。

ある日突然その未処理の累積に耐えかねて,爆発的にリストを処理したりすることもあり,チェックが増えると,それだけでなんだか快感を感じたりすることもあるのですが,やっぱりそれはどこか間違ってる感じがします。毎日地道にチェックを増やす人生に,どれほどの魅力があるかはさておき,地道なのはよいものです。打率は上がったり下がったりするけど,ヒットの数は増えるだけだとイチローもいってます。積み重ねが重要なのです。

まあ,20年以上も間違って人生送ってきているのですから,いまさら取り返しが効くはずもないです。仕事がなにもかもうまくいくような,そういう幸福な日はめったにやってこなかったりする,ということもあります。めったにやってこないから幸福なのかもしれません。

未処理を昨日から今日へ移動する

そんなわけで手書きでなくなって,ToDoのリストを容易に編集しコピーできるようになったコンピュータは,筆者にとっては手抜きをできる道具としてきわめて満足いくものとなったわけですけど,しかしながらそれですべてが解決かというと,このように,日付のフォルダのなかに未処理のフォルダをぜんぶ入れておくなんてことを考えると,その移動を毎朝するのに,けっこうそれだけでうんざりする。そんなことありませんか?

そもそも,処理できる以上のことをしようとしているのじゃないか,という本質的な問題もあります。本質論はちょろっと解決するわけではないのでひとまず措くとしてフォルダの移動に戻りますけれど,毎朝未処理のフォルダを今日に移動するというのは,単調で不毛なだけに,耐えがたいものがあります。ロボットのプラモデルは右手を作るともう飽きて左手を作るときにはほうり出しているタイプです。単調なことには耐えがたい。

そういうことは,みなコンピュータ任せにすればよい,というのがコンピュータのよいところでもあります。

毎朝,スタートアップかタスクスケジューラかcronかなにかで,

mv yesterday/未処理 today/

とかなんとかやればいいわけです。

文字ファイルと画像/音楽/動画ファイル

今日のフォルダを使う場合,従来は扱いの違っていた文字ファイルと画像/音楽/動画ファイルとを,ぜんぶ混在させてもよい,ということでもあります。プログラムのプロトタイプとか,ダウンロードしたプログラムとか,ファイルとか,今日のフォルダにはなにを入れてもよいのです。

Webのクリップ,メモ,手書きメモ,写真,メールなど,ぜんぶをごちゃ混ぜにしておいてかまいません。どうせあとで検索したりするわけですから,なんだっていいんです。

筆者の場合,たいてい1日に100前後のファイルと触れ合っているようだ,ということがわかりました。

一望できる数=100

100前後というのは,あまり多くはなく,一望できる範囲の数です。PileDesktopは一度に100個のモノを扱うことを目標に開発しましたけれど,それはじっさいに筆者自身が,1日に100個のものを扱えればまあ満足だ,ということから導かれたものです。

1日ごとに,毎日新しい今日のフォルダで仕事を始めるので,昨日がどんなにめちゃくちゃでも,それを忘れてすっきりした状態からスタートできます。もちろん,昨日に戻れば,ちゃんと昨日の混乱のままの状態が残っています。ちょうど机の上に置いた書類が,そっくりそのまま残っているようなもので,その日のものがその日のままに残っているようにするには,なるほど時間軸に沿ったフォルダ構造を使うのがベストだ,と思うわけです。

著者プロフィール

美崎薫(みさきかおる)

夢想家,未来生活デザイナー,『記憶する住宅』プロデューサー,記憶アーティスト。住宅,書斎,机をはじめ,ハードウェア,ソフトウェアの開発をプロデュース。著書『デジタルカメラ2.0』(技術評論社)など多数。