Lifelog~毎日保存したログから見えてくる個性

第13回 LifeLogツール『PilePaperFile』

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手作業のための集約

このうち,前述の手作業で行うことは,ほぼ『PileDesktop』に集約しています。

いっぽう,それ以外のすべては,統合して自動化して動いています。LifeLogの記録のほぼすべては,自動化しているわけです。自動化するということは,表面のインターフェースはなくなるということでもあります。

それにしても,こう書いてみて,いわゆる「一般的なソフト」を,ほとんど使っていないとあらためて思います。

インターフェースをもたないインターフェース

筆者自身は,2001年ごろからインターフェースの研究を行ってきました。そして,インターフェースの理想は,インターフェースをもたないことだろうと考えるようになりました。背後で秘書かメイドのように的確に動いてくれれば,それでよいと思うのです。人間がわざわざ指示を出す必要はない。

情報処理の代表的な例としてアドレス帳の作成/管理があると思います。⁠PilePaperFile』では,統合的なアドレス管理システムがあり,メールの送受信をするだけで,自動的にアドレス帳を更新し,履歴を記録しています。

手動だったらとうてい行おうとは考えないような記録が,細大漏らさず記録されています。

『PilePaperFile』のアドレス管理

『PilePaperFile』のアドレス管理

メールの送受信をするだけで,履歴を記録しています。テストでは自分宛にメールを送信していることが多いので,記録は厖大です。

メールアドレスを書かずにメールを送信する

『PilePaperFile』を使うかぎり,筆者はメーラーにあて名を書いたり,メールアドレスを書く必要がありません。これはすでに実現している『PilePaperFile』の直接的なメリットです。この煩わしさから解放されて,どれほどメールアドレスを書くことが煩わしかったのか,あらためて考えさせられます。

いつメールを送ったかを記録する必要もありません。ほとんど単に文章を書くと,自動的にメールアドレスを生成してメールを送信して,あらゆる記録を取ってくれるのです。

おそらく大多数の方は,メールを送信するのにメーラーを使っているかと思います。メーラーで返信をしているだけなら,メールアドレスを書く必要はないのですが,そのかわりに「Re:re:re:Re:」のようなタイトルになったりします。⁠PilePaperFile』ではsubjectは,本文から自動的にタイトルを生成しています。

自動スケジューリング

『PilePaperFile』ではふだん使っているエディタそのものにメールエディタの機能を付与できます。メールを書くのに特別な道具を使うのではなくて,フルスペックの使い慣れたエディタを使用できるわけです。

文章を書くことは手動ですが,それ以外のすべて,紙の手紙の時代だったら,封筒にいれ,切手を貼り,ポストに投函するというすべてを自動化しています。

toやsubjectなどのメールのルールに煩わされることがないので,⁠PilePaperFile』では画面を有効利用でき,本文に集中できます。このあたりの発想は,Emacsと似ているのかもしれません。

さらに『PilePaperFile』では,自動的なスケジューリングにも足を踏みいれています。

先日,ある方から「会いましょう。日程は次のなかから調整してください。」というメールが届いたのですが,それに先行して,⁠会いたいです」というメールを自動的に送ったのは,筆者ではなく『PilePaperFile』システムでした。

ものごとというのは,最初の一歩を踏み出すのがたいへんなものですが,⁠PilePaperFile』システムはそれを支援し始めたのです。

『PilePaperFile』プロジェクトは特許出願中です(特願2008-177670⁠⁠。

著者プロフィール

美崎薫(みさきかおる)

夢想家,未来生活デザイナー,『記憶する住宅』プロデューサー,記憶アーティスト。住宅,書斎,机をはじめ,ハードウェア,ソフトウェアの開発をプロデュース。著書『デジタルカメラ2.0』(技術評論社)など多数。