Lifelog~毎日保存したログから見えてくる個性

第35回 zipアーカイヴとインターフェースのデザイン

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解凍ってなに!?

ライフログで日常のログをとっていると,いろいろつまらないことをしていることに気づきます。気づくと急にそれをしたくなくなります。

たとえば,Webでzipファイルを手に入れたら,それを解凍して中身を見る。よくある作業ですよね。

で,ある日,zipファイルばかり8個くらい立て続けにダウンロードして解凍しているうちに,「なんでこの『解凍という作業』が必要なんだ」と思いたったのです。

かつて,ストレージの容量が扱える情報量と比較して,比較的小さかった時代には,ファイルをまとめて圧縮して,ファイルサイズを小さくすることには意味があったと考えられます。現代では,この点で圧縮ファイルを使う必然性は,大変乏しいじゃないですか。だって,テラバイトの時代です。

アーカイヴには,テンポラリーバックアップや転送時の紛失防止などの意味もあるので,アーカイヴはまったくだめとかではないのですが,アーカイヴにともなう解凍作業は不毛です。

けっこう手間がかかるのがよけいに気になります。

不毛だと思うと居ても立ってもいられないたちなので,早速,「今日のフォルダ」にzipファイルをダウンロードしたら,自動的に解凍して,zipファイルもそのフォルダに入れる自動解凍のプログラムを作りました。

これで1日8回の作業を軽減できるようになるわけです。

ライフログによる自動化

筆者は,ライフログシステムを運用して,こうした小さな効率化を30種類300個以上行っているようです。自分のことながら「ようです」と曖昧な理由は,開発しながら運用しているために,自分でも全貌を把握していないためです。1年間で開発したソフトは約50本にもなるようです。これも全体をあまりよく把握できていないのです。

これを運用した1日の自動化ログシステムのログファイルが380行とかあります。zipだけなら1日8回の作業ですが,これも380回となると,塵も積もれば山となるわけで,無視できないくらいの規模なのではないかと考えているところです。

zip自動解凍システムができて,意気揚々と散歩に出かけたところ,ふとあることに気づきました。

たしか,MacintoshのOSXって,ダウンロードしたファイルは自動解凍していなかったっけ…。

筆者は熱心なMacintoshユーザーではないし,だいたい半年に1回くらいMac mini(しかもインテルMacでないのでOSをバージョンアップもしていない!)に電源を入れるだけなのですが,そういえばおぼろげな記憶によれば,Macintoshではダウンロードしたらすぐにファイルが開いて使えるようになった気がしてます。

う~む。おそるべしMacintosh。

シンプルにそぎ落とす

環境そのものをデザインした環境にいると,まるでそこにはあたかも夾雑物が存在しないかのように自然に動いているように見えることがあります。高速道路や新幹線の線路に人が歩いていることはない。シンプルな世界に見えるのです。これは驚くべきことです。

考えてみると,コンピュータというきわめて複雑なシステムでは,「ものごとがそうであるかのように自然」ということはほとんどありえないので,それがそのようにデザインされていることの奥にどれほどのノウハウがあるのかを想像すると,すこしぞっとしてしまいます。夏なのに。涼しくなっちゃいましたよ。いやクーラーのせいじゃなくて。

すごいじゃないかMacintoshと,あらためてすごさに気づいたところです。だからといって毎日使うわけじゃないんですけどね。

インターフェースは,インターフェースだけでは単独で存在し得ないので,商品と結びつきにくく,評価しにくくされにくいものです。

余談ながら,都市に住んでいると,デザインにまわりを囲まれているわけです。植物でさえデザインの対象です。デザインされていないものは存在しないわけです。そこでどんなふうにものごとをデザインしてあると,どう生活が変わるのかを夢想していると,ライフログシステムの未来がまた違って見えてきそうです。

肉体のもつ物語

大部分の操作を自動化していくと,どうしても自動化できないものが残ります。自分自身の肉体という存在です。

先ごろ,伊藤剛『テヅカイズデッド』(NTT出版)を読んでいたら,まんがの登場人物(キャラクター)は物語を離れて「キャラ」として扱われるようになる,とキャラクターと「キャラ」とをわけて議論しているところがありました。本編から離れた「キャラ」は,本編でもっていた悩みや葛藤などのドラマツルギーから無縁になり,二等身のフィギュアになって携帯電話の待ち受け画面に表示されたりするわけです。

これをライフログの議論と対比してみると,次の表になります。

人生(ストーリー,物語)と一体で肉体をもつ存在一面的で抽象化した存在
まんがキャラクターキャラ
ライフログ肉体自動化したプログラムのなかのログ

はたして,ライフログに肉体は必要なのかどうか(必要ですけど),今後じっくり考えてみたいと思っています。念のため,自殺予告とかではありませんからね。

体力回復には昼寝がいいかもしれませんね。

著者プロフィール

美崎薫(みさきかおる)

夢想家,未来生活デザイナー,『記憶する住宅』プロデューサー,記憶アーティスト。住宅,書斎,机をはじめ,ハードウェア,ソフトウェアの開発をプロデュース。著書『デジタルカメラ2.0』(技術評論社)など多数。

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